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「だが、どうやら俺が聖王らしい」


「え?」


シェリアが目を丸くしている。


「ロレッタが聖女で、俺が聖王。だとあのホワイトサーベルは言ったな」


「本当だったんですか? その童話が」


「いや、わからないさ。まるで夢みたいなことが針葉樹林で起きたんだからな」


「…………」


「君をさらったホワイトサーベルはロレッタを使って針葉樹林に俺をよこしたかった。だから君をさらったらしい」


今思えば俺を確実に連れ出すためにシェリアをさらったのだ。狡猾なやつだ。


「ロレッタは今まで城から出したことがなかったが、どうやら魔獣はロレッタをずっと監視していたようで、城から出た昨日を確実に狙ったようだ。そしてそばにいたシェリアをさらい、俺を針葉樹林に導くことに成功した」


「では、ロレッタ殿下は魔獣の言葉がわかるというのですか?」


「ああ。意味の分からない言葉を話していたな。魔獣と」


「なんと、まぁ」


口を手で押さえている。

俺もいまだに信じられない。


そこからは森の中で起こったことを正確に話した。

自分の右上腕に刻印された聖王のしるしについても。


いつの間にか着替えさせれていたらしいナイトウェアをめくり、右腕の刻印を見せた。

碧くぼうっと光っている。


「さわっても?」


「ああ」


シェリアの指の感覚を感じると、刻印は熱を帯びた。


「何か熱い感じがしますね」


「常に熱を帯びているな」


「陛下が聖王……ということは魔王も現れるかもしれないということですか?」


「わからない。ただ、わかっているのは俺は変わらないということだ」


シェリアをまっすぐ見つめる。


「俺は、俺だ。デュランダル・カルヴァイン・キルギアという一人の人間だ。キルギアを愛し、そして一人の女性を助けたかったただの男だよ」


「陛下?」


シェリアが不思議そうな顔をする。

今しかないと思った。


「シェリア。好きだ」


シェリアは少しだけ目を大きく見開いた。


「愛している。君を」


「陛下……」


シェリアはまっすぐにデュランダルを見ていた。


そして少しして視線をそらせた。



「わたしなど取るに足りない人間です。陛下にはもっと相応しい方が……」


「何を言っている。君は自分の価値を過小評価しすぎだ。君がいなければこの国はもうすでに回らなくなっている。取るに足りないなどと誰も言わないぞ」


「…………」


シェリアは無言で目を逸らしていた。


もしかしたらそれは口実で、ただ単に俺が嫌なだけなのか?

そう思うとめげそうになった。

いずれにしてもこれ以上今は言っても無駄だ。


「だが、どうか知っておいてほしい。俺にはシェリアが必要だと。キルギアの王としても、そして一人の男としてもだ」


両肩を掴んでこちらを向かせる。


「絶対に自分を卑下するな。君はとても素晴らしい女性だ」


「陛下……」


最後には自分目をみてくれた。

そのエメラルドの宝石のような瞳に自分をもっと映して欲しい、そして俺を必要としてくれ。

そう思った。

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