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「ホワイトサーベルが出ただと?」


「はい。さすがに上級魔獣が出るとは我々も……」


シェリアのピアスの反応があり、そのあとロレッタの叫び声であわてて大神殿の扉を開けたデュランダルはギルティが蒼白な顔をして突っ立っているのを見た。

そこにシェリアの姿はなった。


ホワイトサーベルなどいまだ見舞えたこともない魔獣だ。

かなり腕の立つ魔獣狩りであろうとホワイトサーベルを見ずに一生を終える者がほとんどだ。


針葉樹林のかなり奥に主のように鎮座していると言われている。


そのホワイトサーベルがシェリアをさらっていった。


「くそっ!」


シェリアがさらわれただと?

ホワイトサーベルの口に咥えられていただと?


どうしたらいいかわからない。

ロレッタは無事だったが、なぜよりによってシェリアなんだ?


「陛下……」


探したいがどこからどう手を付けたらいいかわからない。


ロレッタを連れ出したのが失敗だったのか。

自分一人で例年通り冬至祭をすればよかったのか。


ああ、わからない。


ただ、シェリアがさらわれたという事実だけがこんなにも心の奥に重りを落とす。


だが、こうしているわけにはいかない。

俺が行くしかない。


どうしてもシェリアを失うわけにはいかない。

シェリアがいなくなるなんて考えられない。


「シェリアは気を失っているだけだったのは確かか?」


「はい。おそらく。死のにおいはしませんでした」


ギルティはずっと自分と戦地に赴いていたからというのもあるが、彼の魔力の特殊能力なのか死のにおいがわかる。

だから死んでいなかったのは確かだろう。

ならばホワイトサーベルは何か意図があってシェリアをさらったはずだ。

上級魔獣はむやみやたらと人を襲いはしない。


俺に針葉樹林へと足を運ばせたいのか?


「針葉樹林へ行く」


「陛下っ!」


ギルティが手のひらを広げて前にたちはだかった。


「あなたが行けばこの国はどうなりますか? ディアン様がああなってしまったのは悲しいですが、国のことをお考え……」


バシンとギルティの頬をぶつ音が静寂を切り裂く。


「口を慎め。ディアンに謝れ!」


「陛下っ! ですが」


「お前はもういい。俺が一人で行く」


周りを近衛兵たちが取り囲みシンと静まり返っていた。


デュランダルが腹心の部下の頬をぶった。

それほどまでにあのディアンという女性を……。


「誰か、馬をまわせ」


デュランダルの殺気立った言葉に近衛兵の一人が足を一歩踏み出した時だ。


「待ってください! 陛下っ」


それまで呆然と立ちすくんでいたロレッタが大きな声で叫んだのだ。


「わたしも行きます!」


「なんだと? ロレッタ、それはだめだ。俺が死んだらお前しかこの国を継いで行ける者はいないんだ。ホワイトサーベルは上級魔獣だ。命の危険がある。絶対に連れていけない」


「ダメよ。行きたい。いいえ、行かなくちゃいけないんです。ホワイトサーベルが言った。必ず陛下と一緒に来いって。場所もわかるわ」


「なんだと?」


ざわっと近衛兵たちがざわめいた。

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