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「ディアン。城下に行かないか?」
「え?」
恋と分かればデュランダルの行動は速かった。
「ええっと、二日前に行ったばかりですがよいのですか? ロレッタ殿下の教育もここ最近滞りがちですし……」
シェリアがナダルに出かけている間、ロレッタは自習をしていたが、もう出した宿題は全部やり切っており、やることがなくなっている。次の段階に進ませなければならない。
「いや、今回はロレッタの教育が終わってからでいい。夜になってからだ」
「夜ですか?」
「ああ。まぁいわゆる……デートだ」
「は?」
「今夜二人で出かけようかと言っているんだ」
「はぁ。そうですね。では用意しておきます」
「ああ」
デートって……。
何?
結局、夜になって、またワンピースかと思ったら、今日はメリッサに青のドレスを着せられた。
それも飛び切り上等のものだ。
「ドレスなの?」
「はい。陛下からそのようにと言われております」
「そう」
髪もきれいにハーフアップにして髪飾りまでつけてくれる。
一体どういう風の吹き回しだろう?
デートと言いだしたり、ドレスで行くなんて……。
部屋で待っていると、デュランダルが迎えに来て驚いた。
いつもは無造作に櫛を入れただけであろう銀色の髪をセンターで分け目をつけてきれいにセットしている。
服装は簡易ではあるが、青の上質のシルクのジャケットに胸のところにハンカチとエメラルドの宝石をあしらったアクセサリーをつけておりあまりのカッコよさに心臓がドキンとはねた。
そのまま近づいてこられたので、抱きしめられるのかと思って一瞬構えてしまったが、すっと首元に手が伸びて、首飾りをつけてくれた。
大きなブルーサファイアがあしらわれている逸品だ。
「陛下! こんな高価なもの」
「今日はオペラに行こうと思ってな。最上階の王族用の席がある。そこで二人で鑑賞しよう」
「オペラですか」
オペラなど見たことがない。王族のたしなみといってアリアはよく見に行っていたが、自分はいつも忙しく国政に追われていたため興味はあったが見ることはかなわなかった。
「ずっと見てみたかったです」
それにしてもと今更思った。
この宝石は、陛下の瞳の色だし、陛下の胸のところのアクセサリーの宝石はわたしの瞳の色だわ。
ドレスコードは青で統一されているし。
どういうこと?
馬車も王族用の豪華なものに乗り込み、オペラハウスへと到着した。
「外に出るときだけこれをつけておくんだ」
仮面と帽子だ。
シェリアとして顔ばれすることを恐れているのだ。
一歩外にでると、そこには人だかりができていた。
デュランダルが来るという噂が広がっていたようだ。
しかも女性を連れて。




