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私の精霊はまさかのポメラニアン?~新米ハンターと賑やかパーティーが繰り広げる異世界冒険記~  作者: アインス
第3歩 力を求めて

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精霊の住処~再び~

「アンタ一体何やったのよ?」


背後から掛けられた鋭い声にオリバーは振り返らなかった。


「うわっ、グチャグチャ…」

「これは…素材になるのか?」

「ちょっと匂うかも…」


更に後ろから追い打ちをかけるような私たちの声。


「そこ座ろうか。説明」


しっとりとした甘さと鼻にかかった音色を奏でる声の主(ノエル)は、オリバーの肩に優しく手を掛けて耳元でそう呟いた。


彼は知っていた。

優しい声色を使う時の彼女は恐ろしいと。


言われるがままにその場に座ると、振り返らずに口を開いた。


「ワザとではない!」

「うん、分かるよ?」


「試し切りで、6度ほど斧を振るったらだな、その、2体は弾けてしまい…残りの3体も…だが核は回収したし、そう!1体は頭以外は無傷だ!」


――突如大きな音とともに最初の一体が真っ二つに割れた。

見上げると、ヤクモとトラヴァスがメガトータスに登っていた。

――?あのコたちのせい?

…じゃなさそうね。


()()()()が頭以外無傷なのカナ?」


「――なっ!!聞いてくれ!恐らくだが、薙ぎ払うと斬撃が飛んで、振り下ろすと爆発するんだ!」


「何を言っているのカナ?」


「制御する!ちゃんと試すから!」

「今じゃソファよりアンタの方が危険だわ」


「「――!!」」

「すまん!!」

「ちょっと!私は制御…」

「なんか言った?」「ごめん」


「まあ、これだけやれば当分魔物の発生は大丈夫じゃないか?ひとまず素材は後にして()へ行かないか?」

「そうね、ピエール。ほら、ノエル!行きましょ?」

これ以上巻き込まれるのはごめんだ。

見なかった事にしよう。そうしよう!


「オリバー、後で片付けんのよ!」

「もちろん分かった!」


そう言ってノエルは()へと歩を進め、そそくさと後を追う。

でも気になったので聞いてみた。


「ね、ピエール。私がケルベロスでやっちゃった時も、ノエルはこんな感じだった?」

「いや、笑っていたような…」


「すまん。加減はしたんだが、ここまでの威力とは思わず…」

「確かに()()に巻き込まれてたらと思うとゾッとするかも…」


「「……」」


「明日片付けと試し振りしてくる」

「「そうね」」「それがいい」






◇◇◇◇







鏡のような水面の泉に着くと前と同じくノエルが水面に手をかざす。震えた水面から波紋が広がり、光の縁を浮かべた。


「…綺麗」

その光景に見惚れていると、ヤクモとトラヴァスは当然のように中に入る。


「え?ここ通れるの?」

初めてここに訪れたファニーが尋ねる。


「大丈夫。行くわよ」

「ホントよ。付いて来て」

「落ち込んでたら顕現る…か?」


ノエルに続いて、訪れた事がある私たちも続いて後を追い、残ったピエールが彼女に手を差し出す。


「大丈夫だ、きっと驚くだろうが中はもっと綺麗だぞ」

差し出された手を握り、夫に手を引かれながら彼女は恐る恐る光の輪をくぐった。





――光の向こう側の異世界。

~ファニー視点~



冷気を帯びた空気が肩を撫でた。


身を縮めて私は前を見た。


目の前には昨日の浴場以上の星の輝き。


燐晶石りんしょうせきと言うそうだ」

夫の声が優しく響いた。


天井も壁も床もその全てが明滅し

空間全体が輝いている。


「私、星空の中を歩いてるの?」


ノエルが軽く笑って答えた。


「ファニーが詩人みたいだよ」

「私も前に来た時言葉が出なかったな」



ふいに足元の水面がゆらゆらと膨らみ、淡い光を放ちながら球体が浮かび上がる。


「なんか顕現そうだぞ?」

「…来るのか?誰に?」


いつの間にか私たちの周囲には銀色のもやが立ち昇ってきた。


何処かから聞こえる水滴が落ちる音。


音がした方へ目を向けると、濃い茶色の毛並みを持ち、全身に水銀のような光沢を帯びた愛らしい瞳の生き物と目が合った。


「キュイ?」と小さく、疑問を投げかけるような声を漏らした()()は、水滴が弾けるような音以外に言葉を発することはなかった。


尻尾を水面に浸したまま、無邪気に近付いてきた生き物は、前足で私の足を軽く叩く。


⦅テティス⦆


か細い声が確かに脳内に響いた。


「ねぇ、この子が精霊?」


皆には見えていなかったのか、驚いた表情のまま、私が抱きかかえた生き物を凝視する。


「ファニーに顕現たな。俺はやっぱり駄目みたいだ。」

「俺もだな。ただ…喋らないのか?」


「あのねぇ、出て来ないないのが普通で、喋らない子もいるんだって!」

「可愛い…」


「私には聞こえた。

 この子の名前はテティス」


「その名前は物語で読んだ事がある。確か海の神の子じゃなかったか?」

「ピエール、お前、鉱竜の時もだが一体どんな本読んでたんだ?」


「海の神?って事は水の精霊?」

「でしょうね。見た感じかわうそっぽいし、とりあえず出て確認するとして、そこの男共は精霊は諦めるしかないね」


そう言ってすぐに引き上げるノエルと、訳も分からず後を追うファニー。項垂れる2人に声を掛けようとし、諦めて後を追った様子のソファ。


「ファニーに精霊が顕現した…まさか精霊は性別で?」

「男で精霊使いもいる。俺たちには顕現なかっただけさ」


ここを出る前に聞きたいんだが…

どうしたピエール?


オブリヴィオンは強化されたな?

まだ扱いきれてないが、そうだ。


俺は…どうすればいい?

鉱竜の素材で新しい武器をだな…


少し考えてみたんだが、今の俺は

運転手兼、素材剥ぎ取り係兼、見張り

……出番が減りそうなんだ……。

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