第十八話「動き出した歯車・後編」
しばらく歩いた。
アイビスとフェンリルは少し息を切らしている。
坂道ということもあって、足がかなり重たい。
暗く長い延々と続く静かな道が三人の精神を余計に削り取っていく。
どこまで続くんだ……。
やっぱりこの先には何も無いのか……?
進んでも進んでも出てくるのは同じ景色ばかり。
進んでいる気がしない。
先の見えない上に静かすぎる音が一層不安を掻き立ててくる。
このまま進んでもいいのか……?
心做しか気だるさも感じる。
アルスはまだ少し余裕だが、二人にとっては少し厳しい道のりだ。
アルスは休憩をとろうと視線を上げた時、思わず足が止まった。
二人もどうしたのかと足を止める。
アルスの視線の先には少しの灯りが見えている。
フェンリルもそれに気づき、目を細める。
「なんだ………あれ……」
「…………分からない。出口………にしては少し違うような気がするね……」
二人は首を傾げながらそれをじっと見つつも、一旦休憩を入れることにした。
---
休憩を終えたあと、三人はまた歩き出した。
そして、延長線上に見えていたその場所まで辿り着いた。
そこには変わらず道が続いている。
ただ、今まで彼らが進んできた道とは全く別の造りをした道が続いていた。
その道は綺麗に敷き詰められた石畳で出来ており、今までの素朴な道とは打って変わって重々しい雰囲気を感じる。
道の形も変わっており、今までは渡り道と同じアーチのような釣鐘型の形をした道だったが、その道は石畳で型どられ、角張った正方形のような形の道になっている。
そして何より奇妙なのは、今まで歩いていた道が徐々に石道に変化していってるのではなく、ある一定の場所から境界線のようになっているのだ。
まるでここから先は別世界だと言わんばかりに綺麗な境界線だ。
見るからに人工物。
この先に人がいるもしくは人がいた痕跡があるということだろう。
三人はその道をまっすぐ見つめ、少し躊躇うも、そのまま石畳の道を進んで行く。
さっきの道とは比べ、この道は少し明るい。
そのため、わざわざ光源を確保する必要がなくなった。
なぜこの道が明るいのかは全く分からないが、見た感じ石そのものが若干の光を帯びているように見える。
だが地底世界に光る石なんてものは存在しない。
ここが地底世界なのか怪しくなってくる。
石畳の道は進むにつれどんどんひんやりとしていった。
この道にも魔獣の気配はなく、道もまだ坂道のままだ。
違和感の正体はこの道か?
いや、もっと別の何かがあるような……。
「こんな道見たことないね……」
「あぁ、………これって確か石畳って言うんだよな?地底世界じゃ再現不可能なんじゃなかったけ?」
地底世界に石畳で出来た建造物なんてものはない。
学校の教科書には地上世界に石畳があったと表記されている。
だが、 " 地上世界では石畳に必要な鉱石が取れないことから造ることは出来ない " 。
そう教わっている。
「……さっきから見たことがないものだらけだ……」
フェンリルが怪訝そうな顔でそう言った瞬間、後ろで何かが倒れる音がした。
振り向くと力尽きたように倒れ込むアイビスがいた。
「アイビス!大丈夫!?」
すぐに駆け寄り、フェンリルが声をかける。
アルスも同じようにしゃがみ呼びかける。
「おい、大丈夫か?」
「………はぁ………はぁ………もう無理。動けない……」
アイビスは息を切らし、かなりへばっていた。
慣れない長距離移動に魔法を常に使用していた。
休憩は小刻みにとっていたが、魔法使いには厳しいものだ。
それにアイビスは元々体が強い方ではない。
今でこそ元気にやっているが、昔は熱を出して寝込むことも少なくなかった。
「分かった。おんぶするから乗れ。」
そのままアイビスを置いていくわけにもいかないため、アイビスを背負って歩くことにした。
幸いアルスはまだ余裕だ。
アイビスをおぶって歩くことは造作もない。
アルスはアイビスを背負い、また歩き出す。
フェンリルも少し息を切らしているが、まだ大丈夫そうだ。
「アイビスは今まで魔法を使いながらずっとこの道を歩いてきたからね。一番疲れたと思う。ありがとう、アイビス。」
そうだな。
