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第十四話「プレゼント交換」

 数日後、アルスたちは北大大きな部屋(タンガ)東部に位置する自然発光地帯(メモワール)約束(リアンフィニ)の花畑に来ていた。


 現在、北大大きな部屋(タンガ)への立ち入りは禁止されている。


 理由は魔獣の生態が安定していないからだ。

 関係者以外は立ち入りを禁じられている。


 ではなぜ彼らはここにいるのか。


 世の中にはバレなければセーフという言葉がある。

 人間してはならないと言われると何故か無性に手をつけたくなる生き物だ。

 二週間も家にこもっていた彼らなどは特に悪巧みに性が出るようだ。


「ふぅ、何とかバレずに来れたなぁ」

「ほんとだよ。バレたらどうなることやら………」

「大丈夫よ!ちゃんと警戒してきたから誰にもバレてないわ!」


 彼らが今日ここに来た理由は一つ。


 数日前に行われたプレゼント選手権のプレゼント交換と優勝者の決定だ。


 実はあの後、アルスが集合場所に戻るとフェンリルしかいなかった。


 二人でアイビスを待っていたが全く帰ってこず、魔法で知らせようとした時、ちょうど帰ってきた。

 だが、アイビスは何も持っておらず、息を切らしながら何も決まってないから続きは後日にしろと言い出した。

 確かにあの様子だと夕飯までかかりそうだったので言われた通り帰ることにした。


 その結果、今日それの続きをするプラス、卒業試験に向けての勉強会を開くことになった。


 ――主にアルスの。


 それぐらい村で出来るだろと思うが、久しぶりにこうして三人でこの場所に来れる機会があるならとこっそりと足を運んだのだ。


 アルスたちはいつもの大樹の下に着くとそのまま座り込み、プレゼント交換を始めた。


「さて、早速やりましょ!プレゼント交換!」


 この様子だとちゃんとプレゼントは選べたようだ。


 三人ともプレゼントは小包に包んである。


 アルスも店ではしてなかったが、家に帰ってアーミスにしてもらった。

 一応買ったあとは見えないように服の中に入れていたためフェンリルにも何を買ったか気づかれていないはずだ。


「じゃあ誰から見せる?僕からいこうか?」

「いや、ここは私がいくわ!」


 自分の胸を押さえて、自信満々に言う。


 相当自信あるんだなこいつ。

 まぁそうだよな。

 ショッピング慣れてますよアピールしておきながら結局決まらなかったからまた今度って言うくらいだもんな。

 これでしょぼいのとか出てきたらビクッリだぜ!


