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寒い地方なだけあって食べ物は体を温めるものが多いようだ。中でもデミグラスソースを使ったシチューは絶品だと思った。


「おいしい」


久しぶりの食事でパクパク食べてしまっている。


「たくさん食べるんだ。ほとんど食べる暇がなかったからな。ワインもあるが飲むか?」


「はい。ではいただきます」


使用人の教育は完璧だ。

ワインを注いでくれる。

サラッとした飲み心地の赤ワインだ。

キルギア特産のキルギアワインに違いない。

結構値がはるのでオルベリアのような貧乏国ではほとんど飲めない。

さすがに国の特産物だとふんだんに飲めるのだろうか。初めて飲んだけれど、とてもおいしい。


ワインを飲みながらデュランダルの所作を盗み見て完璧だと感心していると、彼がシェリアに目を向けた。


「明日から執務に入れるか?」


「明日からですか?」


早速、仕事の話のようだ。


「明日から……そうですね。何でもできますよ。運動系以外なら」


運動系は得意ではない。

頭を使う系は得意だ。


「心配するな。頭を使ってもらう。君を見ていれば頭がいいのはわかる。母国語でもないのにナダル語も帝国語も流暢に使いこなしている女性などそうそうはいないだろう」


キルギアは帝国に属していたことからも帝国語が公用語となっている。

帝国は大陸一大きな国だ。どこの国でも王族なら話せて当たり前ではないか?


「それで、仕事は何をすればよろしいのですか?」


「俺の補佐的なこと。そうだな、肩書は秘書でいいだろう。あと、王女の教育係を頼みたい」


「——お、王女様がいらっしゃったんですか?」


思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

このデュランダルという国王、何歳なのだろう?

お兄様と同じくらいだろうか?

でも王女がいるということは、王妃もいるのではないのか?

この席には女性は自分しかいないし、この城に入ってから女主人の姿は感じないが…


「ああ。だが、訳あって母親はいない。だからもう10歳になるというのにマナーなど全く教育できていないのだ」


こめかみに手をやって眉を顰める。


10歳?!

10歳の女の子がいるの?ということは…もう30歳近くになっているのだろうか?

見えない。

もう少し若そうに見える。


けれどあんなに無表情な人がこんな心配そうな表情をするなんて…

王女が心配なんだわ。


ふと、自分が父親にほとんど顧みられずに育ったことが頭に浮かんだ。


デュランダルはそんな父親ではないようでよかった。


「お前に母親代わりというか…教育係になってほしい。いいか?」


「大丈夫です。あの一つお聞きしてもよろしいですか?」


「なんだ?」


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