入学と進級 上
無事宿題が終わりそうです!(未来形)
少しの間休んでいて申し訳ないです。
二年編がスタートしました。これから悠眞達に何が起きるのやら、自分も想像ができません。
その日、俺は夢を見た。
それはとても楽しい夢。
しかしとても悲しい夢。
それがなんの夢かは覚えていない。
うっすらと視界がぼやけて、俺は目を覚ます。
……この夢前にも見た気がする。いつだったっけな。忘れた。
「ああー、学校か。めんど」
そう言って、俺こと川崎悠眞はだるい身体を起こす。
全く、これだから朝は嫌いなんだ。何でこんな早朝に学校なんか行かなきゃならないんだよ。
と言っても、ちゃんと行くのだが。高校はいいところだし、何より――――。
「おにいー!」
今日から妹の葉月が高校生になったのだ。
「なんだよ朝から」
「あ、起きてたんだ。それよりさ、どう? 似合ってる?」
今の葉月は高校の制服を着ていて、ブレザーの下に薄ピンクのカーディガンに、膝上までしかないミニスカートだ。
「似合ってると思うぞ」
少し言葉を濁しながら、俺はそう言う。
「それだけ?」
「えっと……可愛い、かもしれない」
「なにそれ」
「ごめん訂正、可愛い」
目が据わっていたので、前言撤回をした。ほんと女子って怖いよな。妹も含めて。
「それでいいのだ」
えっへんと豊満な胸を揺らして偉そうに仁王立ちしている葉月。
機嫌が取れてよかった。
「じゃ、着替えるから出てけ」
「はーい」
よっぽど機嫌がいいのか、俺の言うことを素直に聞いてくれる。
さて、葉月も出ていったことだし着替えるとしますか。
最後に制服を着たのはいつだっけな。多分一ヶ月も経ってないのにとても久しく感じる。
「こんなもんか」
この一年間でだいぶ着るのが速くなった。最初はネクタイに戸惑ったなぁ。懐かしい。
そうして着替えを終えた俺は、二階の自分の部屋から一階のリビングへ移動する。
「早いわね。おはよう」
「おお。毎日悪いな」
今軽く挨拶を交わしたのは俺の彼女、小野塚美咲希だ。
十一ヵ月ほど前から付き合っている。
俺が高校へ入学した時よりも賑やかで、楽しい日々を送れているのは美咲希の存在がでかいだろう。
――ピンポーン。
そんなことを思っていたら、突然インターホンが鳴った。年明け前までは朝の客と言えば美咲希だったが、現在はもう一人いる。
『お兄ちゃーん』
モニター越しにそう俺を呼んでくるのがマルことマルティナ・アルドベリ。十二歳の少女で、身長は百三十中盤。イタリア出身の金髪碧眼でショートボブの柔らかく元気のいい雰囲気を持っている。
「おはよ」
「うんっ!」
若者は大したもので、こんな朝でも元気が良い。そんなことを思うほど歳とったつもりは無いんだけどな……。
ちなみに、両親は仕事が忙しくほとんど家にいない。現在、この家の最高権力を握っているのは長男である俺だが、色々とめんどくさいので全て葉月に任せている。
「朝ごはん三名分入りました」
「了解っす!」
俺達兄妹はアホな部分が多々あるので、頻繁にこんな風なやりとりをすることがある。
それから、葉月はテキパキと料理を進めた。
「腹減ったな」
ついでに言うと喉もかわいた。そう言えば、起きてから何も飲んでいなかったな。
そう思い、俺は喉を潤すために冷蔵庫へ向かった。
取り出したのはオレンジジュース。僅かな甘さと少し強めの酸っぱさがさっぱりしていて朝は飲みやすい。
「おにい牛乳出して」
「はいよ」
この時期まだ寒いので、俺はホットココアがいいのだが、二人はどう思っているのかわからないからまずは聞いてみよう。
葉月は一人早起きしてさっさと朝ごはんを食べているのでいらないのだとか。
「ホットココアがいい人ー?」
「「はーい」」
みんな大好きホットココアですねわかります。
二人の返事を聞いた俺は、牛乳三杯分を片手鍋に注ぎ、火をつける。
最近はIHなどという便利なものがあるらしいが、残念ながらこの家にその文明は届いていない。
「おにい狭いよ」
「…………お前わざと寄ってるだろ」
「ソ、ソンナコトナイデスヨ」
「何故カタコトになってんだよ」
こいつは時々わけのわからない行動を取るからわけがわからない。こんな場面美咲希に見られると結構恐ろしいんだよなぁ……。
「寒いんだよ。別にいいじゃん」
「別にいいけどな? お前無防備すぎるんだよ」
女の子の香りと柔らかさがやばいんだって。そこんとこちゃんと理解してほしい。
「なに? 妹に欲情?」
「本当にしてやろうか?」
「結構です」
この会話馬鹿げてる。自分でそう思うほど馬鹿げてる。
「美咲希さん美咲希さん」
「なにかしら? 後、私にも敬語は要らないわ。美咲希さんは呼ばれ慣れてるから別の呼び方でお願い」
「わかった。じゃあ美咲希おねーちゃんって呼ぶね。でね、よくじょーってなに?」
「ブッ!?」
突然聞こえたそれに、俺は盛大に吹き出す。しまった、この場にはマルもいるんだ。考慮が足りなかったな。
「よ、欲情? ……生きていればそのうちわかるわよ」
美咲希もあんな少女にそのような知識を吹き込むのは不本意なのか、言葉を濁した。
「そーなんだ。じゃあ気にしないようにするよ」
マルは何かと察しが良いので、それ以上は追求しなくなった。本当に助かる。
ホッと胸をなで下ろしていると、美咲希がこちらへ向かってきた。
「言葉選びには気をつけなさいよ」
「わり。マジで気をつける」
忠告と言うか、説教というか、そういった類のものをしに来たのだ。
もちろん、俺もそれについては申し訳なく思っている。不用心すぎた。
本気で反省しているのが伝わったのか、美咲希は「そう……ならいいわ」と言ってテーブル席へ戻っていく。
「迂闊だったね」
「反省反省」
やらかしたという罪悪感が湧いてきたので、決して無視せずに心に留めておく。
そんな会話をしていると、そろそろ牛乳が沸騰しそうになっている。
なので、火を止めてカップに注ぐ。ココアの分量は……確認するのめんどくさいから小さじ三杯分にする。完璧俺の好みだ。
「お待たせしました、ホットココアでございます」
「どこの店員よ」
軽いツッコみを受けながら、カップを美咲希とマルの前に置く。
沸騰する前に火を止めたのでそこまで熱くないと思うのだが、若干猫舌の俺はそれでも火傷しそうになる。
「お待たせしました、焼き鮭とお味噌汁、それに白米でございます」
「どこの店員だ」
今度は美咲希ではなく俺がツッコむ。朝から何やってんだ俺。
葉月の作る料理は大体美味しい。しかし、卵料理は苦手らしく、俺の方が上手く作れるのだ。
まぁ、昔から卵が好きだから自然と卵料理ばかり作っているのだが。
「「「いただきまーす」」」
家を出発するのに残り四十五分。これだけあればこの和食を食べきり、準備することも出来るだろう。
クラス替えにそわそわしつつ、俺は朝ごはんを食べたのだった。
既に学校が始まった人や、もうそろそろ始まる人。学校によって様々だと思いますが、作者はまだ夏休みです。いい加減生活習慣直さないと遅刻ルート確定ですやばいです。
この作品を読んでくださっている方々、感謝しきれません。




