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執務室に入るとすでにデュランダル以下、ラインハルト、ギルティ、メルディスがそろっていた。
「お待たせして申し訳ございません」
急いで入ると、いつもの席に座る。
「そろったな」
みながデュランダルの方へ向き直った。
「昨日の件で詰めておかねばならないと思ってな。まずみんな昨日の件は聞いてくれているな」
「はい」
「確認だが、この四人以外に昨日の件を知っているのは、ロレッタとそしてマリアとメリッサだけだ。他にはいないな」
「はい。おりません」
ラインハルトが答える。
「大神殿でディアン様がさらわれるのを見た大神官と神官三名、そして近衛兵九名については他言無用の誓約魔術を使いましたので、問題ないでしょう」
ギルティが言う。
「わかった。ギルティに聞きたい。大神官への予言についてはどうなった?」
「はい。早朝から大神官のもとへ飛び、予言を行ってもらいました。『聖王がここキルギアの地にてこの十年の間に生まれるであろう。あの空の聖王紋はその予兆である』と。そのせいか町中ではその噂でもちきりです。そのうち新聞記者や商人たちから他国へも伝わるでしょう」
「よし」
「聖王になられたことを内緒にするということですか?」
シェリアが質問する。
「ああ。魔王がどうでるかを確認したい。魔王は今世界のどこかにいるのか、そもそもいったいどういうものかすらわからない。人なのか動物の形をしている何者かなのか? だから聖王が産まれると予言したら魔王が動くと思うのだ」
そうするとデュランダルが聖王とは誰も思わないし、魔王が今どこかにいれば焦ってキルギアにアクセスしてくるだろう。それを狙っているのね。
「ただ、何度も言うが、俺は俺だ。何も変わらない。だからいつも通りに過ごす」
「はい」
「では以上だ。みな魔王について何かあればすぐに情報を共有するように」
「ディアン様!」
会議が終わり、昼間の小麦の件を調べたくてすぐに執務室を出たら、後ろから声をかけてきた。ギルティだ。
「ガードナー閣下。どうされましたか?」
と、突然その場に土下座をした。
「え?」
驚きのあまり何もできない。
「申し訳ありません。わたしは…昨日、あなたがさらわれた時、陛下に……陛下に、あなたを捨てろといいました。国のほうが大事だと。陛下がいなくなったらこの国はどうなるかと……」
そのまま顔を床につけるかのごとくに下げて話し続ける。
「ですが間違っていました。陛下に怒鳴りつけられてぶたれて気づきました。あなたが陛下にとって何よりも大事な方だということを失念していました。大事な人を失って国を統治することはできない」
「閣下……」
「大事な人がいてこそ王であれるのです。陛下にとってあなたは自分の命よりも大事な方なのです」
「そんな…」
「あなたはこの国にとっても必要な方だ。だが、それよりも何よりも陛下にとってあなたがいなくては王であることすらできないのです。どうか陛下を大事になさってください。お願いいたします」
「…………」
言葉にならなかった。
そのまま部屋に戻ってから入浴しながらもそればかり考える。
「ディアン様。今日もお肌つやつやですわね」
「ほんと、どうしてこんなに胸が大きいのですか? それに髪もこんなにきれいなキラキラのブロンドでいらっしゃるし」
侍女たちがいつものごとくシェリアのことを絶賛する。
けれど、自分の中ではこの髪は母ゆずりの色でオルベリアの王宮では毛嫌いされていたし、胸も大きすぎてアリアには気持ち悪いといわれていた。そんな自分が綺麗だとか言われても……。
「そんなことはないと思うわ。わたしの胸は大きすぎるし、髪は光を反射するから目が痛いと言われているのよ」
「ええ? どなたですか? そんなことをおっしゃるのは?」
「ほんと、目がおかしいんじゃないですか? デュランダル陛下はいつもディアン様の姿にくぎ付けではないですか? こんな入浴シーンをご覧になられたらもう正常ではいられませんよ」
「何よそれ」
思わずプッと噴き出した。
「本当にお綺麗なんですもの。ねえ」
「ほんと」
ほんとにほんとなのかしら?
ほんとにデュランダル陛下はわたしを好きでいてくださるの?
本当?