「フフフッ、私があんたたちに選んできたのはこれよ!」


 そう言うとアイビスは傍らに置いてあった二つの小包を前に置き、バシバシと叩く。


 おいそれプレゼントだろうが。

 叩くなや。


「まずフェンリル!あんたは中間職なのに手袋一つも持ってないのはおかしいわよ!卒業したら手は大事にしなきゃいけない職業に就くんだから!」


 フェンリルに渡した小包からは戦闘の時に使う茶色いグローブが出てきた。

 指先は何本か空いていておそらくそのままペンを持ったりもできるようにだろう。


 フェンリルはこの先、研究者もしくは教師とかそういう仕事に就くだろうからこのグローブはかなりいいな。

 これはポイントが高い。


「ありがとう。ちょうどこういうの欲しかったんだ。嬉しいよ。一生大事にするね!」


 フェンリルも嬉しそうだ。


 そして次にアイビスはアルスに小包を渡した。


「あんたはこれよ。あんたは世の中のオシャレに鈍感過ぎるわ。自分もオシャレして、もっと周りの事も見てみなさい。」


 アルスは小包を開けた。


 中には銅板がついた額当てだった。

 銅板にはよく分からない柄が入っている。


 中には男物の銀の耳飾り。


「耳飾り?」

「そうよ!!」


 何故か腕を組んで偉そうに鼻を鳴らしている。


 耳飾りか。

 まぁオシャレをするなら一番いいかもな。

 指輪だと剣握った時に違和感感じちまうだろうし。


「ありがとう!大事に使わせてもらうとするわ!」


 そう言うとアイビスは自慢げに鼻を鳴らしているが喜んでもらえて良かったみたいな顔をしている。


「ど、どうよ!私が本気出せばこんなもんよ!」


 やっぱりこういうのって渡す側も緊張するんだな。

 俺はそういうの考えずに買ったからな。

 もう少し考えて選ぶべきだったか。


「じゃあ、次は僕いってもいいかな?」

「あぁいいぜ。」


 そう言うとフェンリルはまずアルスから小包を渡してきた。


 少し大きめの小包だ。

 アルスはそれを手に取った瞬間それがなにか分かった。


 あーなるほど。

 お前が言いたいことが分かったぞ。


 小包を開け、中身を確認する。

 そこには一冊の本が入っていた。


 題名は『地底世界の魔法について』。


 お前は俺にこれを使って魔法を何とかしろって言いたいのね。


「この本は魔法を使う時のコツとか気をつけることとか、基本が書かれていて、魔法が使えないアルスでも分かりやすいと思う。それを読んで少しでも理解出来れば魔法も人並に使えるんじゃないかと思ってね。卒業試験の勉強本にもなるし。それを見て少しは上達出来ればいいんだけど………。」


 心配そうに眉を八の字に曲げる。


 いつも魔法の練習を手伝ってくれているフェンリル。

 勉強の方と比べ、全く上達しないことに関してフェンリルなりに気を使っているのだろう。


「ありがと!これがあれば少しは変わるかもな。実際、あとちょっとで何か掴めそうな気がするんだけど………」


 そう微笑みながら返す。


 まぁ、正直何も分かんねぇんだけど。

 ちょっとでも使えそうな物ならどんどん使っていくべきだな。

 卒業試験に間に合わねぇし。


「次はアイビス。アイビスは普段からオシャレに気遣ってるからこういうのは沢山持ってるかもしれないけど、これにしてみたんだ」


 アイビスが小包を開けた。


 アイビスはそれを見て頬を赤らめ、目を輝かせた。

 そして中に入ってるものを取りだした。


 出てきたのは翠緑の色の宝石がついた両耳の耳飾りだ。

 まるでアイビスの瞳の色と同じような色をしている。


 おぉ!!!

 綺麗だなぁ。

 アイビスにピッタリな色してるし、何より目を引く色だ。

 俺が貰ったやつは男物とは違ってアイビスのはちゃんと女物だけど、女物の中では飾り過ぎずそれでいてしっかり上品さのあるものだ。

 アイビスらしいと言えばアイビスらしい。

 フェンリルもこういうセンスあるんだなぁ。

 まぁフェンリルは人の観察とかそういうのは常日頃からやってる奴だからこういうのも得意なんだろうな。


「あ、ありがとう。フェンリルにしてはセンスあるじゃない!」

「気に入ってもらえてよかったよ。」


 これは負けてられないな。

 二人ともかなりセンスがあるものを選んできている。

 おそらくしっかり相手のことを考えて選んできているんだ。

 それに対して俺の選んできたやつって結構適当だよな。

 ものとしては悪くないが選んだ理由が相手のことを考えていたとかよりも、まぁこれでいいだろうみたいな感覚で選んでしまった。

 まぁ、仕方ないじゃん?

 たまたま俺が選んだ通りが良い品揃えが無かっただけかもしれないし?ババアはウ〇コデケェし。


 気に入ってもらえるだろうか………?

 やばい、緊張してきた。


「ん、んじゃあ、最後は俺だな」


 アルスは小包をフェンリルから渡す。


 今日三人が持ってきた小包の中で一番大きなものだ。


 受け取ったフェンリルがゆっくり小包を開ける。


「まぁ〜その〜、フェンリルはあれだろ?その〜なんというか、中間職だけどよ、もし万が一この身一つになった時に自分で自分を守れるようなんか持ってた方がいいと思ってな」


 フェンリルはそれを見てびっくりしたような顔をしている。


 その反応は…………どっちだ?

 気に入らなかったか?

