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私の精霊はまさかのポメラニアン?~新米ハンターと賑やかパーティーが繰り広げる異世界冒険記~  作者: アインス
第3歩 力を求めて

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前略“道”の上にて

翌朝、準備を終えると精霊の住処へ繋がる“道”へと出発。

前回と違うのは()へ向かったメンバーと…


「…聞いていいか?」

予想されたオリバーの問い。


「…答えないからね」

知らんぷりのノエル。


「…すまんが言えない」

そう言って私を見るピエール。


「私も…知らない」

というか言えない。


「??」

ファニーは当然こうなる。


「お前らが言ってた岩…や

「昨日の事なんだけどさ!

 温泉で、見てたよね…セ

「俺は何も見ていない!」


「い~い?アタシは何も言わない。アンタも何も見ていない。これでいいよね?」

「問題ない。それで手を打とう」

――お見事!!

まさか、昨日のお風呂はワザと?


「ねぇピエール。なにがどう…」

「お願い。聞かないで!」

「ファニー。知らない方がいい事もあるんだ。多分その方が幸せだ」

「…何も聞かない」

ファニーも少し馴染んできた。

…ってことにしておこう。


「近道を発見したんだよ」

「そ、そうなの。偶然、ね」

「前の帰りに、な」

「それは朗報だな」

「??」

…ゴメン。ファニー。

言えない…知らないほうがいい事もある!



“道”を進むうち、あったはずの()()は新たな道となり、どこから出てきたのか新たな魔物が棲みついていた。


「さぁ、間引いておかなくちゃね。空を飛んでるのはソファがやるんでしょ?魔法はナシでフレイルだけで倒すのよ」

「任せて。ヤクモ、ハウス」


「ピエールは小型と中型かな?大丈夫そう?」

「任せてくれ。ファニーは任せておいても構わないか?」


「もちろんよ。オリバーはあっち、メガトータスね」

「それはいいがあんなもんどっから湧いて来たんだ?」

「これはホントに知らない。でもちょうどいいんじゃない?」

「何体かは素材に期待できんが、構わないか?」

「数はいるし、別にいいわよ。好きにやっちゃって」


「えらい増えとるなぁ。手伝いいるか?」

「トラヴァスはピエールの方ね」

「ほいっさぁ」


「じゃあサクサク行っちゃいましょ!よろしく!」


簡単な打ち合わせを終え、ノエルはファニーを連れて少し離れた斜面に揃って腰を下ろした。あそこにいる限りは安心かな?…私が失敗しなければ。




少し離れた岩場から、ピエールの雄叫びが響いた。


彼の担当はオークとロックリザード。

前にここに来た時はオークを一瞬で討伐してたし、ロックリザードも敵じゃあなさそう。心配があるとすれば新武器のグレイブ?だけど、彼なら問題なく扱えそうだった。

…器用だし、普通に強いんだよね~。


そう思っていたらファニーの鋭い声と同時に響く爆音。

――これはトラヴァスかな?

やっぱり大丈夫そうね。私は目の前の敵に集中っと。


私の敵はストーンバットの群れ。

フレイル(ヤクモ)を構えて、華麗に討伐。ノエルもファニーも良く見ててね。


――!

……少し前の私よ。

なぜあんなに自信があった!?

早いし、避けるし、全然当たらない…。


『ソファ、そっちじゃない。こっち』

「ヤクモこそ!こっちだってば!」


ヤクモとの連携も全然だめだ…。

そう思っていたら、急に周囲が風で覆われた。

――敵?…違う。

コレはノエルだ。

恐る恐る振り返る。


「そこ!2人で作戦タイム!少しだけ時間上げるから、しっかりしなさい!」


助かった…けど、これって後で絶対怒られるやつだよね?

バツが悪そうにヤクモもフレイルから出て来る。


「おこられちゃったね」

「ね、こういうのはどう?私がまず目標に向けて振るから、ヤクモは十分近付いてから、向きを修正するの」

「“あいことば”は?」

「“ハウス”とか“デュオ”みたいなの?何回くらい連続で出来そう?」

「10回ぐらい?」

「じゃあ、順番に数を数えるのは?」

「それいいよ!やってみよ!」

尻尾を振り回して目をキラキラさせるヤクモに、遊びじゃないんだけどなぁと呟く。

でも、やるしかないよね。


「じゃ行くよ。ハウス、準備しててね。

 ノエル~!ありがと!もう大丈夫!」

合図を確認したノエルは風の覆いを解いた。


風に邪魔されて攻撃を止め、距離を置いていたストーンバットの群れは、その気配に気付くと向きを変えこちらを攻撃する動きを見せる。


こちらも大きく息を吸った後に、上空の目標に狙いを定めた。

――やってやる!


