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「ウナ。行きましょう。花輪をつくりたいの。教えて」


「花輪。わたしも作りたいです。花壇に案内してください」


メルディスの娘であるウナ嬢がロレッタのもとに遊びに来るようになった。

ロレッタの一つ上の十一歳で、魔力は強いらしいので何かあったときにも王女を守れるからとメルディスは恐縮して送り出してくれた。

メルディスとよく似たはっきりとした顔だちで、少し男性的な動きをすると思ったら、剣術も教えているらしく、筋はいいのだとメルディスは言った。


どうやらシェリアのことは今でも警戒しているらしいが、王女のことを傷つけたりはしないことはわかっているようだ。


二人が温室の中でシロツメクサの花輪を作っているのを見ながらシェリアは新聞に目を通していた。


『オルベリア王国、王女婚約』

長年の初恋を実らせ『ダニエル・リーグ』公子へ降家


大きくは報じられていないが、真ん中くらいの紙面の下のほうに出ていた。


一面には帝国が新たにフォシル燃料の採掘場を発見したという記事がでていたので目立たぬ記事だ。


だから見逃していればよかったと思った。

それでも毎日くまなく新聞をチェックする自分には目に入ってしまう。


自分がオルベリア王国で執務を携わっているときのことを思い出す。

自分が成立させた交渉ごと、小麦の生産量を上げたとき、輸入品の経路を変えて経費を半分に抑えたとき。

みんながさも当たり前かのように自分を見る中、ダニエルだけは「すごい」といつもほめてくれた。

そして、自分などがシェリアと結婚してもいいのかといいながら、手をにぎって手の甲にそっとキスを落としてくれた。


信じていた。

自分を愛してくれていると。


だけど、違った。


よく考えてみたら「愛している」と改めて言われたことなどなかった。


そうだったのだ。

妹のアリアと結婚することが裏で決まっていたのだ。

だからわたしが邪魔だった。


それできっと追い出したのだ。


ナダル王国へ追い出すだけでよかったのに、さらに息の根を止めに来た。


なぜ?

どうして?

嫌なら嫌とはっきり言ってほしかった。


気づけば、涙を流していたらしい。


テーブルの前に座り、そっと目の下をぬぐってくれたのはデュランダルだった。


「陛下。すみません。気づきませんでした」


午後の執務中だろうに王女を見にやってきたのだろうか?


王女のほうへ向いて軽く手を振ってからまたこっちを向いた。


「ショックなことがあったときは泣けばいい」


「陛下」


「ロレッタからは見えないから大丈夫だ」


ロレッタとの真ん中に座ってくれた。だから泣いてもいいという。


そんなことを言われたら泣くしかない。


「陛下…もう…ほんとにいつも助けてくれるんですね」


「そうか?」


だらだらだらと涙を流した。

流しきるだけ流しきった。

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