 やっぱり本にしとくべきだったかも………。


 だが、フェンリルはすぐに嬉しそうな顔でそれを大事そうに抱えた。


「ありがとう!こういうの一度欲しかったんだ!」

「……え、………お、おう。そうか……。」


 戸惑うアルス。


 喜んでいる……………ってことは、気に入って貰えたってことか。

 そうか、良かった。

 意外にもそういうのが欲しかったのか。

 やっぱりこいつも男だな。

 男ってのは武器に憧れてこそだしな!


 そしてアイビスがフェンリルのその反応を見て俺を歯ぎしりをしながら睨んでいる。


 オイオイ寄せよアイビスゥ。

 こういうのは僻みっこなしだぜ?

 フェンリルの反応が自分の時より良くて悔しいからってそれは無ぇよなぁ。

 フハハハッ!

 まだまだ甘かったな!

 フェンリルも所詮は男!

 感性は俺とさほど変わらねぇんだよ!


「あーそれなんだけど、なんかすんごい代物らしくて、魔力を注いだら魔法が撃てるらしいぜ」


 すかさず補足説明。


「魔法が撃てる?聞いた事無いな。後で試してみよう。」


 フェンリルでも聞いたことが無いらしい。

 となるとかなり珍しいものだったようだ。


 よしよし。

 掘り出し物を見つけれてよかったぜ。

 これは俺が優勝に王手をかけている状態だろう。

 あとはアイビスだが………。


 アルスはアイビスに渡す小包の中身をチラッと確認する。


 うん、無理だな。

 だってこの指輪、あのババアが片方無くしてるしな。

 怒るかな。

 まぁいいか。

 フェンリルにあんな顔させれただけ十分だ。


「次はアイビス。まぁその〜、お前はオシャレするみたいだからしょぼく見えるかもだけど一応ね。俺もそういうのにしてみた。」


 小包を渡す。

 かなり小さい包だ。


 アイビスは小包を受け取り、中を見る。

 そして少し眉をひそめながら中身を取り出す。


「指輪?」


 それを見てフェンリルがピクリとなった。


「あーそれなんだけど〜、そのなんて言うか俺もよく分かんねぇんだけど、『結び目の指輪』って言うらしいわ。」


 まぁその名前も合ってるか分かんねぇし、ただの指輪かもしれねぇけど。

 なんせあのババアの口とケツはでたらめしか出てこねぇしな。


「何よその『結び目の指輪』って。」

「いやーそれがよく分かんな」

「『結び目の指輪』っていうのは大昔に存在した、人と人を結びつける指輪のことなんだ。友人、恋人、家族。大事な人を思いながらその指輪を送り合うらしい。」


 フェンリルがアルスを遮るように説明し出す。


 ほーん。

 あのババアと言っていたこととほぼ同じだ。

 フェンリルが言ってるってことはあのババアが言ってたことは本当だったんだな。

 っていうかフェンリルはなんでそれのこと知ってんだよ。


 それを聞いた瞬間、アイビスの顔がぶわっと赤くなった。


「え!?て、てことは!もう片方はアルスが……!」

「いや、もう片方ねぇよ?」

「…………え?」

「もう片方はない。それ買った店の店主が無くしたらしいわ。」


 さっぱりと答えるアルス。


 アルスがその指輪を買った理由は決して恋人という意味合いで買ったわけではない。

 ただただ綺麗だったからだ。

 思春期真っ只中のアイビスが思うような意味合いはない。


 アイビスはなんだそれみたいな顔をして指輪にもう一度視線を落とす。


「はぁ、でしょうね。そうよね、あんたってそういう人間よね。」


 なんだよ、そういう人間って。

 仕方ねぇだろ?

