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次の日、ダンテ子爵からのナダルへの情報員が湖の氷の下に沈み、別の情報員がナダルへと入った。
ユーリーン王にはデュランダル国王が魔力で横暴にふるまい悪政を敷き、国民の評判がすこぶる悪いという話が伝わった。
貴族たちは不満を募らせているという。
ひそかに先王の娘である王女を推す声も出てるらしい。
そんな誤報を流したところ、ユーリーン王は女を数人周りに侍らせていたが、にやりとほくそ笑んだという。
そしてダンテ子爵へとまた指示を出したらしい。
デュランダル国王への不満を募らせている貴族たちを集めて、結束させろと。
一方、シェリアはデュランダルとともにひそかにナダルに入国していた。
ほかの三人に任せてもよかったが、細かな駆け引きが苦手な人たちがいくより直接自分がいったほうがいいだろうと思ったのだ。
ひとりで行くといったが、デュランダルが許さなかった。
国王の手を煩わせるわけにはいかない。国を攻められたらどうするのかと言ってみたがそのあたりは魔力の国ゆえ盤石である。
ナダルの軍が入ってきても魔獣を倒すことはできないし、この魔力に勝てる者はいないとのこと。
一夜にしてキルギアがつぶれることは考えられないという。
数カ月ここですごしてシェリアもそれはわかったので了承した。
キルギアを攻め落とすにはデュランダルを殺す以外にないだろう。だが、確かにロレッタを推し、デュランダルに不満が集まれば、ほかの貴族たちの魔力をもってデュランダルを殺すことは可能だろう。
そしてロレッタを王女として傀儡政権を築けばユーリーン王の思うつぼだ。
この誤報に踊らされてユーリーンがどう出るか…楽しみだ。
自分を道具としてしか見なかったナダルの国よ。見ていなさい。
「ここで待っているはずだ」
ある人物との待ち合わせ場所はナダルの王都からかなりはずれたさびれた町ガザールの下町の昼間の酒場で、彼はデュランダルが直接来ていることは知らない。
デュランダルの使いの者だと思っている。だが、この男はかなりの重要人物なのだ。
デュランダルの部下は本当にこういう隠密的なことにはすばらしい能力を発揮する。
ユーリーンは血眼になってこの男を探しているが、実際どこで息をひそめているのかはわかっていない。
だがデュランダルの部下はすぐに発見した。
さすが魔力においては右に出る者がいない国の者たちだ。
中に入ると、さびれた酒場らしく、昼というのもあるだろうが、カウンターとテーブルに座っている者たちが数人いるだけだった。
その中でカウンターの一番奥にいるのが目当ての者らしい。
言われなくてもデュランダルには気配でわかるようだ。
その男の隣へと気配を消したまま近づきデュランダルとシェリアはそっと座った。
「ニジェールだな?」




