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「民はこうやって手をつなぐんだ。腕をつかむと貴族とばれるだろう。民は民らしく振舞うんだ」


「そ、そうですか」


ドキドキドキドキドキ

素手だ。

貴族は手袋をはめて、しかも腕をつかむようにしてエスコートされるものだ。

だが、平民はそうではなく、手と手をじかに握り合うらしい。

信じられないが事実のようだ。


こんなの無理だわ。

手のひらからデュランダルの体温を感じてドキドキと心臓が音をたてている。

ごつごつしているのは豆だろう。剣をふるっているから……。


どうしようかと焦っていたら、デュランダルがこっちを振り向いた。


「どうした?おいしいものをごちそうしてやる」


「え? おいしいものですか?」


「ああ。こっちだ」


さらに強くぎゅっと握られて歩いていくと屋台がたくさん並んでいる道に出た。

ちょうど昼ごはん時なので人が並んでいる屋台もある。


甘い香りやらソースの香りやらが漂っており、ごちゃまぜの食べ物のにおいがおなかの音を誘発した。

食べたことのないような不思議な食べ物がたくさん売られている。


見ていると楽しくなって何を食べたいのかわからなくなってくる。


「どうだ?どれがいい?」


「選んでもよいのですか?」


「好きなものを言ってみろ」


「では、これがほしいです」


焼いたパンを切って中にいろんなものを挟んである。

ハムのようなものやら卵みたいなもの、あと葉野菜が入っている。

ホットサンドイッチというのだと店主は言った。


「ではこれにしよう」


デュランダルは屋台の主人に銅貨を渡して二つその物体を手に入れた。


「そこに座ろう」


キルギアではあまりに寒いため、初冬にさしかかると、街の各所にヒーターの役割をする大きな柱が立てられる。

魔術で温水を流すため、柱の近くは暖房の前にいるかのようにあったかくなる。


街ではその柱の近くに長椅子をたくさん置いてカップルたちが暖をとっていた。


「キルギア独特の文化ですね。すごい考えですわ」


ホットサンドイッチがあまりにおいしくてほっぺたが転げ落ちそうだ。


「そうか?」


デュランダルは二つ食べている。


「ええ。オルベリアはここまで寒くなりませんからこんな考え思い浮かびませんけれど……」


「寒いからこその知恵だな。それに魔力を持っている者しかこの地にはいない。平民もある程度の魔力を持っている。お前に城下に出るなといっているのは魔力がないからというのもあるんだ。街のどこで魔獣に出くわすかわからないからな」


「あ……」


「キルギアの民なら低級の魔獣ならひとりで対処できるんだ」

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