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【転生ガチャ失敗?】辺境伯家三男の俺、職業『死霊魔導師』で特技は回復魔法(攻撃特化)です。  作者: いな@


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第46話 死霊魔導師たちに迫る悪意。

 王都への護衛依頼を三日後に控え、俺たちは冒険者御用達の武器屋に来ていた。


 武器屋と言っても、防具も野営道具も売ってるなんでも屋だ。


 達成報酬が破格の金貨五十枚ということで、予算は奮発して一人金貨五枚を予定してる。


 表向きは商隊の護衛だが、実は要人警護だ。


 護衛対象のことは伏せられているが、ヘルヴィの予想では、第三王子の婚約者候補ではないかとのこと。


 王位継承権が第一位になったからか、その手の打診があとを絶たないそうだ。


 だが、疑問が残る。


 王族の婚約者候補なら王族か、高位貴族だ。


 それなのに冒険者に護衛を頼むのはありえない。


 要人だけど、王女でも王子でも高位貴族でもない何者か、か……。


 というか、そんな人なら自分で護衛をつれてくるのが当然だ。


 ……謎過ぎる。


 ……悩んでも仕方ないか、三日後に会えるんだ、その時はなにかわかるだろう。


 よし、頭を切り替えて、今は買い物に集中だ。


 狙いは魔法の補助具。


 ヘルヴィのような杖もいいけど、俺は剣も使うからな。


 できれば指輪や腕輪タイプの補助具が理想だ。


「ネクロウ! この剣格好よくない! 買ってもいい!」


 補助具の品定めをしていると、元気よく駆け寄ってくるセレスが胸に抱えた剣に視線が奪われた。


 なんだよそれ!


