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年明け

なかなかカオスになったと思います(笑)

暖かい目で読んでいってください。

 ご飯を食べた俺らは、のんびりみかんを堪能していた。

 見るだけでわかるジューシーな果肉を口に放り込み、噛む度に溢れてくる甘さと酸っぱさが絶妙にマッチした果汁がやみつきになる。

「平和だねぇ……」

「そうだなぁ……」

 マルは既にソファーで横になって寝ている。

 疲れているのだろう。俺に出来ることは、休ませることだ。

「マルって不思議な子だよな」

「そうだねぇ。みんなを笑顔に出来るっていうか、いるだけでこっちまで幸せになるよ」

 それが、マルの個性だと思う。とっても素敵な個性だ。

「今年の終わりに、素敵な子に会えたな。あと3日だっけ」

「うん。確かそう。もっと色々話したい事とかあるんだけどな……5日間じゃ全然足りないよ」

「もっと色んなとこ連れてってあげたいな」

 これが俺達兄妹の悪いところで、2人きりで真面目に話をするとネガティブになってしまうのだ。

 まぁ、それでやりたいこととか色々見つけられるんだが。

「明日、東京に行ってみるか。人多いけど」

 俺の何気ない提案に、葉月は少し悩み、

「……うん。2人で行ってきて。あれだけ広くて人が多いとはぐれちゃうから」

 賛成してくれる。

 確かに、高校生には見えない凛花がいなくなりそうな予感もするし、美咲希を連れていけば俺と話し込んでマルの面倒なんて見れないだろう。大悟は却下だ。

 俺とマルで行くのが妥当か。

「そうだな。そうする」

 明日もなかなか忙しくなりそうだ。


 それから、だらだら過ごしているうちに年明けか近くなった。

 俺らはスマホゲームしたり、テレビに飽きて録画したアニメを見たりしていた。

「そろそろだねー」

「そうだなー」

 年明けまであと10分という所で、俺は携帯を取り出す。

『起きてるか?』

 そう送った相手はもちろんあの人。

『当たり前じゃない。年明けよ?』

 美咲希だ。既読が付いてから10秒以内で返信が来たので、暇をしていたのだろうか。

『電話してもいいか?』

 ここからが本題。一番最初に明けましておめでとうを伝えたいので、俺はそう聞く。

 すると、返事はなく、代わりに着信が来る。もちろん、応答する。

「悪いな、突然」

『いいわよ。私も丁度電話しようと思ってたし』

 そうなのか。ならほんとに丁度いいな。

 美咲希との電話は、少しガヤガヤしている。多分、賑やかな正月を迎えるのだろう。

『そっちは静かね』

「まぁな。マルは寝ているし、葉月はおとなしくテレビを見てるぞ」

 そこで、俺は携帯をスピーカーに切り替え、テーブルの上に置く。

『そう。こっちは近場の親戚が大集合しているわ』

 なるほど。それで賑わっているのか。

「楽しそうでなにより」

『それが、歳の近い子がいなくて暇なのよ』

「なるほど。俺も葉月以外に歳の近いやついないからなぁ……」

 そう話しているうちに、年明け3分前になった。

 普段、3分というのは短く感じるものだが、今に限っては長く感じる。

 俺はアナログ時計の秒針を見ながら、通話をする。

 長く感じるが、確実に進む時間。遂に残り1分になった。

 もうこれ長いのか短いのかわかんねぇな……

 俺らの間に会話はなく、聞こえるのはテレビの音。電話越しに聞こえる笑い声。

 残り10秒。テレビでもカウントダウンが始まっている。電話越しに聞こえていた笑い声が――止まる。

 みんな、その時を待っている。

 まぁ、俺はどうでもいいのだが。

 残り3秒になった時、俺は声を発する。

「美咲希」

『ん?』

 そして、みんな一斉に言う。

「明けましておめでとう。今年もよろしく」

 テレビも騒がしくなる。

『不意をつかれたわ。まさか先に言われるとはね』

 ということは、美咲希もそれを言うために電話をかけようとしていたのか。

「美咲希さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくです」

 葉月が割り込んでそう言う。

『明けましておめでとう。こちらこそよろしく』

 去年が終わり、今年が始まる。

 つい数分前まで今年だったのが去年に変わるもんだから、不思議なものだ。

『美咲希誰と喋ってんだよぉ? お? 悠眞? なるほど、君が悠眞君か』

 聞こえてきたのは陽気な声。なかなかにダンディなボイスだ。

「は、はい。そうです」

 その声に気圧されながらも、なんとか返事をする。

『おお! そうかそうか。俺は雅彦まさひこ。いつも娘が世話になってんなぁ」

 娘が世話になっている?

 ということはまさか……

「えと、あの」

 流石にコミュ障を発揮しすぎた俺は、まともに返事ができなかった。

『もうっ! お父さん悠眞が困ってるじゃない!』

 あ、やっぱりそうなんだ。

 恐らく、テンション的に酔っているのだろう。めちゃくちゃ楽しそうだ。

『ふつつかな娘だけどこれからもよろしく頼むよ!』

 雅彦さんはそう言い残し、美咲希に「あっち行ってて!」と言われ、去っていったようだ。

 美咲希の父さんがもっと怖い人だったらどうしようって思ってたよ……

『ごめんなさい。酔ってるみたいで。気にしないで』

「お、おう。突然のことだったからびっくりした」

 隣を見みると、葉月も驚いているようで、目をまん丸に見開いている。

「おにい。今の美咲希さんのお父さんだよ。もう挨拶に行っちゃうの?」

「馬鹿かお前! いや、否定出来ないか。どうしよう」

『何勝手に話進めてるのよ。その時が来たら私から誘うから、気楽に待ってて。お父さん普段もあんな感じだから』

 どうやら会話はただ漏れだったらしい。

 ま、美咲希本人がそう言うなら任せよう。

 新年早々、凄いことになったな。今年はどうなることやら。

 そんなことを考えているうちに、再び電話越しに笑い声が聞こえてきた。

『またギャーギャーしてきたわね。また会いましょう』

「おー。またな」

 近場の親戚大集合とは、なかなか楽しそうだな。

 ま、俺らの親族は四方八方に散らばって、集まることなんてほとんど無いんだけどな。

「賑やかだったね」

「俺らと対極だな」

 もしかしたら、あの環境で育ったから美咲希はノリがいいのかもしれない。

 そう言えば、他の奴らはどう過ごしているんだろう。

 気になったら行動に移さなきゃな。

 手始めに、大悟にメッセージを送ることにした。

『お前今何してる?』

『もうそろそろ寝る笑』

 今何をしているのか聞いているのに、何言ってんだこいつ。

『そか。明けましておめでとう』

『今年もよろしくは無しかよ笑あけおめ!!』

 こいつは暇をしていたと。なるほど。

 次は凛花。

『何してた?』

『家族ではっぴーにゅーいやー!! って叫んでたよ!』

 おお。楽しそうでなにより。

『そうか。あけおめことよろ』

 メッセージと一緒にスタンプを送信し、トークルームを閉じた。

 ラストに、友達全員、先輩後輩様々な人に明けましておめでとうを伝える。

 俺の友達は100人程度なので、それほど長い時間はかからない。

「じゃ、そろそろ寝るか」

「うん。そうだね。マルちゃん運んでもらっていい?」

「任せとけ」

 マルを葉月の部屋に運び、俺らは眠りについた。

ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございます。

感想、アドバイス等下されば嬉しいです。

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