俺、ヒーローとして初めての事件に当たる。
「では、さっそく茨城県のヒーローの証を授けよう」
「証? 一体何をくれるのですか?」
「うむ。茨の城なので、城の周りを茨で一周したイラストのバッジじゃ」
「おお、ありがとうございます」
俺がそれを手に取ると、その瞬間そのバッジが青白く光った。次の瞬間そのバッジは宙に浮かんだ。そして、俺の胸の前あたりに来ると、四散した。
「あっ、消えちゃいましたよ。バッジ」
「うむ。お主の体と一体化したのじゃ。これでお主は完全に茨城県のヒーローになった。とはいえ、まだ見習いじゃがのう」
「そうですね。まだ僕、何も茨城県に貢献していないですしね」
「その通りじゃ。じゃあ、早速茨城県のヒーローとして活躍をするのじゃ」
「分かりました。とは言え、俺何をすればいいのやら皆目見当もつきません」
「まあ、最初は誰でもそうじゃ。お主は、これからヒーローとしての険しい道のりが待っておる。じゃが、くじけるでない。数々の困難が主を待ち受けているであろう。巨大な敵もどんどんと現れてくるじゃろう。そして、一見地味な活動も多くあることであろう。しかしそれらの経験は主がヒーローとして活躍するための、糧になる。じゃからどんな、地味な仕事でも決して手は抜くではないぞ。掃除だって、立派なヒーロー活動なのじゃからな」
「そうですね。掃除も立派なヒーロー活動ですね。常に綺麗にしておけば、悪人は寄りづらくなると思いますし、綺麗になり、その場所に活気があふれてくると、地元が、ひいては茨城県が盛り上がると思いますしね」
「うむ。よく分かっているではないか」
「ありがとうございます」
俺が答えた時、頭に映像が飛び込んできた。
「な、何ですか? これは……」
「どうしたんじゃ?」
「きゅ、急に俺の頭に映像が飛び込んできました」
「ほうっ、まだヒーローになったばかりじゃというのに、何と感性のいいことよ」
「これは一体何なのですか?」
「うむ。お主が見ている映像。それは今茨城県で起こっている犯罪の一つじゃと思われる。主の見ている映像は、誰か襲われていたり、襲われそうになっていたりしておらんか?」
「は、はい。その通りです。俺の頭の中に、鮮明な映像として、男が複数の少年に襲われそうになっているのがリアルタイム形式で流れています」
「ほうっ、そうか。よし、早速だが、こうしてはおれん。行くがよい! 茨城県のヒーローよ!」
「は、はいっ。……って、どこに行けば、どうやって行けばいいのでしょうか」
「それは、わしにも分からん。その映像を、助けをキャッチしたのはお主なのじゃからな。何とかその映像を自分の頭の中で解析、あるいはその襲われている主と、テレパシーで意思疎通を交すのじゃ」
「て、テレパシー? そんなことが可能なのですか? って、一刻の猶予もないから、早くしなくちゃ!」
俺は頭の中の映像を、映像に映っている、地域情報を必死に分析した。すると焼き物が目に入った。そしてその、焼き物と一緒に映っていた文字、それをよく見てみた。
「あっ、笠間? 笠間焼きって見える!!」
「ほうっ、ファースト解析で文字まで読み取れるとは、あっぱれじゃ!!」
俺は、茨城県の精霊の褒め言葉を聞き、嬉しく思いながらも、今まさに危機が迫っている男のことを思い、嬉しいという感情は、心の奥に押し込んで、彼を助ける術を探った。
俺は届くかどうかは分からないけれど、男の人に、テレパシーで語りかけた。




