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俺、茨城県に選ばれる。

 何故茨城県は県の魅力最下位なのだろうか。こんなにも素晴らしい魅力がたくさんあるのに。

 俺はいつも、そう思っていた。

 そこには様々な要因はあると思う。

 まず県の名前だ。

 茨の城と書いて茨城県。

 なんだよ、茨って。誰だって基本的には茨の道は進みたくないだろう。この名前の時点でマイナスイメージ感が否めない。

 次に名産品だ。

 干し芋って名前なんだよ。いや、芋を干したから干し芋でそのまんまだけど、名前が、個人的には気に入らないよ。あれ、美味い奴はめっちゃ甘くて美味いんだぜ。芋って、芋姉ちゃんっていう、表現があるように、どこか田舎のイメージがある。だから、干し芋が名産品っていうと田舎のイメージがついてしまう。実際に田舎だとしても、そういったイメージで、あんな美味しい芋がマイナスイメージなのは、納得がいかない。だから名前を変えろよ。干しポテトか、干しスイートポテトに。

 そして、茨城県は犬猫の殺処分がワースト1だったりする。そして、茨城と聞いたら、皆何を一番最初にイメージするだろうか。そう、その通り納豆だ。納豆は臭い。栄養はたくさんあるけれど、臭い。さらに茨城と言えば、「~だっぺよ」という訛りのイメージがある。実際俺は今まで住んできてそのような人に一人しか出会ったことがない。しかし、それらの複合的なマイナス要素が、人々の脳の中で絡みに絡み、あるいは噂が噂を呼んで、マイナスイメージの歯車がどういうわけか、奇跡的に噛みあい、茨城県のイメージは地に落ちているのではないか、と俺は考えていた。

 くそうっ、どうにか茨城県をもっとイメージアップする方法はないものか。

 俺は常日頃、そんなことを考えていた。

 そして、今も部屋の中でざこ寝をしながら、まだ外は明るい為に、点いていない蛍光ライトを眺めながら、茨城について思いをはせていた。

「ほっほっほ、お主の茨城愛は本物のようじゃのう」

 声が聞こえた。その声は、人間が話している声というよりは響き渡っていると言う方が、適切だった。だけど、それは不思議な声で、部屋に響き渡っているようでもあったし、頭の中に響いているようでもあった。

「わしが、主の頭の中に直接、話しかけておる」

 テ、テレパシー?

「だ、誰だ!」 

 俺はその頭の中に話しかけて来ているという人物、(男の声)に向かって声を荒げて聞いた。

「わしか? わしは茨城県を支配、統治している、茨城の精神生命体じゃ。ある者はわしのことを精霊と呼ぶ、またある者はわしのことを茨城県の神と呼ぶ。わしは茨城県を管理しておるので、茨城県で起こったことは手に取るように分かる。まあ、分かると言っても人間が背中が痒いとかここら辺が気持ちいいとかそんな感じでアバウトじゃがな。ほっほ」

「い、茨城県を支配している精神生命体……だと!? そんなことが信じられるか。証拠は、証拠はあるのか? というか、顔を見せろ。まず、誠意として俺の目の前に姿を現しやがれ!」

「わしは、精神生命体じゃから、姿と言うのはないのじゃよ。しかし、証拠か……何かないものかのう……あっ」

「ど、どうしたんだ。何か証拠を思いついたのか?」

「そうじゃ、その通りじゃ。わしは茨城県の全域を支配しておる支配者じゃから、分かるのじゃ。後、数分後に茨城県北で震度3の地震が起きるぞい」

「な、何だって? 地震だって!? そんな馬鹿な!」

「いや、本当じゃ。それが証拠じゃ」

「なぜ、地震が起きると分かる」

「じゃから、さっき言った通り、わしは茨城県を支配していて、精神を共にしておるのじゃ。じゃから、茨城県で僅かでも異変があった場合に、すぐに分かるのじゃ。今は茨城県の上の方が、ちょいと痛痒い感じがしたので、これは今までの経験上、地震が起きる傾向なのじゃ」

 そして、茨城県の精神生命体が言った通り、その数分後に茨城県北で震度3を観測する地震情報がテレビから流れてきた。

「ほっほっほ、わしの言った通りじゃろう?」

「そんな、馬鹿な!」

 俺は目に飛び込んできた情報が信じられなくて、頭を大きく抱え込んだ。

 そして、しばらくしてようやく気持ちが落ち着いてくると、俺は茨城県の精神生命体に聞いた。

「でも、一体その精神なんちゃらが、俺に何のようだって言うんだよ」

「ほっほ、そうじゃの。わしが主の家に来た目的をまだ言っておらんかったのう」

「ああ、早く用件を言ってくれ。そしてさっさと俺の前から消え去ってくれ」

「ほっほ、そう怒るでない。では、短刀直入に言うぞ」

 俺は首を上下に動かし、言葉を待った。

「主は茨城県である、わしに選ばれたのじゃ」

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