 鞘は黒地で、真っ赤な葉脈模様を浮彫りにした、もの凄く怪しいものだった。


「ほら、片刃だけど、中も黒くてキレイでしょ?」


 シャラン、とセレスが鞘から剣を引き抜いていくと、漆黒のサーベルの刃が現れた。


「っ! それ……」


 鞘から解き放たれたのは、黒い刀身のサーベルだが見た目以上に禍々しい。


 ただの黒いサーベルなら問題はない。


 そのサーベルからは、真っ黒な魔力が溢れ出て、ドクン、ドクンと脈打っていた。


 その魔力は刀身だけでおさまらず、セレスの腕を伝い、全身へ広がっていく。


 だが、危害を加えるような様子はない。


 まるでセレスに寄り添い護るように、全身を包み込んでいる。


 あまりのことで声をかけるのも忘れていた。


「セレス、それ、大丈夫なのか?」


「ん? なにが? それよりネクロウ、ほらほら黒い剣とかなにか強そうでしょー」


 セレスはニコニコと笑い、差し出すように俺に見せてくる。


 刀身とセレスを包み込んでいた魔力の膜が俺に触れた。


 …………嫌な感じは……まったくないな。


「それにねー、ビックリするぐらい凄く軽いんだよー」


 細身で刀身が六十センチのサーベル。


 この前ジムに借りたワンハンドソードよりは軽いとは思う。


 ちょん、と黒い刀身に触れてみるがなんともない。


 本当に害は無さそうだ。


「お客様、よいものは見つかりましたでしょうか、あ! そ、そのサーベル持てるのですか!」


 声をかけてきたのはこの店の店員だ。


「ん? あ、これサーベルっていうんだ! うん、ほらほら持てるよー」


 セレスはサーベルを知らなかったのか、そんなに使われてる武器じゃないしな。


「そんな……まさか呪いのかかったそのサーベルを持てる方がいるなんて……」


「え? 呪い? ヤバい! セレス、早く鞘に戻せ!」


「えー? 呪われてるのー、銀貨十枚だし、こんなにいい感じなのにー」


 シュン、と軽く一振したセレスは、言われた通り鞘にサーベルを戻す。


「嘘だ……そもそも片手で持てるわけなどないというのに、それを軽々と振るえるなんて……」


 店員さんの説明では、鞘に入っている時はハルバードほどの重さで、抜けばさらに重量が増す呪いの魔法剣とのことだ。


 そのかわり、ものすごく頑丈で、手入れも不要らしい。


 てかそれが銀貨十枚? あ、そうか、ナックルガードがあるし、ハルバードより重い剣は片手じゃ無理すぎる。


 でも、確かにセレスは力持ちではある。


 だけど、そんな呪いをはね除けられるような怪力ではないはずだ。


 抱き殺されそうな体験は何度も経験したけど……。


「私でさえ鞘付きで持ち上げるのがやっとの品ですのに、素晴らしいです」


「えへへ、そうかなー、あ、ネクロウ、このサーベル、買っても、いい?」


 セレスは赤い瞳のうるうる上目遣いで許しを求めてきた。


 さらに、こて、と軽く首をかしげ、可愛らしく握られた両手をアゴに添えて。


 まあ、その手には禍々しい鞘と、真っ黒な魔力を放出するむき身のサーベルが握られているけどな。


 数秒ほど見つめ会ったあと、俺は財布から銀貨十枚を取り出し、店員さんに手渡した。


「店員よ! このローブをもらうぞ!」


 そう言いながら現れたのは真っ白なローブを羽織ったヘルヴィ。


 フードには猫耳、さらにはふわふわの長い尻尾がゆらゆらと揺れている。


「あー! ヘルヴィそれ可愛い! 私も欲しいよー!」


 それを見たセレスはサーベルと鞘を持つ手で万歳しながらぴょんぴょん跳ねた。


「お、おう、そうか? 我の目利きに間違いはなかったということだな」


 自分が選んだローブを褒められ嬉しかったのか、ニヨニヨと照れるヘルヴィ。


「あー、そうだセレス、どうせなら色違いで揃えないか?」


「うんうん! 大賛成だよ!」


「くくっ、ならば品物は向こうの角にあるから見てこい。おお、店員よ、金貨三枚だ、受け取れ」


「お買い上げありがとうございます」


「じゃあネクロウの分も探してくるねー!」


「あ、ちょっ! セレス! 危ないからサーベルは鞘に戻して!」


 サーベルと鞘を振り回しながら広い店内を走るセレスの後ろ姿に声をかけたが、なんとか聞こえてようだ。


 あれ……セレス、俺の分もって言ってなかったか?


 数分後、赤い猫耳ローブ羽織り、手には黒いローブを持ったセレスが帰ってきた。


 どうやら俺たちは、猫耳ローブで護衛依頼請けることになったようだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 side トリューガー


 薄暗い石造りの地下室で、闇騎士団に反抗してきたパーティーに罰を与えていたところへモーブが報告にやって来た。


「なんだと? 三日後に商隊の護衛依頼? ガキ共はEランクに上がったところだろう?」


「へい、ですが最近うちの闇騎士団に入団したいと言ってきた奴らも同じ依頼を請けますんで、間違いありません」


「ふむ、商隊の護衛、か。それに入団希望のパーティー……使えるな」


「トリューガーさん、使えるとは?」


「罰を与えないと駄目なガキ共を捕らえるだけでなく、そうか、商隊……」


 ここまで言って気づけないとは使えないヤツだ。


 近いうちに処理にまわしてもいいかもしれない。


 そんなことより、あの御方に献上する女十人に、ガキ共の女二人も追加すれば俺様の評価も報酬も上がるだろう。


「三日後か、モーブ、幹部を召集だ、急げ」


「へい、すぐに!」


 地下室から出ていくモーブの背中から視線を外し、吊り下げられた懲罰中の女に鞭を振り下ろした。


「いぎいいいいいー!」


「くひひひひひっ! 俺様を侮辱した罪はこんなものでは償いきれんのだ! いひひひひひひ!」

 読んでいただきありがとうございます。


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