 最初っからなかったんだから。


「まぁでも綺麗だし、アルスにしてはいいもの選んできたじゃない。ありがとう。大事に使うわ。」


 なんだその上から目線は。

 まぁ気に入ってくれたならなんでもいいけど。


 それにしても二人はやっぱり買い物とかそういうの慣れてるな。

 プレゼントの中身見てよく分かる。

 俺のはまぁ喜んでもらえたけど、ちゃんと選んだかと言われるとそうでも無いしな。

 次からしっかり考えて選んでみるか。


 そんなことを考えているとふと頭によぎった。


「ところでなんだけど、優勝者って誰が決めんの?」

「……………あっ。」


 アイビスは忘れてたかのように声を漏らした。


 アルスたちはまだ十二歳とはいえ、互いのことを色々考えている。

 かなり適当になっているところが多いが、踏み込んではいけないラインはある程度は理解している。

 だから、誰のプレゼントが一番良かったなんて言えるわけがない。


 お前絶対考えてなかっただろ。


「ふふふっ、じゃあ三人とも優勝ってことでいいんじゃない?実際僕は二人のプレゼント二つとも嬉しかったけど?」

「…………まぁ、そうね。アルスが変な物買って来るって思ってたからさすがに私も決められないわ。」


 神妙な面持ちで軽くアルスをディスる。


 それってつまりお前の中ではこのゲーム始まる前に俺が最下位確定してたってこと?

 俺ってそんなにセンス無さそうに見える?

 顔のセンスはピカイチだぜ?(※個人の見解である)


「まぁ三人とも優勝だし、してほしいことがあったら一つずつ言ってね。」


 フェンリルはいかにも最初から分かってましたみたいな感じで言う。


「私は別にして欲しいことは………今は無いわね。」


 して欲しいこと?

 そんなの一つしかない。


「はい!魔法を教えてください!」


 アイビスが嫌そうな顔をする。


 して欲しいことを言っていいのなら遠慮なく言わせてもらう。

 俺の魔法の酷さはお前らがよく知っているはずだ。

 実際、勉強は多少は出来るようになってきているのに魔法だけ異様に成長しないことに関して全く理解出来ない。


 色んな先生にも聞きに行ったが取り組みの姿勢が悪いだの日頃の行いが悪いだので説教食らっておしまいだった。

 それを教えてくれと言っているのだ。

 そんな顔になるのも分かる。


「あんたに教えたところで結局使えないじゃない!」

「分かんねぇよ?もしかしたら急に出来るようになったりするかもしれねぇじゃん。

 何事も試す前より諦めちゃダメなんだぜ?」

「いや、試した事あるから。」


 アイビスの冷たい対応に悠然とした表情で取り繕っているが、内心ではめちゃくちゃ泣きそうになりながら駄々をこねていた。


 頼む!

 頼むよ!

 お前らが居なかったらまじでどうしようもねぇんだよ!

 このままじゃ卒業出来ねぇよ!

 みんなと卒業したいよ!

 だから何とかしてくれ!

 アビえもん!フェリえもん!


 フェンリルは何食わぬ顔で答える。


「僕はいいよ。元々そのつもりだったし。」


 ありがとう!!!

 ありがとうフェンリル!!!

 さぁ、アイビスどうするんだ!

 フェンリルはこう言ってるんだ!

 大事な幼なじみの危機を救うべきではないのか!!!


 アイビスはフェンリルが言ったのを聞いて渋った顔をするも、


「…………まぁ、これで最後だし………別に……私もいいわよ。」

「ほんとか!ありがとう!」


 すんごい嫌そうだな。

 これで最後とか言うし。

 卒業してからも魔法教えてくれよ。

 まぁ何にせよ、教えて貰えるならありがたい。

 とりあえずガッツポーズ!


「じゃあまずは魔法から教えようか。」

「げっ!いきなり………」

「僕が教えてもいいんだけど、やっぱり魔法のことに関してはアイビスの方がいいと思ってね。それにこういうのは早い方がいいからね。」

「っ………!」


 歪みきった顔でアルスを見た後、渋々立ち上がった。


「分かったわよ!やればいいんでしょ!やれば!

 ここじゃ出来ないわ。着いてきなさい!」


 ありがとう!さすがアイビス!

 やってくれると思ったぜ!

