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だが、兄を見て、兄も泣きだしていることがわかった。
「無理だったんだ。俺には。お前より劣っている俺には。ずっと言われ続けてきたんだ。お前はどうしてシェリアに勝てないんだと。そして母はいつも俺とアリアを殴打しつづけた」
「それは、わたしも知らなかったけれど……けれど、それでもあなたは王ですよ。王なのに……」
「シェリア。ごめん。俺には……」
「ダメ。それ以上言っちゃ」
ゼノアは無理だと言おうとした。だけとシェリアは言わせなかった。
大きな声で言うとゼノアが黙った。
「ゼノアお兄様。あなたにはできるはずです。オルベリアを再建することが」
「なぜだ。こんな俺に何ができる? オルベリアをこんなにしてしまった俺に」
「なぜか? そうですね。なぜなら、お兄様。あなたはオルベリア王国を愛しているからです」
ゼノアの瞳が大きく見開いた。
「誰よりも愛しています。だからあなたはこの国の国王になろうとしたんです。もう父と義母が死んだあの時点で放棄することもできた。帝国に取り込まれてもよかったんです。だけどそれをしなかったのはオルベリア王国を、民を愛しているからでしょう?」
「シェリア……俺は……」
「できます。なぜならわたしたちもお兄様を助けますから」
「え?」
「今、王宮は魔王すなわちアリアと聖王すなわちデュランダル陛下の戦いで焼け落ちました。ですが、魔王はもう跡形もなく消えましたので、デュランダル陛下の部下のギルティ・ガードナー公爵閣下がとりしきり現場を監督されています。心配しなくても民は強いです。絶対に再建できるわ」
「そうだ。アリアは? どうなった? 死んだのか?」
「いいえ。そこに眠っています」
隣のベッドを指さすとゼノアはほっとしたように息を吐いた。
「俺にできるだろうか?」
「国を統治するうえで、一番大切なことはその国を愛していることですわ。お兄様」
それは事実だ。
デュランダルもキルギアをとても愛している。
父と義母はオルベリアを愛していなかった。だからあんなに無茶苦茶な事態になった。
しばらくゼノアは考え込んでいたが、重々しく口を開いた。
「シェリア。俺は……不安はあるが頑張ってみようと思う。国をこんなことにした責任を…とるべきだよな」
「ええ。その通りよ」
「頑張るよ。助けて欲しい」
その目は真摯なものだった。
不安がないわけではないが兄はやるだろう。
「シェリア。聞いてほしい。事実を。魔王がオルベリアを侵害していった経緯を……」




