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後輩と彼女

遅れましたすみません!!!(これ毎回やってる気がする)

温かい目で読んでいってください……

「今日はありがとうございました」

 帰りの分かれ道で、美鈴は笑顔で言ってきた。

「こちらこそ。結構楽しかったぞ」

「だといいです」

 消しゴムも買えたし、うどん美味しかったし。

 リア充っぽいことをして疲れたけど。

「じゃ、またな」

「はい」

 見送ろうかと思ったのだが、美鈴はその場から一歩も動こうとしなかった。

 だから俺は、謎の譲り合いをして日が暮れて、寒くなる前に帰ることにした。

「気をつけてな」

「はい」

 今日の出来事を美咲希に話すため、俺は朝から何があったか思い出していた。

「悠眞先輩」

 そんな時、不意に後ろから名前を呼ばれた。

「んあ?」

 何とか反応して振り返ると、そこにはやはり、美鈴がいた。

「好きです」

 突然言われたその言葉に、脳は理解が追いつかない。だが、美鈴はそんな俺に構わず言葉を続ける。

「会った時から、ずっと。一目惚れでした。根は優しいけど素直になれないところも、運動神経がいいところも全部好きです」

 嬉しいと同時に、心苦しくなる。

「だから、美咲希先輩と付き合ってるって知った時は、凄く悔しかったです。私の方が好きなのにって、ずっとずっと見てたのにって」

「…………そっ、か」

「返事、一応くれますか?」

 一年以上前なら、即OKを出していただろう。ただ、今は状況が違う。

「ごめん……。嬉しいけど、美鈴と付き合うことは出来ない」

「はい」

 美鈴も、この結果を予想していたのだろう。驚きもせずに聞いていた。

「これから先も、友達でいてくれますか?」

「もちろん。こっちからお願いしたいぐらいだ」

「ありがとうございます。じゃあ私帰りますね」

「おう。じゃあな」

 そして、帰宅路を歩く。夕日が眩しい。風が冷たい。とても、とてもいい天気だった。

「幸せに、なってくださいね」

 美鈴が呟いたその言葉と、一粒の涙に、俺は気づくことは無かった。


 ◆


「おにい遅いですねー」

 川崎家のリビングで、私と美咲希さんはソファーでくつろいでいた。

「まぁ、お楽しみなんだから仕方ないと思うわ」

 美咲希さんは少しイラついている様子だし。

「…………何か食べますか?」

「……お願いしたいわ」

 お菓子をストックしてある棚から、スナック菓子を取り出し、冷蔵庫からオレンジジュースを取って、再びソファーへと向かう。

「お持ちしましたー」

「ありがとう」

 高カロリーなので、なかなか食べないのだが、今日ぐらいはいいだろうと思い、私は美咲希さんと一緒にスナック菓子を貪る。

「美咲希さんって、食べてても太らないですよね」

「そうね……昔から代謝だけは良かった方なのよ。おかげで胸もないけど」

 胸のことはさておき、普通に代謝がいいのは羨ましい。

「私なんか油断したらすぐに脂肪ついちゃって……」

「運動すると多少は違ってくるわよ。葉月ちゃん、運動神経いいから何かスポーツをやってみれば?」

「んー、そうですねー。考えておきます」

 いつも通りの会話をしていたら、いつの間にか日が沈んでいた。

「ほんとに遅いですねー……」

 私がそういった数秒後、不意に玄関の鍵が開けられた。おにいが帰ってきたのだ。

「おー、ただいまー」

 ちらりと先程まで美咲希さんがいた場所を見ると、そこには誰もいなかった。

「遅いわよ。ばか」

 いつの間にか、玄関の方へ行っていたらしい。

「ごめんごめん」

 とても仲の良いカップルで、羨ましいことこの上ない。

 私がそこに着いたときには、二人は抱き合っていて、幸せな雰囲気を出していた。

「はーい、いちゃいちゃは私がいない時にしてくださーい」

「いやこれ俺悪くなくね?」

 おにいはいつもの調子だけど、美咲希さんは様子がおかしい。

 抱きついたまま、離れようとしないのだ。

 すると、おにいが突然口を開いた。

「なぁ美咲希」

「ん……?」

 いつもと変わらない、軽い感じだった。それ故に、とても破壊力のある発言だった。

「さっき、美鈴に告白された」

「えっ」

 驚きのあまり、私は声が出てしまった。

「……そう」

 しかし、美咲希さんは声のトーンこそ低いものの、とても落ち着いた感じだ。

「返事はしたの?」

「おう。断った」

 相変わらず軽いなぁ……おにいは。

「ならいいわ」

 美咲希さんはほっとしたような表情を浮かべている。

「じゃ、断った理由を聞いてもいいかしら?」

「いや恥ずかしすぎんだろ……」

「いいからいいから。早く言いなさいよ」

「えー……」

 確かに、断った理由は聞いてみたいが、それただの惚気じゃん……。

「え……っと。美咲希が本気で好きだから」

「「…………」」

 おにいは普段素直ではないが、優しいし気が利く。そして、ツンツンしていないのでツンデレではないが、ここまではっきり好きって言ったところは見たことがなかった。

 なので、私は無言のジト目でおにいを睨みつけ、美咲希さんは頬を赤らめておにいに抱きついている。

「なんでみんな無言? いっそ笑ってくれた方が楽なんだけど」

「いやー、もう結婚してくれないかなって思って」

「あら、私はそのつもりよ? 悠眞がいいならだけどね」

 ここでさらに爆弾発言。美咲希さんが私の義姉になったら楽しそうだし、私としても嬉しい。ただ、問題はおにいのほうだ。

「俺? ダメって言うわけなくね? むしろこっちからお願いしたいぐらいだし」

 いらない心配だったようだ。今日この二人どうしたのだろうか。普通ではないことは確かである。


 ◆


「あー、疲れた」

 美咲希が帰った後、俺はリビングのソファーへ飛び込んだ。

 とりあえず今日は色々あって疲れたのだ。

「なんか食べるー?」

「おー。なんか食べるー」

 丁度今、なんとも言えない空腹が襲ってきたのだ。ナイスタイミング。

「ほーい。軽食でいいよね?」

「頼む」

 このいつも通りのやりとりがありがたい。

 正直言うと、美鈴に告白されたということを美咲希に言うと、軽く喧嘩になると思ったのだ。ま、ただの勘違いだったようだが。

 いつもと変わりがなかったのでほっとした。

「出来たよ」

 そうやって、今日の振り返りをしていたらいつの間にか時間が経っていたらしい。

「オムライスか」

「オムライスだ」

「いただきます」

「どうぞ」

 美味い。とても美味いのだが。

「まだ俺の方が上だな」

 ドヤ顔でそう言ってやると、葉月は悔しそうな表情を浮かべるから楽しい。

「ぐぬぬ……いつか越してやるから!」

「はいはい。頑張れ頑張れ」

「あー腹立つ!」

 妹いじめはここまでにして、素直にオムライス食べますかね。

本格的に冬が始まりますが、皆さんしっかり防寒して過ごしましょう。

インフルエンザも流行りますからマスクなどの予防も忘れずに。

元気に年を越しましょう!

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