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あの夜襲ってきた暗殺者がシェリアの元恋人で、シェリアをとられたくないと思った男は国王を殺害し、修羅場と化し、お互いがお互いを刺し、無理心中したと書かれている。

痴情のもつれによりナダル国王は死し、その弟であるユーリーン氏が急遽即位したとあった。


ナダルの国王には王子が何人もいたはずだ。

なのに弟が即位したということは、おそらくあれはクーデターの一種だろう。

だが、そこは新聞は一切報じていない。

弟のユーリーンが新聞社を買収したか、はたまた弱みを握っているか…


「どうやらわたしは元恋人と無理心中したみたいですね」


「そのようだな。あの侍女の髪や顔についてはわからなようにしておいたから心配するな。ばれることはない」


「ありがとうございます」


淡々と言ってのけるが、完膚なきまでに焼きつくしたと言いたいのだろう。


おそらく兄とダニエルはユーリーンとつながっており、共謀して先王とシェリアを殺したと推測された。

信頼されている思っていた兄とダニエルが自分を排除したがっていたということをまだ簡単には受け入れられない。


心の奥がズタズタだ。


だからといってこのままここにいるわけにもいかない。

死んだことになっている自分がクーデターの起きた国にいることはできないが、故郷に帰るわけにもいかないし。


「はぁ……」


知らず知らずため息を吐いてしまったらしい。


「聞きたかったか? 雇い主が誰なのか?」


デュランダルが気づかわし気に言ったのでちょっと意外に思った。

今まで無表情だったのに……。


「そういえばデュランダル陛下はいつからあの部屋にいらしたんですか?」


最初からいたのだろうか?


「君が入室してきた時からいた。初夜であれば確実にナダル王を殺せるからな」


やはりナダル王を狙って?

聞いてもいいかしら?


「差し支えなければ、ナダル王をなぜ狙っていらしたのかを教えていただけませんか?」


「そうだな。差支えがない範囲ということならあいつがキルギアを裏切ったからだ」


「では、王にとどめを刺すつもりで部屋に潜んでいたと?」


ということは全部見られていたということか……。

それはそれで恥ずかしいし、それならもっと早く助けてくれても…


いや、でも素性もわからないどこかの国の王女だなんて助けるわけないか。


「もっと早く助けたかったんだがな」


え?

助けてくれようとしていたということ?

何に対してもあまり興味なさそうなのに……。


ふふ。


少しうれしくなって顔が緩んだらしい。


「どうした?」


不思議そうにシェリアを見る。


イケメンにじっと見られると照れくさくなる。

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