第三話「喧嘩」
小さなドーム型の空間。
そこには土や木、藁などで出来た家が十数軒立ち並び、緑の木々や広場、作物が植えられている畑などがある。
パッと見、質素に見えるその場所は地底世界の西大大きな部屋にある村の一つである。
その村の入口に立つ門にはこう書かれてある。
―――『グロッケ村 〜質素で豊かな村〜』
この村は、アルスたちの住む村だ。
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西大大きな部屋は他の大きな部屋と大きく違う部分がある。
それは、大きな部屋自体が一つの大きな空間ではないことだ。
本来は大きなドーム型の空間を大きな部屋と呼ぶが、西大大きな部屋は中央大きな部屋からの渡り道が無数に枝分かれしており、その先に複数の小さなドーム型の空間が点在する。
その全てを合わせて大きな部屋と呼ぶ。
こうなっている成り立ちははっきりしていないが、生活のしやすさが第一要因ではと考えられている。
そんな村の一つ、グロッケ村でいつものように村の人々は畑仕事に勤しみ、子供たちは広場や道を走り回っている。
そんな光景の一部を担うかのように、アルスとフェンリルは大人たちに混ざり、畑仕事を手伝っていた。
だが、今日のアルスは機嫌が悪い。
「あぁ〜だりぃーー!!なんでいつもいつもこんなことしなきゃなんねぇんだよ!」
アルスがめんどさそうに唸る。
今日は学校は休み。
休みの日は自由に使いたいところだが、そうもいかない。
アルスたちは昔から悪さをしていたため、村の人からはマンマークされている。
例えば、魔獣:グランドウルフの群れを村に引連れて帰ってきたり、村の中で暴れすぎて村長の家を大破させたりと、子供のいたずらにしては過ぎてる行動が多かった。
能力の高さ故の行動だが、怒られても怒られても一向にやめる気配はなく、それなら村のみんなで監視しておこうとなったわけだ。
まるで忌念物のような扱いだ。
「まぁまぁ、こういうのもいいと思うよ?いつも狩りばかりだと、将来ほんとに剣振るしか能がなくなっちゃうよ?」
「毎週毎週これじゃねぇか!休みの日くらい狩りさせろ!あと剣振るしか能がねぇは余計だ」
アルスはこの村では珍しい剣士。
小さい頃から血気盛んだったアルスは齢四歳にして剣に魅入られた。
そのため、剣士になるため、常に剣をを身につけ、ずっと剣を振ってきた。
「何を言っておる!お前らがわしの家をぶっ壊したことはまだ許しておらんぞ!こうやってちょっとは償わんか!」
一緒に作業していた村長が割って入ってきた。
「知らねぇよ!そもそもあれは村のど真ん中に家を建てた村長が悪ぃだろ!あんなもん邪魔でしかねぇだろ!」
「邪魔じゃないわい!村の長ならば村の中心に家を建てるもんじゃろうが!あんなに立派な家じゃったというのに!
そもそも、壁に穴を開けたとかならまだわかる!だが、何故じゃ貴様らときたら!何故、ちょっと街へ行って帰っくる間に、壁に穴どころが家がぺちゃんこになるんじゃ!跡形もなかったじゃろ!どうやったらああなるんじゃ!巻き込まれたとかのレベルじゃなかったろ!!?完全に解体目的じゃったろ!!?」
荒れ狂いだした村長。
あの時の話をしだしたらいつもこうなる。
余程根に持ってんのか。
けど仕方ねぇじゃん?
いつものように何して遊ぶか話し合ってたらおなんでか覚えてねぇけどアイビスと喧嘩になって、それをフェンリルが止めようと割って入るもいつの間にか三人の喧嘩になった。たぶん。あんま覚えてないけど。
んじゃあその喧嘩になった場所がたまたま村長の家の近くだったんだ。
いわばピンポイントで災害に会ったようなもんだろ?
村の人には畑の一部を巻き添いにしたこと関して怒られたが村長の家の事に関しては誰もなんも言ってなかったぞ?
