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「いえ、助けてくれようとしてくださったことがうれしいと思っただけです」
そう言うとやはり不思議そうにシェリアを見ている。
「その……婚約者にも兄にも殺されるような女ですから。見ず知らずの人にそれでも助けてもらえたのだと思うと……うれしくて」
正直に言ったところデュランダルは少し視線をそらせた。
「当り前だ。俺は敵とみなした者しか攻撃しない。君は敵ではなかった。だから助けた。それだけだ」
「ありがとうございます」
素直にシェリアは深くお辞儀をした。
「連れて行ってもらえませんか?」
どこにも行くところがないわたしを受け入れてくれるとしたらこの人しかいない。
「わたしは死んだみたいですしもうオルベリアに未練はありません。今まで国政を担っておりましたので、キルギアでも力になれると思いますよ。何でも仕事をします。もちろん秘書として国政の手助けもできますが、雑用でも侍女でもなんでも。ですから……」
縋りつくようだが、本当に行くところがない。
このままだと野垂れ死ぬしかないだろう。
しばらく黙ってじっとシェリアを観察していたデュランダルだが、首を縦に振った。
「いいだろう」
そして、懐から硬いパンを取り出して、シェリアの前に置く。
「食べておけ。ここからは移動魔術は使えない。足がつく。一時間後に歩いて出発する」
「はい」
シェリアはほっと胸をなでおろし、硬いパンをほおばった。




