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「ダニエルを愛していたんだと思います。婚約者だったんです。政略でしたけれど、小さい頃から仲良しでした」


涙はつらつらと流れた。


「ナダル王への輿入れが決まった時、オルベリアのために嫁ぐと言ったら泣きながら頷いてくれました。オルベリアを……民を愛していたので……ナダル王の好きにはさせられないと……」


デュランダルの大きな手がシェリアの手の上に包み込むように置かれた。


「けれどわたしだけだったんですね。本人は面倒な婚約者を放り出せて清々していたんです。妹のアリアと愛し合っていたんですね」


震える体はデュランダルの手から伝わる温もりでゆっくりと収まっていった。


とてもあったかい手が冷え切ったシェリアの心を温めてくれた。


「辛かったな」


あんなに出会った頃に淡々と話す人だと思ったのに、今はとてもあったかく話す人だと感じた。


「ありがとうございます。聞いてくださって。ここに来てよかったです。こんなわたしを受け入れてくださってありがとうございます」


「ああ。君は紛れもなくキルギアの人間だ。それを忘れるな」


「はい」


向こうのほうで遊んでいた二人の声が近づいてくる。

シェリアは慌てて袖口で涙を拭いた。


「陛下。ごきげんよう」


教えた通りのレディのお辞儀をした。完璧だ。

続いてウナも礼を取る。


「ロレッタ。なかなか素晴らしい淑女に見えるぞ」


「ほんとですか?」


パッと顔を輝かせる。


「ああ。ウナ嬢。王女と仲良くしてくれてありがとう。また来てやってくれ」


「はい。また伺います」


礼儀正しく丁寧に礼をする。


「ねえ。ディアン。見てちょうだい!冠よ。すごいでしょう?」


シロツメクサの王冠だ。


ロレッタはシェリアの頭にそれを被せてくれた。


「ほら、これで陛下に相応しくなるわ」


「え?」


「国王の奥様は王妃様じゃない?だから冠がいるのよ」


「何を言っているのです?」


「ふふふ」


ウナと顔を見合わせて笑っている。


「いいからつけておくのよ」


「殿下!」


「王女命令です」


ツンと顎を上げて言うのでもう何も言わなかった。


二人はそのまままた他の花のところへ行ったので、シェリアは王冠をどうしたものかと思ったがデュランダルはクスクス笑いながら


「似合ってるからそのままにしておけ。ロレッタ命令だしな」


と笑っていた。


もうっ……!

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