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気配を消して、透過し天井に張り付いていると花嫁が扉を開けて入ってきておもむろにベッドに腰を下ろした。
大きなため息をついてベールをはずしている。
無理もないな。あんな中年のでぶっちょと結婚しないといけないのだから。
またため息をついて、天を仰ぐように上を向いた。
その顔があまりに美しくて驚いた。
抜けるような白い肌にエメラルドの瞳を縁取るプラチナブロンドのまつ毛が憂い気で、人生で最悪の時だというのにとても優し気な表情をしている。
ぼそっと「ダニエル」とつぶやいた。
好きな男か?
かわいそうに。
そのうちナダル王がやってきて花嫁を押し倒したので、機会を狙って息をひそめていたら入り口の扉がそっと開き黒づくめの男が音を立てずにそろそろと入室してくる。
殺気。
王に対するものか?
案の定、後頭部を鈍器でガツンと殴り、王はその一発でベッド下に転がった。
なんだ。やられたのか。
兄の仇を取ろうとしていたのに…と思っていると、今度は花嫁に襲い掛かろうとしている。
と、扉前に侍女が転がっている。
ほう。あの女が協力者だったのか。用済みになったというわけか。
ただ、転がっているその女が邪魔をして扉が半開きだ。中の音が聞こえると誰かが来るおそれがある。
お嬢さん。ちょっと耐えてくれ。
魔力で音を消し、扉にひっかからないよう侍女の身体を中にひきずり扉を完全に閉めた。
これはどうやらクーデターのようだ。
自分の予想では弟がナダル王である兄を引きずり下ろすために仕組んだのではないか?
詳しくは調べないとわからないが……。
だが、早くここを去らねばならない。
弟も許すわけにはいかないが、今は危険だ。
さぁ早く助けてやらないと。
男はベルトをガチャガチャやりながら、ダニエルさんがどうとか言っていたが、床に転がっていた王を殴った鈍器で後頭部をガツンとやった。
あとは花嫁を助けるだけだ。
花嫁には一緒に来るかと聞いたが、最初から一緒に来させるつもりだった。
なぜ?
なぜなのかわからないが、この女を連れて行きたかった。
そもそもこんなところで終わっていい女とは思えなかった。
くそいまいましいナダル王などの妻になるべき女でもなければ、兄であるオルベリアの姑息な王に利用されて殺されるに値する女とも思えなかった。
ならば連れていくしかないだろう。
そして国へと帰ってきた。
俺の秘書として働いてもらうために。
そんな彼女は、国の執務を手伝ってもらっても、王女の教育を頼んでもなんでもやってのける。
やはり並みの女ではない。




