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「誰よ。おばさん」
抱きしめたくなるほどの可憐な見た目に反したその第一声にシェリアは、母親がわりについてはもうちょっと考えて返事するべきだったと自らの軽率さを悔いた。
デュランダルと同じ色のシルバーブロンドだが、デュランダルはストレートな髪質をしていたが、ロレッタは巻髪だった。瞳は黄色だ。
顔だちはデュランダルとは似ていないが、とにかく愛らしい顔だちをしている。
お母様似?瞳が黄色だったのかしら?
それにしてもおばさんか。
流石に初めて言われたかもしれないわねー。
「わたしですか?ディアンといいます。これからロレッタ王女殿下のお勉強をお手伝いすることになりました」
子どもの視線に合わせるように少し腰を折ってにっこりと微笑んで話しかけるように言うと即座に毒舌が返ってくる。
「また家庭教師?私そんなのいらないって言ってるでしょ?マリア、帰ってもらって」
ツンとあこをあげて言うそのオーラだけは王女のものだ。
メリッサはここに来る前に、「とても気性が激しい方ですので……何というかディアン様が心配なんです」と言っていた。
ほとんど教育を受けていないというからあまり読み書きすらできないのかもしれない。
「陛下のご命令ですのでそういうわけにはまいりません」
マリアが言いにくそうに王女を宥めている。
王女の部屋に来る前にマリアと合流したが、その時もマリアは心配そうな顔をしていた。
相当毒舌辛辣な王女らしい。
でもこの横暴な振る舞いはもしかしたら母親がいないことへの寂しさからかも知れないわ。
気長につきあわなければ……。
「王女殿下は陛下をびっくりさせたいと思いませんか?」
「え?」
食いついてきた。
表情がくるくる変わる。可愛らしい。
「立派なレディになれば陛下はきっととっても驚かれます。そしてとても喜ばれるはずです」
自分がいくら努力しても何も顧みてくれなかった父を思い出した。
けれどデュランダルは違うはずだ。
あんなに無表情の人が王女の話をした時に垣間見せた心配顔は自分の父親にはなかったものだから。
きっと大丈夫。
「喜ぶ?」
「ええ。王女殿下が立派なレディになれるようにわたしにお勉強を教えてほしいと陛下はおっしゃったんです」
「あなたが言う通りにやればなれるの?」
「ええ。必ず」
子どもは単純だというけれど本当は素直ないい子なのだ。
さっきまでの天邪鬼な顔はもうどこかに消えていた。
「やってみましょうか。王女殿下」
まだぷくっとした子どもの手を取るとロレッタはコクリと頷いた。