この村では三人を止めれる大人など一人しかいない。
言ってしまえば仕方がないこと。こればかりは。
強いて言うなら場所を考えろと言うべきか。
「うるせぇなー、毎回毎回。その話はもうとっくに終わった話だろ?」
「終わっとらんわ!見てみろ!あれを!」
村長は怒りながら自分の家の方へ指を差す。
そこにはだだっ広い敷地と真ん中にテントのような藁があった。
「あれがなんだかわかるか!?」
「なんだあれ?ゴミか?」
「違うよ。たぶんあれは掃き溜めじゃないかな?」
村長は地団駄を踏みながら声を上げる。
「ち・が・う・わ!家じゃよ家!わしの家じゃ!お前たちが吹っ飛ばした家の成れの果て!」
「あれが家?村長なのに随分とちゃっちい家に住んでんだな」
「おう、そうじゃな。誰のせいであんな家に住んでるのかさっきから連呼しておるんじゃがのう!」
頭に血管を浮き立たせながら殺意の篭もる目でアルスにメンチを切る。
「うーん、あれを家と言い切るぐらいなら無い方が良くないですか?なんというか…………見てて滑稽です」
「おーしお前ら並べ!畑耕すついでにお前らの脳みそも一緒に耕してやる!」
鍬を持った村長がいよいよ殺人鬼になりかねない形相で立ち上がったところで、アルスたちの後ろから声がした。
「その辺にしときなよ、村長さん。」
「はっはっはっ!まだ根に持ってたのかい?元気なところが子供いいところだってのに。」
「そうですよね〜。子供たちが走り回ってるところを見ると我々も元気が出ますもの。まぁ、その子たちは多少元気が有り余るくらいですが、これくらいがちょうどいいんですよ。」
そこには4、50代くらいの女性が数人。
アルスたちと畑仕事をしていた村の婦人たちだ。
手には籠をぶら下げ、休憩がてら今から街へ買い物へ行くようだ。
「どこがじゃ!元気あり過ぎて家潰すか!?普通!!あったとしても壁とか屋根とか、家の一部じゃろうが!丸ごと潰してどうする!?おまけに反省の色どころが煽ってきよるぞ!?」
「威厳が足りないんじゃないかい?村長なんだからもっとドーンと構えときゃいいんだよ!」
「そうだよ!そしたらそのうち家も勝手に建ってくれるんじゃない?はっはっはっ!」
婦人に言いくるめられる村長。
この村長本当に威厳ねぇな。
ここまで威厳ねぇのはこいつくらいだろ。
「アルス君とフェンリル君もありがとね〜。休みの日だっていうのにこうやって手伝ってくれて!」
「ほんとだぜ!俺は今すぐに狩りにでも……んごっ!」
「いえいえ、村のことは村の人みんなでするものですし!僕たちもこうやって手伝えて楽しいですよ!」
アルスが愚痴をこぼしかけたが、フェンリルがすぐに口を塞いだ。
「そうなのね〜。やっぱり二人は偉いわね〜」
どうやらアルスが愚痴を言いかけたことに気づいていないようだ。
「ところであんたら、アイビスはどうしたんだい?最近一緒に見かけないけど、何かあったのかい?」
その言葉にまたかというような顔をするアルス。
アルス、フェンリルと二人いれば当然隣にアイビスがいる。
それが村の全員が思うことだろう。
しかし、最近の彼らは何故かアイビスだけがいない。
当然、婦人たちも疑問に思う。
アルスも最近はその質問ばかりでめんどくさくなっていた。
フェンリルは苦笑いしながら隣の畑を指さし答える。
「一応、あそこにいるんですけど……。」
アイビスは家族と一緒に畑仕事をしている。
アルスたちが畑仕事を手伝わされているのだから当然アイビスもいる。
だが、アルスたちとは一緒にいない。
昨日の件もあるが、それだけではない。
「喧嘩でもしたのかい?」
「まぁなんというか…………、そうですけどそうじゃないというか……。」
言い淀みながらフェンリルが答える。
これに関してはアルスたちが何かした訳でも無いし、された訳でも無い。
じゃあ、何故一緒にいないのか。
それはこの時期の子供によくある、いや全員が通ると言っていいもの。
―― " 思春期 " だ。
一度は皆聞いたことがあるだろうし、経験したこともあるだろう。
感じたことはないだろうか?
