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『お前の右腕の青の王冠は聖王の刻印だ。そしてこの剣は今より聖剣となる』
よく見ると青の王冠はホワイトサーベルの額にも刻印されている。
『われは聖獣の王となる』
あまりの出来事に頭がついていかない。
静かに二人の通訳をしてくれていたロレッタを見たが、落ち着いた表情をしている。
『さあ、ではそろそろ元の世界へと戻るがよい。魔王が現れるかはわからぬ。だがそなたは魔王を倒すであろう。われらの力が必要な時は聖女に頼むとよい』
ホワイトサーベルがロレッタを見るとロレッタは静かに頷いた。
あまりのことに混乱していたがとにかく去らねばと、デュランダルは聖剣を鞘に納め再び帯刀するとまずはロレッタを馬にのせ、それから自分の足元で眠るシェリアを抱き上げた。
すやすやと眠っている。
『その者はお前の弱みとなるであろう。だが、お前を強くもするであろう』
「俺がどうなってもシェリアは守る」
ホワイトサーベルを見上げ、言うと、ホワイトサーベルはしばらくじっとデュランダルを見つめていた。
『聖王。ではさらばだ』
すーっと姿がうすれていく。
デュランダルはシェリアを抱いたまま馬に乗ると、移動魔術を使い王城へと戻っていく。そして気づく。なんと、以前より魔力が増している。
これが聖王の力なのか?
無意識に念じた場所が王城のシェリアの部屋の中だったようで、馬はきちんと厩へ移動させていたが、シェリアはそのままベッドの中に寝かせるとロレッタのほうへ顔を向けた。
「ロレッタ。すまないが、マリアとメリッサを呼んできてくれ」
「はい。わかりました」
ああ、よかった。
すやすやと眠る愛しい女性を見る。
聖王というただの童話の主人公だと思っていた者が自分だといわれてもよくわからない。
ただ、この右腕にできた刻印は確かに聖王だという証拠に他ならない。
自分は本当に聖王なのだろう。
だが、だからといって何なのだ?
魔王?
そんなもの実際この世に現れてなどいない。
そんな現実に存在しないものにおびえて何になる?
俺は俺であるだけだ。
シェリアを好きなただの男だ。
キルギア王国と国民を愛する、ぽっとでの王にすぎない。
シェリアが無事でいてくれればそれでいい。
キルギアが幸せであればそれでいい。
寝ているシェリアの額にそっとキスを落とした。
そしてロレッタが呼んできた、マリアとメリッサにシェリアの世話をたのみ、疲れ切っているロレッタを入浴させて寝かせるよう命じ部屋を出た。
さぁ、部下の元へ行こう。




