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宴の後は、ひとり部屋に放り込まれた。
世話をしてくれたこの国の侍女たちはすでに部屋を持している。
これから初夜を迎えなければならない。
オルベリア王国王女『シェリア・ディアン・オルベリア』はベールをはずして、ため息をつきながら、化粧台の上に置いた。
綺麗なエメラルド色の瞳が現れる。
顔だちもとても美しい。
鼻筋はとおっており、目はアーモンド形の優し気な瞳。
肌色は透き通るように白く、この国にはない美しさだ。
少し面長な大人っぽい顔だちを縁取るのは若干ウェーブがかかるプラチナブロンドの髪。キラキラと光を放っているかのごとくまばゆいばかりの金髪だ。
若干二十歳にして、父と歳が変わらぬ王の二十七番目の妃として迎えられたのだ。
オルベリア王国を出たのは一週間前。
馬車に揺られてナダル王国まで来た。
オルベリア王国は現在決して裕福な国とはいいがたく、前国王と王妃の浪費癖もあって王家の財政は瀕死の状態だった。シェリアの兄であるゼノアが国王になってから、シェリアとともに必死で財政を立て直し、ようやく軌道に乗りかけていたところだった。
何の因果か、シェリアは舞踏会でナダル王国の国王の目に留まり、王の二十七番目の花嫁としてよこせと言ってきた。美人と名高い妹のアリアならともかく、何故自分などとシェリアは訝ったが、シェリアを渡せば今後フォシル燃料は好きなだけ渡すと言われてしまった。
物好きな人もいるものだ。
だが燃料はとても貴重だ。オルベリアの国民が燃料があることでどれだけ潤えるか。それと自分の婚姻を天秤にかけたときにフォシル燃料のほうがまさってしまった。
「シェリア。本当にいいんだな」
兄は最後までシェリアの意見を尊重してくれたが、シェリアの意思は変わらなかった。
生まれた時から決まっていた婚約者である『ダニエル・リーグ』公爵令息とは泣く泣く婚約解消した。
彼も泣きながらシェリアの意見を尊重してくれた。
これからもシェリアを尊敬し続けると言ってくれた。
けれど、オルベリアのためになら親子ほども年のちがう王の嫁になることなどどうということはなかった。
王女として産まれた者の責務だと思っていたし、国を愛していたから。
だから何の問題もないと思っていた。だが、今もうすぐここにやってくるナダル国王が自分の体をむさぼると思うと、おそましく、吐き気がする。
いやだ。
あんなおなかの出た酒臭い男に処女をささげるのか。
いやよ。ダニエル。
たまらなく嫌。