やたらと異性を意識しだしたり、人の目を気にしたり。
異性と話すだけで心臓がバクバクした経験はないだろうか?
アイビスは今現在、その思春期真っ只中なのである。
アイビスも異性をやたらと意識して距離を取ったりしてしまう。
小さい頃から兄弟のように育った幼なじみであろうが、それは変わらないのだ。
「へぇー、そうなのかい。よくわからないけど、大事なものは大切にしておかないとすぐに失くなっちまうよ!それだけはちゃんと覚えときな?アイビスもね!」
婦人が声を張り上げて、隣の畑に聞こえるように叫んだ。
まぁ、叫ばずともそれなりの声量で喋っていたので隣の畑には聞こえてたと思うが。
アイビスはその声にビクリと身体を震わせ、慌てふためきながら地面に足を滑らせ、畑の中に腰から落ちた。
「「「あっ!」」」
その場にいた全員が思わず声を漏らした。
「あら、声を張り上げすぎたかしら。大丈夫かい?」
「あらあら、大丈夫かしら?泥だらけじゃない。」
「はっはっはっ!盛大にコケたね。畑仕事はこれくらいがちょうどいいんじゃないかい?」
婦人たちがアイビスの方へ駆け寄っていく。
そしてその姿を見ていたアルスが吹き出した。
「だはははははっ!お前ほんとドジだな!」
その言葉に一瞬、時が止まったかのように静まり返った。
そして次の瞬間、巨大な水の塊が一瞬にしてアルスに直撃し、そのままアルスを攫って村の端の壁に直撃した。
村長の藁の家を吹き飛ばしながら。
あまりに一瞬だった。
「アルス!!!?」
フェンリルが驚愕の顔で振り返る。
その場にいた全員も音もなく吹っ飛んでいったアルスの方を驚愕の顔で振り返ると、同時に思考が停止する。
何が起きたのか――
アルスが飛んで行った場所には幸い(村長以外の)家はなく、被害はないが、大きな砂埃が立ち上がってるのが見える。
それを確認して尚、アイビスは立ち上がり、その方向へ向かって歩き出す。
「アイビス、何を!」
「やっぱアイツ!殺す!」
恥ずかしげに顔を赤らめながら殺意の籠った目でアルスを睨むアイビス。
アイビスのこと怒り様。
おそらく、朝一番にアルスが昨日のことを謝罪しなかったこと。
今日朝一番に謝罪に行く予定はアルスの寝坊により狂ったのだ。
その結果がこれだ。
アイビスの父や村長がアイビスを止めようとするも止まるわけもなく、腰に差していた杖を抜き、詠唱を開始し出した。
「ちょ、ちょっと!ダメじゃ!こんなところで攻撃魔法なんか使っちゃあ!しかも詠唱って、それ上級魔法じゃろ!?」
「アイビス!ストッ」
「痛ってぇなぁッ!!!!」
フェンリルの言葉を遮るように立ち上る砂埃から声が聞こえる。
「事ある毎に魔法をバンバンぶっ放しやがってよォ!俺が悪いのかは知らねぇけど!思う事があるんならその口で言えや!お前の口はお飾りかよッ?!!!あぁ!!?」
その言葉と同時にアルスも腰に差していた剣を引き抜き、煙から出てきた。
そして、そのまままっすぐアイビス目掛けで突っ込んでくる。
「大地の恵よ!泉の精霊よ!邪を穿つ我に王源なる力を与えん!『水渦砲!』」
同時にアイビスの魔法が打たれ、ちょうど村長の家があった場所の上でアルスと衝突した。
ドドォーンッ!という爆撃音と共に水飛沫が上がる。
「ああああ!!!わしの家があぁぁぁ!!!」
村長の虚しい叫び声が響く中、アルスはその水飛沫から飛び出てきて、アイビスに飛びかかる。
「ちょっと!二人とも!ストップ!」
そう言ってフェンリルがアルスに向かって魔法を放つも難なく魔法を斬られる。
そしてフェンリルの声がまるで届いてないように二人はまた杖と剣を向け合う。
「殺す!」
「叩っ斬る!」