こいつはずっと魔法を使いながら歩いていたんだ。
そりゃしんどいわな……。
「…………どんだけ続くのよ、この道……」
「分からない。出口があるのかも分からない。でもここで引き返すわけにもいかないしね。今は進むしかないよ」
こんなに長いと出口がどうこうよりもこの先に何があるのか気になって仕方ない。
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アイビスがアルスの上で眠りに落ち、そのまましばらく二人で歩き進めたところで足を止めた。
それはまたしても地底世界にはない景色の前でだ。
アルスとフェンリルはそれを見上げて、苦笑する。
「おいマジかよ。こんなのどこに繋がってんだよ」
「ははっ、ほんとに…………訳が分からないね」
アルスたちの目の前には先の見えない程の階段が続いていた。
「これ登んのか?」
「………しか道はなさそうだね」
二人は渋々その階段を登ることにした。
---
――一体どれくらい登っただろう。
登った段数など分からないが、足の感覚が麻痺するくらいにはかなりの段数を登った。
後ろを振り向くと地面が豆粒のように小さく見える。
階段は急斜面って程でもないが、段数が多すぎる。
今いる所でおそらく半分と言ったところだろう。
上を見上げても果てしなく遠い場所のように感じる。
そして何より、アイビスに続きフェンリルまでダウンした。
アルスはアイビスを頭を後ろに向けて右肩に担ぎ上げ、フェンリルを頭を前にして左脇下に担いでいる。
アルスの意識も朦朧としている状態だ。
どれだけ続くんだ………この長い階段……。
この先に………何が……。
息を切らしながら一段、また一段と登っていく。
休憩したいところだがこんな階段の途中で休憩するわけにはいかない。
もし足を滑らせて一番下まで落ちてしまえば、もう戻ってくることは出来ないだろう。
それどころか死んでもおかしくない高さだ。
アルスは振り返ることなく、一段ずつ踏みしめていく。
階段は変わらず石畳が続いており、登っていくうちに壁に蝋燭立てがついているのに気づいた。
さっきまで誰かが使っていたのではないかと思わせるほどの哀愁が漂っている。
そんな景色が延々と続く中、何も言わず一段、また一段と。
無心に階段を登り続け、アルスはふと顔を上げた。
するとそこには、延々と続く景色の終わりが見えた。
階段の先は、 " 壁 " 。
いや、壁ではない。
――扉だ。
巨大な扉が見える。
それも、大人数人が横に並んでも通れるくらいの両開きの扉だ。
「………扉…………?」
目を疑う。
アルスは目を細め、じっとそれを見るも、やはり扉だ。
扉……?
こんなところに………?
いや、ここが出口か……。
そう考えながらも足を動かし続けていると、気づけば扉の目の前まで来ていた。
最後の一段を登ると、少しだけスペースのある場所があった。
アルスはそこに力尽きたかのように倒れ込んだ。
同時にフェンリルとアイビスもその場に下ろした。
もう無理だ………。
これ以上は動けない…………。
フェンリルは眠そうにしているも、かろうじて意識は保っていたが、その場ですぐに眠りに落ちた。
アイビスは完全に寝ている状態だ。
…………疲れた……。
少し………休もう…………少しだけ………。
アルスは何も言わずに、荒れる息を落ち着かせながらそのまま瞼を閉じた。
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『―――………――す…………。――を………――す!……お前をッ!殺すッ!!!』
「ッ………!」
うなされるようにして、アルスは目を覚ました。
「はぁ………はぁ……はぁ…………」
冷や汗をかき、息も荒くなっていた。
うつ伏せのまま眼球だけを動かす。
ここは…………そうか、確か階段を上りきって扉の前で…………。
アルスは徐々に今までの経緯を思い出す。
どれくらい経ったか分からない。
だが体力はほぼ回復した。
アルスは体を起こし、周囲を見回す。
アイビスは寝たまま。
横を見るとフェンリルは起きており、一人で扉に触れたり考え込むようにして首を傾げていた。
何してんだ?
