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その夜、シェリアはデュランダルに連れられ、馬車に乗ったが、ファルコン公爵家に到着したときには、あまりにも想定できない場所だったので驚いた。
ここで何があるのだろう?
「陛下。ディアン様。お待ちしておりました」
メルディス公爵と公爵夫人が出迎えてくれてホールに案内してくれる。
ウナが挨拶してくれて、はじめてみた6歳の息子のケーシー公子も一緒にディナーをごちそうになった。
公爵家のシェフがつくる料理もキルギア王城なみにおいしく、キルギアワインも少しだけディアンはおいしくいただいた。夫人はざっくばらんな人で、メルディスとよくお似合いだとシェリアは思った。
裏表がなさそうなのでとても好感が持てる。
「夫人。またお会いしましょう」
ここでは死んだことになっている自分は女性ではロレッタ以外にろくに交流する人もおらず、女性の知り合いは皆無だったので久しぶりの女性との交流が少し嬉しく思えた。
「はい。ご招待いただいたらいつでも登城いたしますわ」
少しワインがはいっていたのもあるだろう。久しぶりに楽しい夕食会を過ごした気がした。
「ではわたくしはケーシーを寝かせますので失礼いたします」
そう言って下がっていった夫人と子どもたちが去ったのを見て、デュランダルはおもむろに言った。
「さて本題に入ろう」
今まで食事の間中とりとめのない話をしていたデュランダルだったが、声のトーンが変わった。
「階下の執務室に呼んでいます」
「わかった。行こう。シェリア」
デュランダルにエスコートされて、メルディスの書斎に入って、そして目の前のソファに座っている人物を見て、シェリアは驚き、思わず、デュランダルの手をきゅっと握り締めた。
「ダニエル?」
そこにいたのは、半年前に自分を殺そうとした元婚約者、ダニエル・リーグだった。
硬い表情をしていたが、シェリアの「ダニエル?」という声にはっとしたようにその場にばっと膝をついた。
「シェリア。どうか僕を殴ってくれ」
「ダニエル……」
ぎゅっと握っていたデュランダルの手をゆっくりと力を抜いていく。
そして理解した。
自分を殺しにきたのはダニエルではなかったのだと。
それだけでほっとして泣けてきた。
結局裏切ったのは兄のゼノアと妹のアリアだったのだ。
血のつながった兄妹こそが自分を殺そうとしたのであって、ダニエルは何もそれにはかんでいないのだ。
ぽろぽろと涙が瞳からあふれた。
デュランダルはそんなシェリアを静かに見守っていた。
「バカなのはわたしとそしてあなただった。そういうことね」
「シェリア」
泣きながらそういうかつての婚約者をダニエルは見上げた。