「行くよ~!ひとーつ!」

群れに向けてフレイル(ヤクモ)を放ち数を数える。

――!ちょっと恥ずかしい。


フレイル(ヤクモ)が群れの中心に届いた頃に声が響いた。

『ふた~つ!』


フレイル(ヤクモ)が急激に進路を変え、一番近くにいたストーンバットの羽を貫いた。


「出来た!みーつっ!」

地上から鞭を振るう様にフレイル(ヤクモ)の向きを変える。


『よ~っつ!』

今度はフレイル(ヤクモ)が1番近い目標へ追尾するような動きを見せて獲物の胴を貫き、地上で数を数える度にフレイル(ヤクモ)は向きを変えて、目標を補足すると呼応するように数を増やし、ストーンバットを撃ち抜いて行く。


『とお!』の声の後、5体目を撃ち抜いたフレイル(ヤクモ)が勢いよく手元へ戻った。


――できた!

でもなんだろう?背後で感じる楽しそうな気配…。

これは…もしかして笑われてる?


「ソファ~!もう1回やって~」

――やっぱり!

でもまだ敵はいるんだし、やるしかない。

こうなりゃヤケだよ。

私はさっきと同じように叫ぶ。


「ひとーつ!」

フレイル(ヤクモ)が一直線に目標に向かい

『ふた~つ!』

フレイル(ヤクモ)が向きを変え目標を貫く。

「みーつっ!」『よ~っつ!』…


『やぁ~っつ』の時点で聞こえる笑い声。

――なんでここで笑うの?


『とお!』の声とともに聞こえてくる笑い声が増えた。

――ピエールとトラヴァスね。


私は気付かないフリをすることに決めた。

笑われたっていいじゃん。

手応えはある。これなら――やれる。

多分私は気付かないうちに笑みを浮かべていた。






◇◇






その頃、オリバーは降り立った山間の大地で思わず頭を抱え込んだ。



メガトータスは全部で6体……確かに全部で6体いたはずだ。


しかし、彼の目の前にあるのは無残なむくろとなって横たわる6体の変わり果てた姿だけであった。


何体かは構わない、好きにやっちゃって。とは?


生まれ変わったオブリヴィオンの力を試そうと手前のメガトータスに相棒を振り下ろした。


それは巨大な果実のように頭部を真っ二つに割り、左右対称に割れた頭の断面からは間の抜けた「きょとん」とした表情がこちらを向いている。


…この1体は素材も十分に取れるし、状態もいい。


1体目で切れ味を確認した後、残りの5体が偶々一塊たまたまひとかたまりになっていたので、そのままオブリヴィオンを5度振った。


1度目は横っ面を薙ぎ払った。

2度目は振った勢いを殺さずに最後方にいた個体を薙ぎ払った。

3度目は飛び上がり真ん中の個体に戦斧を振り下ろしたところ、何故か亀が弾けたので、飛び上がり

4度目は後ろの個体に同じく戦斧を振り下ろした。同じように亀の甲羅が弾けたので飛び上がり、

5度目は残った個体の頭部に戦斧を突き刺した…のだが…。


弾けた2体は原形すら留めず、文字通り周囲に肉片を飛び散らしている。

問題は残り3体だが、2体を1度ずつ横薙ぎに払った筈なのに何故か3体とも3枚におろされている。


幸い魔石は取れたが、もしや薙ぎは斬撃が飛び、振り下ろしは爆発するのか?だとすると1体目が形を留めている理由は?


目の前に突き刺したオブリヴィオンを眺め、先程の自身の動きを再現しながら首を傾げるオリバーは、背後から忍び寄る恐怖をまだ知らない…。


ひとーつ、ふたーつ、みーっつ!

アカン!おもろすぎるでぇ


やぁ~っ、とぉ~っ!

ニャハハハハッ!

子供やん!


…お?久しぶりの出番やろ?


声に出してゆうてみ?

あいつらの真似して大声でやで!

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