その様子を見て、フェンリルは段々腹が立ってきたのかフェンリルも腰の杖を抜く。
そして、二人に杖を向け、
「止まれって!言ってるだろォ!!!」
そうして、なんの前触れもなく、三人の喧嘩が始まった。
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多少の被害を出しながら、三人の喧嘩は収まった。
唯一三人の喧嘩を止めれる人物の介入により、村長の家(藁)と畑の損壊程度済んだ。
今現在、正座をさせられているアルスたち――その目の前に立つ一人の女性。
綺麗な純黒の黒髪に黒い瞳、背丈は170前後で髪を一つにまとめ、肩から撫で下ろしている。
清楚で母性溢れるその出で立ちは、見るものを虜にするほどだ。
そしてこの女性の名前はアーミス。
アルスの母である。
「あなたたち、なんでこんなことしたの?」
冷たく甲高いその声に三人は身震いをする。
普段は溢れんばかりの母性と誰にでも優しく振る舞うアーミスは巷では聖母と呼ばれている。
だが、怒った時は地底世界一と言っても過言ではないほど怖い。
それもそうだ。
声を聞けば分かる。
怒っている。
怒っているのだ。
だが、表情を見ると、笑っている。
いつもの聖母のようなその笑顔を崩すことなく、アーミスは声も出ない三人を問いつめる。
「村の中で暴れてみんなに迷惑をかけるなんておかしいと思わないのかしら?あなたたちももう最上級生。していい事としてはいけない事の区別ぐらいつくんじゃないかしら?」
その言葉に一同はさらに声が出なくなる。
アルスだけでなく、フェンリルやアイビスまでアーミスに怯えている。
三人は昔からよく一緒に行動し、当然今回のようなことも多々引き起こしている。
その度って程でもないが、こういうような場面も少なからずあったのだ。
アーミスは優しい人だが、怒った時の恐ろしさは嫌という程よく分かっている。
「何か言ったらどうなの?アルス。」
「は、はひっ!!!」
ついに名指しで言われアルスは全身から震え出す。
「え、えっと………そのー………えー………なんというか、………周りが見えてなかったと言いますか………配慮が足りなかったと、お、思います。で、ですので!これからは!」
「その言葉、何回も聞いたわよ?」
「ひぇっ!」
さらに問い詰められる。
アルスは汗が滝のように流れ出す。
母親に容赦なく詰められるアルスを見てか、周りで見ていた大人たちが割って入る。
「まぁまぁ、本人たちも反省しているようですし、そこら辺にしたらどうだい?」
「はっはっはっ、私は子供たちの元気な姿見れて良かったよ!」
その言葉にアーミスは困ったような表情をしながら手を顔に当てる。
「ですが、いつまでもこう甘やかしておくと、この子たちが将来困るんですよ?この子たちは将来有望だって言われてますし、何よりもうすぐ、成人なんですから」
もうすぐ成人と聞いて不思議に思うかもしれないが、この地底世界では学校を卒業すれば成人と言われている。
そのため、卒業してすぐに職に就く者が多い。
アルスたちは最上級生であり、卒業試験も近々ある。
合格出来れば晴れて成人だが、その成人になる者がこうも学習しない人間たちなのだ。
アーミスが心配するのも当然のことだ。
「そうです!甘えさせてはなりません!成人も近いというのに、周りの人に迷惑をかけるような行動していてはいけません!」
近くで見ていたアイビスの父がアーミスの言葉に便乗する。
「そうじゃ!そうじゃ!わしの家も吹っ飛ばした挙句、敷地まで削りやがって!いい加減にしろ!」
村長が決起声明のように声を上げる。
村長の言う通り、村長の家があった場所は跡形もなく、それどころか地面が削れている。