「フェンリル……。」
「あぁ、アルス。やっと起きた。
今扉を調べてるところなんだ。」
フェンリルはケロッとした顔で振り向く。
どうやらフェンリルも十分に回復出来たようだ。
「それより、大丈夫?随分うなされてたみたいだけど………」
「あぁ、なんか分かんねぇけど…………変な夢っていうか声っていうか…………まぁ、もうあんまり覚えてないんだけど………」
アルスは立ち上がり、背伸びをしながらフェンリルの隣に立つ。
「それで、扉を調べてたって?」
「うん。異様な大きさだし、見た感じ僕たちが見た事のないような文字が沢山書かれてあってね。あとよく分からない柄も。」
フェンリルが言うように、扉には変な文字やよく分からない絵がたくさん書かれてあった。
見た感じ扉自体は金属で作られていて厚みがある。
「なんだこれ?ヘビ?」
「いや、ヘビにしてはなんか変じゃないかな。頭に角が生えてるし、ほらここ。これ手足に見えない?」
「ほんとだな。よく見ると髭みたいなのも生えてんな。
手に持ってるこれはなんだ?キンタマか?」
「いや、違うと思うけど…………。丸い玉?宝石のように見えるけど………」
宝石か。
確かにそれっぽいな。
なんか光ってるように見えるからついうっかりブツに見えてしまった。
「あんたたち何してんのよ。」
「うおっ!」
会話する二人の真後ろに眠そうな顔で立つアイビスがいた。
いつの間にかアイビスを起こしてしまったらしい。
「ごめん、アイビス。起こしちゃった?」
「お前いつから起きてたんだよ。」
「……………さっき。」
すんごい眠そうだ。
そう言えばこいつ目覚め悪い方だったな。
「体の方はもう大丈夫?」
「………えぇ、それなりには動けるわ。」
「そっか……」
「……で、何してるのよ。」
「今はアイビスが起きるのを待ちつつ、この扉を調べてたんだ。」
そうフェンリルが言うと眠たそうな目を擦り、扉にメンチを切るような目で見上げる。
「………何よこれ。変な絵に………何の文字?っていうかここどこよ」
そう言いながら周りを見回す。
「うーん……なんだろうねぇ……。絵も文字もなんなのか全く分からないな。それと、ここは階段の一番上、つまり頂上だよ。アイビスが眠った後、ずっとアルスが頑張って僕たちをここまで連れてきてくれたんだ」
そう言ってフェンリルが後ろの階段を指差す。
アイビスはそれをじっと見た後、驚愕した顔でアルスの方を見る。
「え?これを……私たちを担いで上りきった???
