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「やめてください。わたしはもう王女の名は捨てたのです。どうかディアンとお呼びになってください。称号は不要です。陛下。お願いです。わたしはディアンです。ふつうにディアンとお呼びください」


デュランダルが頭をあげた。


「ああ。ではディアン。続きを聞かせてもおう」


三人も頭をあげた。


「そうですね。オルベリア王国とナダル王国の同盟についての続報があればと思ったのですが……」


同盟を結ぶらしいという話が新聞で騒がしかったのはまだここにきてすぐのころだ。

それからあとは全くその話を耳にしなくなった。

すでにあれから二カ月が経過している。


「それについては今とん挫しているようです」


すでに背筋を伸ばしていたギルティが答えた。


「調査官の報告だと、ナダルにリーグ卿が外交大臣として赴任する予定でしたが、一度来たあと、祖国へ戻ってから進展がないようです」


リーグ卿が外交大臣?

ダニエルが?


ダニエルはリーグ公爵家の次男だ。

公爵家を継ぐ必要はない。


もしかしたらアリアの降嫁先だから箔を持たせるために大臣職を与えてナダル外交大臣にするつもりだったのか。


返す返すも彼らの仕打ちには怒りしか感じない。


だけど進展がないというのは…

同盟が決裂するような何かがあったのか?


「ナダル国内ではそれについて何か反応はないのか?」


デュランダルが問う。


「いや、ユーリーン王は焦っているようです。怒りにまかせて夫人たちに暴力をふるいまくっています」


「まぁ」


思わずシェリアは口を押えた。


「あの王は女を道具としか思っていない。最低の人間だ」


デュランダルがはきすてるように言う。


「ダンテ子爵がナダルへ流す情報に工作しろ」


「はっ。どのように?」


「ロレッタが生きていることが知られているならおそらくナダル王は俺を殺し、ロレッタを王女として据えて自分がこの国を操ることを考えるだろう」


そのとおりだとシェリアも思った。


「陛下。こんなのはどうですか?」


「何?」


シェリアの出した案に、耳を傾けたデュランダル含め三人は驚き、おおむね納得したのである。


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