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「シェリア。このドレスを舞踏会で着てほしい」
「これはサテンですね。こんな高価なものを……よいのですか?」
舞踏会が一週間後にせまっている。
ようやく仕立て屋から届いたサテンのドレスをデュランダル自らシェリアに届けた。
今流行らしいサテンというつるつるとした生地でできている。
帝国ではもうこれがデフォルトだと仕立て屋は言っていた。
なんでも世界は帝国が中心なのだ。
「俺はファッションには疎くてあまりわからないが、王室ご用達のキルギアで一番格式の高い仕立て屋に作らせたからいいものだと思うのだが……」
「はい。とてもいいものです。すばらしいですわ。ありがとうございます」
うっとりと眺めている。
よかった。
「俺も同じ色のものを着る」
「けれど、わたしはどうしましょう? また髪色と瞳の色を変えますか? 舞踏会で仮面をつけるわけにはいきませんし」
「いや、そのことなんだが……」
デュランダルは決めていた。
一週間前にやってきたダニエル・リーグ。
彼と話してみて決めたのだ。
「シェリア。君を公表する」
「え?それは……」
「オルベリア王国のシェリア王女として俺のパートナーになってくれないか」
シェリアが目をまるくしている。
「わたしは……わたしでいていいのですか?」
「ああ」
少しだけ笑顔でそういうシェリアに、本当はシェリアはシェリアでいたかったのだとその時知った。
俺はやっぱりバカだ。
自分の名前を捨てて生きることがどれだけつらいことか考えればわかることなのに。
「シェリア。すまなかった。君の気持ちを考えられていなかった。バカな俺をなじってくれていい」
「まぁ。何をおっしゃるのです? 死んだことにしなければわたしは生きていられませんでした。今まで細々と生きてこられたのは全部陛下のおかげなのですよ」
もうすっかりボティタッチには慣れてしまった二人だ。
シェリアはデュランダルの手をそっとにぎった。
「シェリア。ありがとう」
その手の上からデュランダルの手を重ね、そしてデュランダルは言った。
「だが、本当に危険であることには変わりはないんだ。それでも公表したいというのには訳がある」
「訳?」
「ああ。シェリア。一緒に来てほしいところがある。今夜時間をとってほしい」
「はい。大丈夫です」
「出かけよう」




