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午前の執務が終わって、昼ご飯を食べようと部屋に戻ったら、侍女たちが待ち構えており、平民たちが着るようなワンピース姿に着替えさせられた。
「何?どういうこと?」
「陛下とお出かけになるのでしょう? ふふっ」
メリッサがニヤニヤと笑っている。
空けておいてほしいというのはどこかに出かけるということだったのか?
それもワンピースということは、城下に出るのだろうか?
例のワインかな?
そわそわしながら部屋で連絡を待っていると、直接デュランダルがやってきた。
彼も平民のような簡素な服を着ている。
そして驚くことに、髪色が黒く、瞳の色はエメラルドになっていた。
「君の髪色も変えないとな」
すっと髪の上に手のひらをあてられて、少しあったかい何かを感じたら、髪の色も瞳の色も赤くなっていた。
「まぁディアン様。素敵」
いつものキラキラの髪のディアン様も素敵ですけれど、燃えるようなそのお色もとってもお綺麗ですわ。
侍女たちがうっとりと両手を顔の前で組み合わせている。
「別人みたいで驚きです」
鏡に映った自分を見て驚いた。
「ばれると困るからそれでいいんだ。では行くか」
「ところでどこに行くのでしょうか?」
「秘密だ」
「は?」
ズンズンと歩くので、後ろから小走りでついていくと、城の裏門前に粗末な馬車が停まっていた。
これで行くのね?
馬車に乗るときにはエスコートもしてくれた。乗ってみると中は豪華な造りとなっており、粗末なのは外側だけらしい。
人の目を欺くようにつくってあるようだ。
中に乗り込んで迎え合わせで座ると、ディアンは聞いてみることにした。
「ところで、もしや、ダンテ子爵領のブドウ園へ行くのですか?」
てっきりそうだと思っていたが、きょとんとして驚いたような表情をされる。
あれ?
「ああ。ダンテのブドウ園は今、ラインハルトの部下に調査させてる。かなり悪どいことをやってそうなので秘密裏に農夫としてスパイを潜入させているところだ。君が直接かかわるのは危ないからな。報告を待ってからまた意見を聞かせてほしい」
「まぁそうでしたか。わかりました」
「ああ。今日はそういうことではなく。君を息抜きさせてやりたかっただけだ」
「息抜き?」
今度はシェリアがきょとんとする番だった。
「ここに来てから休みなしだったからな」
「それはそうですが…」
「城下に出てはいけないと言っている以上、城の中でしか散歩もできないだろうし、たまには出たいだろう?」
確かに出たい。そうは思っていたけれど…
「万が一何かあっては俺がいないと対処できないからな。くれぐれも俺と一緒でないと出てはならんぞ」
「はい。それはわかっています」
「どうやら着いたようだ」
馬車が停まったので、デュランダルのエスコートで馬車から降りた。
どうやら郊外の川べりみたいなところのようだ。
初冬に差し掛かっておりかなり寒い。
川はところどころ凍っている。
流れがあるところすら凍るのかと思うと、それだけで体が冷えていく気がした。
と、そっとコートをかけてくれた。
「忘れていた。これを着ておけ」
あったかい。
どうやら魔術でコートの裏側は常に一定の温度に保たれているらしい。
すごいコートがあるものだ。
「ここから街に入る。街のど真ん中に馬車を停めるわけにいかないのでな」
「はい」
と、すっと左手を差し出してくる。
エスコートしてくれるのかと思い、腕に手をかけようとしたらぎゅっと手のひらを握られた。
えっ! ちょっ!
ぎょっとして身を固くする。




