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シェリアはその場に倒れこんだアリアを受け止めた。
青い髪に戻っており、そして息をしている。
ああ……よかった。
膝の上にアリアを置いたままデュランダルとホワイトサーベルが対峙している大きなドラゴンを見あげる。
魔王……。
「シェリア。大丈夫か!」
ロレッタとともにダニエルがやってきた。
「ロレッタ殿下。ダニエル」
「ここは危ない。避難しよう」
ドラゴンが吐く炎が王宮のそこここに移り、いろんな場所から火が上がっている。
「とにかく外へ」
「でもデュランダル陛下が……」
「彼は聖王だ。必ず倒してくださるよ。絶対に」
「陛下は大丈夫よ。ホワイトサーベルもいるから」
二人ともデュランダルを信じている顔だった。
その通りだ。
彼は聖王。ここにいれば邪魔になるだけだ。
彼を信じよう。
「そうね。では外へ行きましょう」
ダニエルは気を失っているアリアをおぶり、シェリアはロレッタをおぶった。
とにかく外へ。王宮の大きなチューリップの花畑へと逃げ込んだ。
ここなら火はこないだろう。
時々王宮の窓からは火がもれ、そして王宮は今は完全に燃えていた。
「本当に大丈夫かしら。デュランダル陛下が……」
信じると思ったくせに気になる。
「シェリア。信じよう」
「けれど…」
燃えている王宮を見るとどうしても怖さが募る。
パキパキと壁が崩れはじめる。
「きゃー」
シェリアの悲鳴とともに王宮の壁の中からデュランダルがホワイトサーベルに乗って現れた。
その先に魔王であるドラゴンが飛んでいる。
そしてそのままドラゴンはシェリアたちのチューリップ畑のほうへやってくるではないか?
「くそっ! 俺が相手する!」
ダニエルが剣を持ち立ち上がった。
万事急すなのか?
シェリアもダニエルと共に立ち上がったその時だ。
ドラゴンはシェリアを見て、顔をしかめたのだ。
『またお前か。その足枷がわれの邪魔をする。気味悪くて近づけない』
ロレッタが横で大きな声で魔王の通訳をしてくれている。
デュランダルにも聞こえるように。
足枷?
もしかしてこのアンクレットのこと?
ドラゴンはシェリアたちの元から去るとまた燃える王宮の上を飛び回る。
『お前たちこそがわれなのだ。お前たちがわれを作ったのだ。それをなぜつぶそうとする?』
「そうだな。俺にはわかったことがあるんだ」
『人間がわかったことなどたかが知れている。結局憎みあっていがみ合って殺し合いをするだけの種族ではないか? われのような負の塊を生み出す邪悪な魂ではないか?』
「いや、そうではない。俺たち人間は負の感情を持って生きている。だけど喜びの感情も持っている。人はなぜこんなにもうれしいとき幸せを感じるのか? それは負の感情があるからなのだ。俺は、シェリアと出会ってそれを知った。シェリアが教えてくれた。シェリアの昔の生活に、婚約者に嫉妬して、そして知った。シェリアと今喜びをわかちあえるのはそのおかげだと。だから負の感情を増大させて人間を負だけの世界にいざなおうとしているお前を許すことはできない。人間には喜びがあるべきなのだ。負だけでは生きていけない。だからお前は亡ぶべきなのだ」
それを聞いてホワイトサーベルはにやりと笑った。




