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「陛下。お目覚めですか?」
ああ。俺は夢を見ているのか?
目が覚めたら目の前に愛しい人の顔があった。
「シェリア……」
声がかすれていることに気づいた。
「こちらをお飲みください」
水差しを口元に差し入れてくれたのでそのままごくごくと飲んだ。
とてもおいしく感じた。
そういえば、部屋に戻るとそのままベッドに倒れこむように落ちてしまった後、記憶がない。
何も飲み食いせずに寝てしまったようだ。
突然おなかの空腹を感じた。
「朝ごはんもご用意しています。パンがゆとスープです。召し上がってください」
部屋の中のテーブルの上にあつあつのスープが置かれており、いい香りが広がってきた。
「そうだな。食べたい」
起き上がってテーブルの前に座り、夢ではないことに気づいた。
「シェリア。起き上がっていいのか? 体調は?」
昨日眠りつづけていたはずだ。もう体調はいいのだろうか?
「ええ。すっかり元気です」
もりもりと腕をあげる。
顔色を改めて見てみるとよさそうに見えた。
よかった。
ほっと胸をなでおろす。
「今何時ごろだ?」
「もう正午すぎですわ」
「なんだって? そんなに眠っていたのか?」
「ええ。ラインハルト様に執務はお願いしてありますから大丈夫です。今日はゆっくりお休みくださいと言付かっています」
「わかった。とりあえず食べよう」
スープをひとさじ飲むととてもあったかくおいしく感じられる。
体にしみわたる。
「助けてくださったと聞きました。ありがとうございます。わたしなどを……」
「わたしなどなんていうな」
「ですが、王族でも貴族でも、そして平民でもないただの人間です。何の価値もないわたしをわざわざ助けにきてくださったと……」
「ラインハルトから聞いたのか?」
「はい」
どこまで聞いたのだろう?
「ラインハルトは詳しいことは話さなかったか?」
「はい。わたしが聞いたのはホワイトサーベルにさらわれたわたしをロレッタ殿下とともに陛下が助けにきてくださったということだけです。詳細は陛下に聞いてほしいと言われました」
そうか。わざと話さなかったのだな。ラインハルトは。
「驚くと思うが、では話そう」
デュランダルはパンがゆを食べながら詳しく話した。
「キルギアに伝わる童話を知っているか?」
「どんな童話ですか?」
「聖女と聖王と聖獣という童話だ。単純な話だよ。聖女は魔獣の言葉をあやつり魔獣の言葉を理解できる。その聖女の導きのもと魔獣を従えし王が聖王だ。聖王が生まれるとき聖女も生まれ、魔獣は聖獣となり世界の悪である魔王と戦い勝利する。世界は平和になる。そういう話だ。キルギア人なら平民も含め、皆知ってる」
「それは図書館で読みました。さっと流しただけですが……どこの国にも似たような童話はありますもの」
「そうだな。みなそう思っている。ただの童話だと。子どもが好きな英雄伝だと」
「はい」




