新たなる人助け。
家で昼寝をしていると頭の中に誰かの助ける声が聞こえた。
今までの俺だったならばそのまま寝ていただけかもしれない。しかしヒーローとなった今、俺は自分の身を削ってでも働きたいという使命感があった。だがそれは別に仕事に囚われているというわけではなく、純粋に誰かに尽くしたいという気持ちからだった。主に茨城県人に対してだが。
「大丈夫だよ。君はヒーローになったから睡眠時間も2時間で十分だね。現時点ではレベルがもっと上がれば睡眠は0、5秒で大丈夫になるけどね」
「そうなのか……って0、5秒って何気にヤバい奴な気が……っていうか、なぜ大仏補助精霊が俺の家の中に」
「まあ、どこにも行く当てがないという」
「寂しい奴め。だが俺のプライバシーを考えたことがあるか? 気軽に糞も出来んぞ」
「それは大丈夫。僕は精霊だから人間の糞を見てもなんとも思わないし、何の感情も抱かない」
「ふーん。だがお前には嗅覚とかはあるのか?」
「まあ、普段はないけど、やろうと思えば出来るよ」
「嗅覚のオンオフを切り替えるってそれはそれで何だか哀しいな」
「そうかな。まあこの家にいる時だけ、オフにしているんだけど」
「失礼な奴め! 俺の部屋が臭いとでも言うのか? まあいいさ。それはそれでありがたい。出来れば視覚もオフにしてもらえるとありがたいのだが」
「でも何も見えないと不便だしなあ。あっそうだ。この家にいる時だけ白黒モードにしよう。それならば君も良いだろう? 臭いもないし、白黒だと糞もそこら辺の荷物と大して変りないし」
「俺の部屋の荷物を糞と一緒くたにするな。まあいい。だがその心遣いは感謝しようじゃないか。あと出来れば聴覚も遮断して欲しいのだが」
「はあっ。分かったよ。じゃあ何かある時はテレパシーで僕に語りかけてね」
「うむ」
というわけで俺の家にいる時は大仏補助精霊は視覚、嗅覚、聴覚の一部をオフにすることにしてもらった。それも俺のプライバシーを守る為だ。
おっと、それよりも頭の中に響く助けを求める声がさっきより大きくなっている。俺はその人物にイメージフォーカスを当てて、脳内でビジョン化した。
そこには猪に追われている大学生ぐらいの女性の姿が映った。
俺はそこに向かうことにした。
場所は石岡だった。そしてその場所は石岡のフラワーパークだった。
石岡のフラワーパークは日本で二番目の長い滑り台がある所だと聞いたことがあり、冬の時期はイルミネーションもやったりしている。何て考えている瞬間にも女性が危ないので、俺は再び精霊に紅あずまをもらうことにした。すると。
「あっ、レベルが二になったから紅あずまは自分で具現化して出せるようになったよ」
大仏補助精霊が言った。
「まじか。それは嬉しい」
そして紅あずまをイメージすると本当に目の前に、ホカホカの焼きたて焼き芋紅あずまが出現した。俺はすぐ食べた。
「うーん。スウィート」
そして食べて5秒後に屁が出た。って自転車が今部屋だからないよ。そんな風に思っていたら、大仏補助精霊が笑った。
「今、自転車がないとか思ったでしょ。大丈夫。レベルが二になったことで特技で君と茨城県の自転車がある種の融合をしたから、君自身が自転車としての一面を持つようになったから」
何言ってんだこいつ。有機物と無機物の融合ってこれもはや人間じゃねえ。ヒーローだけど。というかレベル二になっていきなり特技を覚えすぎだろ。まあいいか。どうせヒーローやっている間だけだろうし。引退したら普通の人間に戻るだろうから、出来ることは何でもして、楽しめるだけ楽しもうかな。自分的に。
とか思っていたら、自分の周りを黄金の煙が包み込み、何か肘とか膝とかに金属のサポーターみたいなのが取り付けられて、足の裏には子供が良く履いている靴の裏に小さなタイヤがある靴(名前は知らない)みたいなのを履いていた。
「さあ、行くんだ! 助けを求める声の元へと」
「でも、ここでジャンプしたら天井突き破る、もしくは天井に頭を強くぶつけるよね。そしてその衝撃で死ぬよね」
俺はドラ〇エを思い出して言った。
「大丈夫、君は風になるから」
いや聞こえはいいんだけど、つまり俺自身が得体の知れない粒子みたいに小さくなるってことなのか? まあいい。今は急がなくてはいけない。
俺はジャンプした。と同時に俺は本当に風のようになった。とても気持ちが良い感覚だった。そして気づけば、俺は石岡のフラワーパークにいた。ヒーロー腕時計を見ると、先ほどから5秒も経っていなかった。
俺は視線をフラワーパーク内に向けた。いない。その時、声が聞こえた。
「きゃああああっ! 助けてぇー!!」
いた。
女性はフラワーパークの施設横の歩道を猪に追われ走っていた。
俺は急いでそこに行くと、猪の前に立ちはだかった。
そして、土浦レンコンの穴ビームをやろうとした時、付いて来た大仏補助精霊が言った。
「新必殺技を使って見なよ。レベル二になったから使えるはずだよ」
またレベル二の恩恵か。レベル二恐るべし。
俺は急いで大仏補助精霊に聞いた。
「どんな技だ」
「うん。日本一のメロン生産量を誇る鉾田産メロンを召喚出来るんだ」
「それをどうすればいいんだ? 食べればいいのか?」
「いや、武器で使うんだ」
「武器?」
「うん。それを猪に向かって投げる。あるいはそれで猪の頭や体を叩く」
「そうか。分かった」
ってただ食べ物粗末にするだけじゃねえかー!!
俺は思ったけど、猪が俺に迫って来て怖かったので、鉾田産メロンを数十個召喚してそれらを猪に向かって投げたり、鈍器として物理攻撃をした。
その後、猪をやっつけることが出来、レベルが二から三に上がった。
また一つ茨城県のヒーローとして役に立つことが出来たと思う。
投げつけたり、鈍器として使用して、割れたメロンはスタッフがその後、おいしく頂きました。
(スタッフとはもちろん大仏補助精霊のことだ)




