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リーグ公爵家の次男 ダニエル・リーグ。シェリアの元婚約者。


「彼はアリア王女と婚約したのではなかったのか?」


数か月前の新聞ではそう報じられていた。

シェリアはとても傷ついていたというのに……。


「それが……ダニエル・リーグははめられたと言っておりまして、自分の元婚約者を殺すつもりだと知っていたらナダルに行くのを阻止したのにと言っているのです。それに元婚約者は生きていると確信しておりまして。絶対にキルギアにいるはずだと俺に近づいてきたんです」


「なんだと?」


「さらにオルベリアについて伝えたいことがあるから陛下に合わせてほしいと泣いて懇願してきたのでとりあえず連れて帰ってきました。念のため俺の屋敷に連れ帰り、本人も同意したので地下牢にいてもらっています。一度会ってみてもらえないでしょうか?」


今になってダニエル・リーグが出てくるとは思わなかった。

確かにアリア王女との婚約のニュースは冬のはじまりに聞いたはずなのに、その続報はまったく流れてこない。

その間に婚約者自身が亡命していたということか。

オルベリアはそれをまだ公表していない。


「最近オルベリアには不穏な動きはないと思っているが何かあるのか?」


「いえ、わたしたちもその認識です。あの国王はナダルと同盟が決裂してからは静かに過ごしているように思いますが……」


何か無性に胸騒ぎがした。


あのめんどくさい国が静かだということが怖かった。


「わかった。会おう。今すぐ行く」



その男はくるくるとした黒髪で、黒い瞳の凛々しい顔だちをしたイケメンで体つきはほっそりとしているが、体つきから察するに剣士か何かだろう。上着の下から見える胸板の厚さは鍛えていることを隠せてはいなかった。


メルディスの家の地下牢に無造作に寝っ転がっていたが、デュランダルが顔を出すと、さっと立ち上がり鉄格子ごしに敬礼をした。


「こちらがデュランダル国王陛下だ」


メルディスが述べると、ダニエルがきりっとした声を出した。


「キルギア国王陛下に敬意をもってご挨拶申し上げます。もとオルベリア王国リーグ公爵家公子、ダニエル・リーグと申します。どうかわたしをキルギアにお迎えください。オルベリア国王が世界を狙っています」


自分と同じくらいの身長の体格のいいこの男がかつてはシェリアの婚約者だったのだ。


「その根拠は何だ?」


「はい。オルベリア国王が世界転覆のために兵士を集め始めました。もうあの国にはいられません」


「それだけでは何が何だかわからないな」


「では、聞いていただけますか? わたしの長い話を……」


「長い話?」


「はい。わたしの愛する婚約者、シェリア王女との婚約破棄から今にいたるまでを」


ダニエルがじっとデュランダルの目を見た。

愛するといったか?


この男は……。


今もシェリアを愛している。

そしてシェリアが俺の元にいることをわかっている。


「いいだろう。メルディス。この男を地下牢から出せ。悪いが客間を用意してくれ。長い話になりそうだ」


「はっ」


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