…………え、ヤバッ……あんた人間じゃないでしょ」
「はっ倒すぞ。素直にありがとうって言えや。」
「ははっ、これに関しては僕もちょっと引いてるかな。」
「引いてるかな、じゃねぇよ。感謝しろや。次からは置いてくからな?」
冗談を交えつつ、再度壁を見上げる。
異常な大きさの扉。
高さは十五メートルはある。
人が通るにしてはあまりにも不自然だ。
大きければ大きいほど重さも増す。
どう見ても使いづらいだろう。
それに、この先に何かがある。
――そんな気がする。
アルスはじっと見上げたあと、扉に手をかけた。
「じゃあ、全員起きたし、この中入るぞ?」
「うん。」
「えぇ。」
二人はあっさりと頷いた。
まぁおそらくこの先に出口なんてのはないだろう。
こんなところまで来て元の場所に繋がる扉ではないことは分かる。
ただ、この好奇心と違和感を確かめたい。
アルスはゆっくりと強く扉を押した。
重い金属で出来たその扉は地面を擦るような音を立てて開いた。
そしてその先にはアルスたち住む世界とは全く別の空間が広がっていた――。
---
その空間は全て石で作られており、縦横高さ全てが広く作られた直方体の部屋。
大きな石柱や祭壇をするような場所があり、光源まである。
アルスたちの住む場所とは比べ物にならないくらい大きな魔法陣が青白い光を放ち、地面に描かれている。
壁や天井にはさっきの扉と同じような文字とまた見た事のない絵が沢山描かれてあった。
その光景は異質な雰囲気と共にアルスたちの視界に飛び込んできた。
「なによ………ここ……」
「………自然発光地帯か………?」
「いや、自然発光地帯じゃないよ。これはどう見ても、人の手によって作られた空間だ。つまり、最近なのかはたまた大昔なのかは分からないけど、ここに人がいたってことは確かだね。」
三人は部屋中を見回しながら歩き出す。
俺たちの住んでる場所よりかなり遠い場所にこんな空間があるなんて…………。
俺たちが住んでる場所の他にも人がいるってことだろうか……。
ホコリとか汚れも全然無いし、今でも誰かが使ってるんじゃ………いや、でも生活感があるかと言われればそうでもないしな……。
未開拓領域でもなさそうだし、自然発光地帯でもない。
となるとここは何をする場所なんだ?
なんのために作られたんだ?
そんなことを考えながら歩いていると足元に目が行き、足を止めた。
綺麗に汚れ一つ無い空間に、何故かそこだけ異様に黒くくすんでいる。
アルスが歩いた場所が黒くなってるんじゃない。
今アルスが足を止めたところだけが黒くくすんでいたのだ。
「なんだこれ?」
他の場所にはこんな風にくすんでる場所はない。
ここだけだ。
なんなんだ?
なんか汚ぇな………。
うぇ……。
なんか見てると気分が悪くなってきた。
アルスは顔をしかめつつ再度歩きだそうとした時、アイビスが何かを見て立ち止まっているのに気づいた。
何かをじっと見つめている様子。
「…………ねぇ、あれ見て。」
そう言ってアイビスは自分たちが歩いている方向とは別の方向。
三人から見て、真右の方をじっと見ながら指さしている。
アルスたちもその方向を見る。
そこにあるのは他の壁とは同じ、普通の壁だ。
「なんだ?何があんだよ。」
「あれ、…………扉じゃない?」
「扉?」
そう言われ、目を細める。
よく見ると、さっきと同じ両開きの扉のような形がうっすら見える。
だが、その大きさがおかしい。
壁と同じような柄をしているから気づかなかったが、その扉、天井に近い大きさがある。
目を疑った。
「扉?にしてはデカすぎねぇか?」
「でも、扉と言われれば扉だね。」
「まぁ、近くまで行ってみるか。」
「………そうだね。」
三人はその大きな扉に向かって歩き出した。
大きな扉の前に到着した。
間近に来ても、その扉は本当に扉なのかも怪しいくらいの大きさだった。
壁と同じような造りで出来ていて、遠くからパッと見ると違いが分からないレベルだ。
アイビスはよくこれに気づいたな。
「扉………だね……。」
「…………だな。」
アルスとフェンリルが呆気にとられている横でアイビスが首を傾げながらじっと扉を見ている。
「これ………どうやって開くのかしら?」
「え?開くの?これ。開けれんの?」
「う〜ん、まぁ扉だし、開けれるとは思うけど………開けれる気はしないね」
そもそもこんな扉どうやって開けるんだ?
過去にこれ開けれた奴いたのか?