 お前はなんだかんだ言ってほんと良い奴だよなぁ。

 その顔さえしなければ。



---



 開けた場所に来た。


 花もぼちぼち咲いているが、芝生がメインの場所だ。

 花畑がある場所だともし何かあったら花を手折ってしまう。

 魔法を使うには最適の場所だろう。


「いい?あんたは初級魔法しか使えないけど、一応もう一回どれくらいのものなのか見るから!」


 アルスに指をさしながら鼻を鳴らすアイビス。


 なるほど、実力を見てからどう教えるのか考えるのか。

 まぁ、見ても意味ないと思うがな。


「なんでもいいのか?」

「えぇ、いいわよ。あんたが一番使いやすい魔法を使いなさい。」


 使いやすい魔法か。

 魔法を使いやすいと思ったことは一度もないが、強いて言うなら初級の水魔法だな。

 あれは基礎中の基礎だから多少それっぽい形にはなる。


 アルスは杖を構え、集中する。

 そして詠唱を開始する。


「水流の玉となり、弾け飛べ!『水弾(ウォーターボール)!』」


 次の瞬間、杖の先には拳一つ分の大きさの水玉が出来、そしてすぐに地面に落ちた。


「………」


 アイビスは真顔で黙り込む。

 アルスも同様に黙り込む。


 沈黙が流れる。


「…………何してるのよ。早く魔法使いなさいよ。」

「いやもう使ったけど!!?」


 アイビスはあまりの魔法の酷さに使ったかも気づいていない、いや気づいているが気付かないふりをしている。

 アイビスが顔を歪ませる。


「っ……………それが……………限界?」

「限界も何も、これ以上なんて出来たことねぇよ。」


 アイビスが頭を抱える。


「前も授業であんたの魔法見たけど、何でそんなに成長してないのよ…………!!!大きさも使える数も……………六歳からずっとそのままじゃない!!!」


 怒りでもなく呆れでもなく、ただただ理解出来ないと言った様子で声を荒らげている。


 あまりの魔法適正の低さ。

 これはプロの教師でさえ何とか出来るか分からないレベルだ。


 フェンリルも苦笑している。


 俺だって意味分かんねぇもん。

 魔法を使うコツとか何回聞いても上手く出来ねぇ。

 もう俺は魔法を使わずこの(さき)生きていくんじゃないかとも思ってる。

 まぁ、それでも俺は気にしないけど。


 強がるように自分を言い聞かせるアルス。

 フェンリルはそんなアルスの肩に手を乗せ、疑問のような表情を浮かべる。


「何でなんだろう………。なんでアルスだけこんなに出来ないのかな?魔法の原理としてはちゃんと理解してるよね?」

「うん?まぁ、図書館の本でも見たし、フェンリルにも教えてもらったし、ある程度は理解してるつもりだけど…………」


 首を傾げるフェンリル。

 アイビスも顔を引きつらせながら言う。


「…………り、理解してるつもりって言っても、体が覚えないと意味が無いわよ。魔法は頭より体で慣らすものよ?」

「でも、アルスは実際全く魔法が使えないわけじゃないでしょ?初級魔法を使えてる。」

「え!?あれで使えてるって言えるの???」

「使えてますぅ!!!大きさじゃねぇんだよ!形だ形!!」

「となると、やっぱり別の原因があるんじゃないかな。例えば、人より魔力量が少ないとか、絶望的に魔法適正が低い体質とか、たぶんこういう根本的な問題があるんだと思う。」


 魔力というのは魔法を使うエネルギー源のようなもの。

 その大きさは人それぞれとされているが、実際のところどれくらい大きいのかなどは分からない。


 一つの魔法を限界まで使用した際のその魔法の大きさではないかと言われているが、諸説は様々。

 明確な定義は無い。


 アイビスは声を荒らげる。


「それじゃあどうしようもないじゃない!特訓したって意味ないってことでしょ?」

「いや、そうとも限らないよ。一概に意味ないって決め付けるのはまだ早い。とりあえず、どこか診てもらえるところを探しながら試験までに毎日特訓しようか。」

「………え?毎日???」


 アイビスが聞いてないみたいな顔をする。


「こればかりは仕方ないよ。何とかしてあげよう。」


 フェンリルの優しさに思わず顔が緩むアルス。


 おま………なんて優しい奴なんだ!!!

 惚れちまうじゃねぇか!


「………分かったわよ。」


 渋々の了承。

 有難い限りだ。


 んじゃあ、とりあえずちょっとずつでも練習していくか。


 こうして三人にとって、最も辛い日々が始まった。

♦ちょこっと補足♦

アイビスはごく稀にポンコツになる。

フェンリルは外見では取り繕っているが、意外と男の子向けの趣向が好き。

アルスとフェンリルはアイビスの影に隠れているがそれなりに顔はいい方。

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