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day11 与えしもの

ある時、女の頭にふと浮かぶ思考がひとつ

【人生は己に与えたもので出来ている】


「はあ、結局そうなのかもしれないが」


女はこの手の話が嫌いだった。


己が

己の欲しがった物を

己に与えられなかった事を


分かっていて


それを悔いていて

尚、求めていて

届いていないから


あの日、違った選択をしていたら

己の人生もまた違ったものになっていたのかと

何度悔いても、時は戻ってこなくて


今からまた、それを目指す事はきっとないから。


やり切った訳でもないが、

それが己にとって最善でないような気がしたのも

また、女にとっては紛れもない事実であった。


なんて事を言いながら、

正当化したいだけなのかもしれないが


今、世に言う【成功者】達は、

己の求めし物を

正しく与えることの出来たものたちなのだ。


選択を間違えたのかもしれないと感じる己にとっては

致命的な傷である


彼らは女の【欲しいもの】を持った存在でもあり

同時に見つめるのが辛いものでもあった。


与えたものが、生まれ持った物が全てなら

人生なんて

生まれた瞬間から

全てが決まった出来レースでしかない気がして来る


与えようにも

どうにも出来なかったものもまたあるというのに


世界がまた残酷に見えて

嫌気と絶望で吐き気がする


「こんなんだから、こうなんだろうな」

とまた心底思うが


それでも、そういう所が

自分らしくて気に入ってしまって

変えるのも勿体ないと思う辺りが

また、どうしようもなく自分らしかった。


そんな絶望の淵で

また。己の中から声がする。


・


お前の持ってるそれらは、

お前の辿ってきた道は

決してお前を傷つけるものじゃない。


まずはそう、自分の中で定義し直しなさい


欲しい物は今いる場所から

新しく見つけ直せば良いだけだ


・


嗚呼、そんな風に感じられる日が来ますように


と


女は心底己に願ったのであった








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