どう見ても人間が開けれるようなものじゃないだろ。
するとアイビスとフェンリルは扉を押したり扉の細かいところまで調べだした。
いや無理だろ。
ビクともしてねぇじゃねぇか。
大体これ作ったやつも馬鹿だろ。
デカけりゃなんかすごく見えるからデカく作っただけだろ。
どうせ開けらんなくてそのまま放置しただろ。
そう思いつつも扉に触れた。
その瞬間、扉の中から聞いた事のないような妙な音が鳴った。
「?」
次の瞬間、静寂を保っていた扉は大きな地響きを立てながら、人が通れるぐらいの隙間が開いた。
「「「え?」」」
何が起こったのか分からず、三人は固まった。
俺が扉に触れた瞬間、扉が勝手に開いた。
力も入れてないし特に何かをした訳でもない。
ただ触れただけだ。
ただ触れた瞬間変な音が鳴って、扉が独りでに開いたんだ。
俺は何もしていない。
「あ、開いた………???」
「あ、あんた何したのよ!!」
「何もしてねぇよ!扉に触っただけだ!!!」
混乱する三人。
意味が分からない。
なんで俺が触っただけで開いたんだよ。
どういう仕組みだ?
「ま、まぁ開いたしとりあえず入ってみる?中にも何かありそうだし。」
よく見ると、隙間から微かな光がこぼれている。
見た感じ、この空間の光とはまた違う光に見える。
「…………そうだな。行くか。」
何が何だか分からないが、開いてしまったものは仕方がない。
俺がずっと感じていた違和感はおそらくこの先にある気がする。
三人は少ししり込みしながらお互いを見合わせ、その扉の中へ入っていった。
---
扉の中はさっきの空間と比べ、随分と廃れていた。
手前には細長い長方形の狭いスペースがあり、それに接しているのは直径二十メートルくらいのドーム型のような部屋だ。
壁にはさっきの壁と同じような絵や文字が書かれてあった。
だが辺りは暗く、魔法陣はない。
唯一の光源がドーム型の部屋の天井に穴が空いており、そこから光が漏れ出ている。
そして部屋の中には何も置かれていないが、唯一部屋のど真ん中には大きな椅子だけがあった。
三人の知ってるような小さな椅子ではなく、王様が座ってそうな威厳を残しつつも、廃れ、忘れ去られたような寂さを感じる椅子。
その椅子を一際目立たすように天井から漏れ出た光はその椅子だけを照らし、より一層三人の目を惹いた。
景色としては何も無いが、何故か息を飲むほどの荘厳さを感じるその空間に三人は呆気にとられた。
「………なんだここ……なんか……すげぇな………!」
呆気にとられつつも、三人は歩き出す。
「そうだね。壁もさっきと何も変わらないし、部屋がさっきとは違ってドーム型。大きな部屋と同じ形だけど、何かすごく目が惹かれるね。」
「コホッ………コホッ………それにしてもここ埃っぽいわね」
二人の声を耳に入れながら歩いていると、アルスは椅子の目の前まで来ていた。
椅子はアルスの身長の倍くらい大きく見える。
「デカすぎだろ………。」
さっきからここにあるもの全部がでかい。
ここはデカい人間しかいなかったのかよ……。
アルスはその椅子を見て、首を傾げながらため息をつく。
そして何も言わずそのまま上を向いた。
上から光が出てるってことは上にも何かあるんだろう。
――そう思った。
「………は?」
思わず声を漏らす。
アルスの声につられ、二人も同じように椅子に近づく。
「どうしたの?」
フェンリルの心配の声。
だが、アルスの耳には届いていない。
なんだこれ………?
いや、なんでだ???
え?…………だって、これ……
困惑するアルスを見て、二人は何事かと同じように上に視線を向けた。
「………え?」
「!! ……なによ……あれ!」
思考が停止したように動かなくなったフェンリル。
口元を押え衝撃を受けるアイビス。
同じように困惑する。
空いた天井から見えたものは彼らの想像するもの、いや、彼らが今まで生きてきた中で一番奇妙なものがあった。
彼らの今までの常識を覆すほどの " 異物 " 。
地底世界には当然存在しないもの。
あるはずないものだった………。
――そこに " 月 " があった。
♦ちょこっと補足♦
アイビスは昔は体が弱かった。
アルスは今まで数回しか風邪を引いたことがない。
だが、フェンリルは今まで一度も風邪や病を罹ったことはない。




