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二章です
昨日関所を馬で通過して丸一日馬車で走り続けている。
通過時は人の姿を認識しにくくする魔術をかけてくれたようで、素通りだった。
それにしても先日までいた暑い国とのギャップがすごい。
さすが大陸最北端と呼ばれる場所だ。
キルギア王国は昔、リストリア帝国の領地の一部だった。
北部の針葉樹林に魔獣がはびこり、それを退治するために魔力の高い者を派遣したのがキルギア地方の始まりだ。
剣術だけでも魔獣は倒せたが、魔力で倒せば、その十分の一の力ですむため魔力のある者でないといけなかった。
魔獣はほうっておけば勝手に南下してきて人々を襲うためその場所に派遣された者は皇帝も一目を置き、公爵位を叙爵した。
キルギア公爵家の発祥である。
その後キルギア公爵家は魔力だけでなく、剣術や戦術についてもすぐれた能力を発揮し、北方の針葉樹林だけでできていたような領地に農地を作り、魔力を使って冬でも道路が通れるように整え、発展させ、公国として独立した。
キルギア公国となってからも帝国の属国であることに変わりはなかったが、着々と力はつけていった。
リストリア帝国の属国間投票で認めさせ、ついに王国として独立したのは二年前の話だ。
それから平和に国は統治されていたが、初代キルギア王が王位についていたのは一年ほどで国王は謎の死を遂げた。つづいて王妃も亡くなったとされる。
その後の国を継いだのは今まで魔獣討伐と戦争にあけくれていた弟だった。
それがデュランダルである。
「寒いだろう。これを」
キルギアに入国してしばらくして馬車を乗り換えたが、その馬車は王家のものらしくしっかりとした造りになっており、中は魔道具によって暖房設備も整えられている。
それでも出国したときのワンピースのままだったので今デュランダルが渡してくれたひざ掛けは大いにうれしい。
「ありがとうございます。ここまで寒いのは経験がなくて」
「だろうな。オルベリアは温暖地帯だからな。言っておくが、ここに住むつもりならもっと寒いということを覚悟しておけ。今はまだ秋だ。真冬になると湖の魚が凍る」
シェリアは驚いて大きく目を見開いた。
それを見てデュランダルがクスクスと笑っている。
え?
笑った?
初めて見たかも。
シェリアのほうが驚いてしまって、固まって見入ってしまった。
笑うとなんか……かわいい気がする。
普段無表情だからだろうか。
いや、ちょっとやばい。
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