俺、茨城県のヒーローになる。
「茨城県に選ばれた!? それは一体どういうことなんだよ」
「うむ。具体的にはお主に茨城県のヒーローになってもらいたいのじゃ」
「茨城県のヒーローに?」
「うむ。そうじゃ。お主は知らなんだかもしれぬが、日本には都道府県ごとに、そこを守っているヒーローが一人おるのじゃ」
「はっ? そんな話聞いたことないぞ」
「そうじゃろう。それもそのはず、彼らヒーローは活動を公にしてはおらず、秘密裏に地域を守っておるのじゃからな」
「じゃあ、北海道には北海道の、沖縄には沖縄のヒーローが一人いるっていうことなのかよ」
「そうじゃ」
「じゃあ、茨城県にもすでに一人ヒーローはいるはずだろう?」
「うむ。先月まではそうじゃった。しかし、今月初め、茨城県のヒーローが老衰によって亡くなってしまったので、今、茨城県にヒーローは不在の状態なのじゃ」
「ちょ、老衰って、茨城県のヒーローは一体何歳だったんだよ」
「うむ。ちょうど100歳の誕生日を迎えたその日、茨城県のヒーローはこの世を去ったのじゃ。大往生じゃった」
「100歳!? そんな年までヒーローをやっていたのかよ」
「いやいや、年で人を判断するなかれ、彼は立派な茨城県のヒーローじゃった。彼に出会ったのはちょうど、80年前、つまり彼が二十歳の時じゃった。彼もまたお主と同じような考えじゃった。茨城県のことを考え、茨城県をどうしたら更に魅力ある県に変えることが出来るか、茨城県を第一に考え、茨城県と共に過ごしてきていたのじゃ」
「俺と同じ……」
「そうじゃ。そして、茨城県にはびこる悪の根をたやすべく、ヒーローになり、誰にも正体を知れることなく活動し続けてきたのじゃ」
「でも、そんな年でよくヒーローをやれたな」
「ヒーローのパワーの源は、年とは関係がない。郷土愛がヒーローのパワーを生み出すのじゃ」
「郷土愛が? どういうことだ?」
「つまり、茨城県を愛せば愛すほど、茨城県のヒーローとしての力が開花するのじゃ」
「へえっ、じゃあ例えば茨城県のヒーローが千葉県に行ったらどうなるんだ?」
「うむ。その場合は茨城県のヒーローが活躍するのは不可能じゃろう。なぜならば、郷土愛がなければ、パワーは発動しないからじゃ。まあ、茨城県のヒーローが千葉県でヒーローに変身したことはないから、わしも詳しくは分からんがのう」
「ふーん。でも茨城県のヒーローになったとして、何か得があるのか?」
「茨城県のヒーローになれば、茨城県の精神生命体であるわしと、ある種、同化することが出来るので、茨城県で起こる犯罪や、災害に、いち早く気づくことが出来るのじゃ」
「おお」
「そして、さらに茨城県の名産品を召喚出来たり、観光名所にワープ出来たり出来るのじゃ」
「嘘っ、マジで?」
「うむ。本当じゃ」
「他には何かあるの?」
「うむ。茨城県で悪と闘う時に、人間の時とは比べ物にならないパワーを発揮することが出来るのじゃ。まあ、じゃがそれは郷土愛に応じてのパワーじゃがな。郷土愛が強ければ、ヒーローのパワーもぐっと上がる。しかし、郷土愛が低ければ、ヒーローとしてのパワーはイマイチになるじゃろう。じゃからもしお主が、ヒーローになったとしたら、お主の茨城県愛次第で、お主のパワーが決まるのじゃ」
「ほぇー。でも、俺の茨城県愛は本物だぜ」
「じゃあ、ヒーローになってくれるのかのう?」
「それを決めるのは、まだ早い気がするよ。もっと詳しい話を聞いてみないことには」
「そうか。うむ。これはまだ分からない話じゃが、なぜ分からないかと言うと、今までにそれが出来たヒーローがいないからなのじゃが……」
「もったいぶらないで早く言ってくれよ」
「うむ。茨城県を究極に愛するヒーローはかの牛久の大仏を動かすことも可能という話じゃ」
「な、何だって? 大関、稀勢の里出身の牛久にある、牛久のあの巨大大仏を動かすだって!? あの自由の女神よりも大きいあの大仏を?」
「うむ。今までのヒーローでは動かせた者がおらんので、あくまで噂じゃがの」
「すげえ、すげえよ。茨城県のヒーロー」
「どうじゃ、茨城県のヒーローになってくれるかのう」
「うん、是非俺を茨城県のヒーローにならせて下さい」
「そうか、なってくれるか」
「うん。茨城県のヒーローに、俺はなる!!」




