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「国王陛下、並びに王女殿下のご入場でございます」
ラインハルトの声でホールの奥の扉が厳かに開く。
ぎーっと重い音とともに扉が開くと、その前にはデュランダルとそしてその横にピンクのかわいらしいドレスを来た護衛騎士に守られているロレッタ。そしてデュランダルの左側には綺麗な女性が立っていた。
ざわっとホールがざわめく。
あまりにも女性が美しかったからだ。
「まぁ。あの方がどこぞの王女様なの?」
「綺麗な方だな。奥方にされるのか?」
王族が入場し、一番奥の階段の上の豪華な椅子に座る。
皆が座ったところでデュランダルが声をあげた。
「皆の者。今日はよく来てくれた。昨年度は兄である先王が身まかった直後であったため開催できなかったが、今年は二年ぶりの開催となる。どうか二年間の疲れをいやし、楽しんでほしい。みなもパートナーとともにこの夜を楽しんでくれ。わたしも今日は美しいパートナーを伴うことができた。彼女を紹介したい」
そしてシェリアを少し彼のほうへと引き寄せた。
「オルベリア王国のシェリア王女だ。ナダル王国のクーデターで死去したと思われていた彼女はわたしが救ってかくまっていた。今日、ここに公表する。彼女はわたしのもとで生きている。そしてこちらにいるのが先王の娘ロレッタだ。シェリア王女は両親を亡くしひとりさみしく城で過ごしていたロレッタの母がわりを務めてくれている」
「オルベリア王国が王女、シェリア・オルベリアです。この命があるのはデュランダル国王陛下に助けていただいたおかげです。ロレッタ殿下は祖国の王から見捨てられたわたしの心をも癒してくださいました。デュランダル陛下と、そしてキルギア王国にはとても感謝しております」
シェリアは深々と淑女の礼をとった。
そして顔をあげるととなりでシェリアを見守るデュランダルのほうへ顔を向け、にっこりと笑った。そうするとそれにつられるようにデュランダルもにっこりと笑う。
会場はシンと静まりかえっていた。
が、メルディス侯爵と夫人がゆっくりと大きく拍手をはじめると会場のほかの貴族たちもぱちぱちとそれに倣い始めた。
外国からきた貴賓たちも二人の光景がほほえましくて拍手に乗じる。
どうやら会場は二人の関係を認めたようだ。
会場は和やかに沸き立ち、宮廷音楽団が奏でるワルツが流れてくる。
壇上からシェリアをエスコートして降りてきたデュランダルは中央の一番高い場所でシェリアの手をとり礼をする。
二人のダンスが始まった。
そしてそれにつられるようにほかの貴族たちも続く。
これぞ舞踏会だ。
だが、デュランダルは気づいていた。この会場の中に魔王の気配があることに。
おそらくワルツが終わったころに彼は動き出すだろう。




