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と、一連の会話を聞いていた大神官がすーっと前に出てきた。
「陛下。ロレッタ王女殿下はどうやら聖女様のようです」
「何?」
聖女?
あの神話に書かれていた伝説の聖女か?
キルギア国民ならだれもが知っている
聖女と聖王の物語。
聖女は魔獣の言葉がわかるという。
そして聖王は魔獣の王となり、魔獣は聖王が生まれるとき聖獣となる。
それは、魔王が世界を支配しようとしたときに生まれ、聖獣とともに世界を守るのだと……。
近衛兵たちがさらにざわついている。
「では、ロレッタ殿下は伝説の聖女様なのですか? ということは……」
「聖王様もどこかに……」
「つまり魔王が……」
がやがやとざわめきが止まらない。
「ロレッタ。ホワイトサーベルと話ができたのか?」
「はい」
驚いた。
魔力がなかったから今まで外に出さずにいたが、魔獣と話せるとは……。
「みな、静まれ」
デュランダルの言葉にシンと近衛兵たちが黙る。
ざっと見積もって、近衛兵が十名。
神官は大神官含め五名。
全員に忘却魔術をかけるのは不可能だ。
神官たちは魔力も強いからかからないだろうし。
「今起きたこの事件は忘れてくれ。ロレッタが聖女という話はなかったのだ。ディアンもさらわれていない。いいな。これはキルギアを守るためだ。他国からの侵略を許してはならない。そして」
大神官を見て目で合図する。
頷いた。あいわかったということだ。
「あくまでも聖女と聖王の物語は物語に過ぎない。それを忘れるな」
「はっ!」
「では俺はロレッタとともにホワイトサーベルのもとへ向かう。馬を」
「はっ!」
「ギルティ」
「はい」
うなだれていたギルティが顔をあげた。
「国をたのむ。必ず戻る」
「はっ」
ギルティはそのまままたうなだれていたが、彼のことはあとだ。とにかく今はシェリアだ。
はやく助けなければ。




