矢継ぎ早に助けを求める声が聞こえた。
レベルが三に上がり、満足していた俺の頭の中に再び助けの声が聞こえた。
脳を集中させ、居場所を特定する。レベルが三になった今ならもうかなりの力を手にしているだろうと、レベル二の恩恵のことを思い出し、そう思った。
「特定した!」
助けを呼んでいたのは、竜神大吊橋という茨城県の名所の一つだった。
その場所は歩行者用の橋では本州一の長さの橋で、そこで常時行われているバンジージャンプは日本一だったはずだ。鯉のぼりの季節にはその辺り一帯を鯉が優雅に舞い、とても良い眺めだ。しかしなぜそんな所から助けを呼ぶ声が……。
その理由が分かった。何と銀行強盗した男が追い詰められ、竜神大吊橋の上に逃げ込んだ。そこまでは自業自得だ。しかし強盗犯は追い詰められ何を血迷ったのか、付近をペットの小型犬の散歩に来ていたご婦人のそのペットを強奪し、竜神大吊橋に逃げ込んだのだ。
「動くな! 動くとこのワンちゃんをこの竜神大吊橋の下に投げ落とすぞ」
「やめて! それだけはやめて!! マカロンを苛めないで。投げるならこのわたくしを投げて」
ご婦人が必死に訴えかけるが、強盗犯は何の映画に影響されたのか「逃走用のヘリと車を用意しろ!」とどこか的外れな言動を繰り返している。
と、その時……一陣の風が吹いた。
ピュウウッー。それは一瞬だったが、とても強い風だった。
「あっ……」
その拍子に強盗犯が腕に抱えていた小型犬のマカロンが竜神大吊橋の上から強盗犯の腕をすり抜けるように、下へと落ちた。
「マカロンーー!!」
叫ぶご婦人。
「くそっ!」
俺はまだ石岡のフラワーパークにいる。ここからだと自転車でも10分はかかるかもしれない。どうすれば……。
「レベル三になったことでテレポーテーションが使えるようになったよ」
隣にいた大仏補助精霊が言った。
俺はそれを聞いて、方法を即座に教わり、竜神大吊橋の犬の所へとテレポーテーションした。
テレポーテーションで消える際、「あっ、言い忘れたけどテレポーテーション使えるの一日一回だけだから」という大仏補助精霊の声が聞こえた。
「先に言えーーー!!」
俺は言いながら、竜神大吊橋へとワープした。