その場所を狙って戦ったんじゃないかと言うぐらいに。
「あぁ、それはいいです。ちょうど邪魔でしたし」
「邪魔!?今邪魔って言った!?」
さらりと流すアーミスに村長だけが動揺する。
実際、あんな村のど真ん中に家を建てれば邪魔になることぐらいは誰でも分かる。
「それにしても、今日のアイビスはなんか随分と短気じゃないかい。どうしたんだい?何かあったのかい?」
事の一連を全て見ていた婦人が心配そうにアイビスを見る。
今日のアイビスの一番の謎。
というより最近のアイビスの様子がおかしい。
周りの人たちからすれば一緒にいるはずのアルスたちといないし、よく分からないことですぐ怒る。
何かあったのかと心配するのも当然だろう。
アイビスはその言葉を受け、ボソッと呟いた。
「…………てない……。」
「ん?なんて言ったんだい?」
「謝られてない。まだ、アルスに謝られてない!」
そう強く誇張し、アルスの方睨む。
その瞬間、場の空気が静まりかえる。
そして、全員の視線がアルスに向かう。
アルスは一瞬なんのことかと思ったがすぐになんのことか思い出し、「あっ!」と声を漏らす。
同時にアルスの顔が青ざめていく。
それを隣で見ていたフェンリルが呆れたようにため息をこぼし、アルスの代わりに口を開いた。
「実は昨日」
「ちょっ、フェンリル!」
「アルスは黙ってなさい」
アーミスの一喝でアルスはまた黙り込み、顔色がどんどん悪くなっていく。
それでもフェンリルは構うことなく続けた。
「実は昨日、こんなことがありまして………」
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フェンリルが説明を終えると周りにいた者は一斉に呆れで額に手を当てて天を仰いでいた。
村長は爆笑し、アルスはもうどうでも良くなったかのように案山子のような味の無い顔になっていた。
そして、アルスの目の前にいる聖女の皮を被った般若は怒りの的を完全にアルスに絞ったかのようにアルスを見下ろしていた。
「その、今日の朝一緒に謝りに行こうって話してたんですが、アルスが寝坊しちゃって………それで、農作業が始まって、謝りに行く機会がなく……」
「そういうことね。アイビスちゃんごめんね。うちのアルスが酷いことをして。」
「…………いえ……別に……。」
その笑顔で言われた言葉にアイビス少しゾッとし、この後のアルスを想像し、一瞬アルスが可哀想に見えた。
「フェンリル君も全部話してくれてありがとう。」
「あー、いえ…………はい………。」
フェンリルもアイビスと同じことを思った。
二人に笑顔で謝罪と感謝を述べたあと、すぐにアルスを見下ろす。
その顔はいつもの笑顔ではなく、本気で怒った時の無表情だった。
「アルス、お母さんが言いたいこと、分かるわよね?」
「……………はい。」
全てを悟ったかのようにアルスは天を見上げながら答えた。
「ついてきなさい。」
「……………はい。」
アルスが立ち上がる。
アーミスは周りにいた人たちに向けて頭を下げた。
「皆さん、この度の件、うちのアルスがまたご迷惑をおかけしました。大変申し訳ございません。本人には強く言っておきますので。」
「あ、あぁ、いや、別にそこまでは………。」
周りの人の言葉に対して返事する訳でもなく、家の方へと歩き出した。
アルスは何も言わずアーミスの後ろへついて行く。
――その後ろ姿はなんとも………………小さく、情けなかった。
♦ちょこっと補足♦
アーミスは滅多なことがない限り怒らない。故にアーミスの怖さを忘れがちだが、いざ怒られるとめちゃくちゃ怖い。(静かに怒るタイプ)




