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【第十一章完結】棄てられ王子の最強イカダ国家 ~お前はゴミだと追放されたので、無駄スキル【リサイクル】を使ってゴミ扱いされたモノたちで海上都市を築きます~  作者: タック
第十一章 アルケイン王国の決戦

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幕間 最強オシャレ私服国家・後編

 なぜかトントン拍子に話が進み、海上都市ノアの上でファッションショー対決が行われる事になった。

 審査員は住人達による投票で、優勝すると特別な衣装が貰えるというのだ。

 きっとローズが無駄に宰相としての手腕を発揮してしまった結果だろう。


「ひゅーひゅー!」

「楽しみにしてるぜー!」

「待ちきれないわね!」


 悪乗りでドワーフたちが作ったファッションショーのお立ち台と、練り歩くためのランウェイと呼ばれる細長い道まで用意されていて、周辺では住民たちが今か今かと待ちきれずにいるようだ。

 海の上では娯楽が限られているので、こういうお祭り騒ぎは貴重なのだろう。


「司会はこの僕、ファ・ミキチ務めさせて頂きます!」


 司会席には30代のバンダナを巻いた人間種族の男性が座っていた。

 彼――ミキチは漫画と呼ばれる文化を研究していて、以前ゼノンと書かれていた漂流物から出てきた古代文明の漫画を翻訳してくれた人物でもある。

 今は自分も漫画を描いていて、その内容はノアクルたちが冒険してきたものだとか。

 船の上での娯楽として人気者になっているので、この司会に抜擢されるのも当然かもしれない。


「うおおお!! どんな際どい衣装があるのでしょうか!! でも、パンチラはNGですよ、パンチラは!! どうせなら全裸にしちゃいましょう、男も女も!!」


 少々、ユニークな性格のようだが、きっと漫画家という職業はこれくらい尖っていないと無理なのだろう。


「いや、ミキチ。脱がせちゃ意味がないにゃ。今日は服のショーですにゃ」


 舞台袖からジーニャスがツッコミを入れつつ出てきてしまった。

 ミキチは急いで台本を読み上げる。


「エントリーナンバー一番! 海賊ゲロ猫娘とはこの人のこと!! 海の姿はライオン! 陸の姿はマタタビを吸った駄猫! 天才船長ジーニャス・ジニアスだぁー!! 僕もマリレーン島から乗り込んだのでお世話になりました、はい」

「……ゲロ猫娘……駄猫……ちょっとコイツぶん殴っていいですかにゃ?」

「ま、漫画では胸を盛っておくので許してください……へへ……」

「それなら許しますにゃ」


 そんなやり取りは置いておいて、ファッションショーを早くしろと観客席からの視線が突き刺さる。

 ミキチはコホンと咳払いをして、ジーニャスはランウェイを歩く事にした。

 彼女はいつもの海賊服ではなく、今日は冬の装いという感じで可愛くまとめてある。

 可愛い編み込みが入ったセーターに、厚手のダッフルコートを合わせて、ニットの帽子もケモ耳を覆う形だ。

 この重めの上半身に対して、ふわっと軽やかなスカートから生足が見えているギャップもある。ジーニャス海賊団マークが可愛くデフォルメされたバッグも肩からかけている。


「これは普段格好良い系の〝ジーニャス船長〟から、女子力高めの〝ジーニャスにゃん〟へチェンジだぁー!!」

「うぉぉー!!」

「我らが船長世界で一番可愛いよぉー!!」

「ジーニャス(ねえ)さいこー!!」


 海賊団の面々や、右腕の鷲鼻おっさん、まだ小さいナタムも大興奮だ。


「これはもう冬の装いというより、冬の妖精と言っても過言ではないですね! ケモ耳すら温めているのに、さらに見ている者の心まで温めてくれそうです! 海賊団のマークが入ったバッグもあり、愛も感じられますねぇー!!」

「なんかメチャクチャ恥ずかしいにゃ……。あと、これ本当に寒いところだとスカートに生足ってきつくないですかにゃ……」

「女子のオシャレは気合いと根性です、漫画にもそう描いてありましたし」

「き、厳しい世界だにゃ」


 ジーニャスはそれでもやりきって、少し照れたままの表情で舞台袖へと戻っていった。

 ミキチは司会を続ける。


「エントリーナンバー二番! 普段はマスコットな亀、しかしその正体は露出狂の男の娘ぉー!! アスピ・ド・ケロンだぁー!!」

「自分では露出狂とも、男の娘とも思ってないんじゃが!?」


 舞台袖からツッコミを入れながら出てきたアスピは、さすがに人型形態になっていた。

 亀の姿から人型になると服を着るのも時間がかかるからだ。

 観客たちも、海上都市ノアの守護神であるようなアスピには敬意を払っており、その期待も高い。


「アスピ様だ!」

「いつもお守り頂き……ありがたや……ありがたや……」

「アスピ様って普段は薄着だから、今回はきっと格好良く着込んできてい――」


 その姿を見た観客は言葉が止まってしまった。

 上下に赤いビキニを着ていたからだ。

 よく見ると硬質な素材で作られているので水着では無く、防具らしいというのはわかるのだが、あまりの露出度に言葉が無い。


「……ミキチ、お主の言うとおりの服を着たらリアクションが止まったんじゃが?」

「グッド! 古代文明に記された伝説のパーティーにいたという戦士のビキニアーマー……!! まさにアスピ様が着るための物ですよ!!」

「そう言われると悪くもないような気もするのぉ」


 観客達もドン引きしている層と、大喜びの層に分かれている。

 どうやらかなり尖った趣味の服装のようだ。

 アスピとしてはよくわからないが、喜んでくれる人がいるのならまぁいいか程度である。

 そのまま満足げな表情で舞台袖へ下がっていった。


「さぁ、次はねむねむ目がキュート! しかし握力は頭を軽く握り潰してデッド! 鳥類最強のムル・シグだぁー!!」

「むにゃむにゃ……あーし~、オタクくんの趣味に興味あるな~?」


 ムルは手に持ったカンペを棒読みしながら出てきた。

 紺色のブレザーに短いスカート、ルーズソックスを履いた姿だ。

 髪は短いながらもサイドポニーのようにしてあり、ゴテゴテのヘアアクセ群で過剰装飾されている。

 頭には元から小さな羽根も付いているので頭部の情報量がすごい。


「普段は水着のような格好のムルさんがちゃんと服を着ている……それだけで衝撃だ……」

「何か学生の時の気怠さっぽいのを思い出すわね~!」

「シンプルに可愛い、隣の席にいてからかってほしい」


 実はこれもムルが考えたものではない。

 そもそもファッションという概念がムルにはなかったので、ミキチが教えたものだ。


「古代文明の漫画であった伝説の〝オタクに優しいギャル〟……!! ムルさんに合うと思ってましたよー!! ほら、カンペに用意した台詞を!」

「えーっと~、オタクくん漫画なんて描くんだ~、へぇ~結構上手いじゃん~。今度はあーしを描いてみてよ~。……これでもう寝てきて良い~?」

「うひょー!! 全オタクの夢!! 可愛いギャルに優しくしてもらう!!」


 ※ただギャルが全人類に優しいだけという……諸説あります。


 ムルは心底興味がないようで、そのまま半分寝ながら舞台袖へ寝に戻った。


「さぁ、次は三人一気に行くぞー! ワイルドな獣人と言えばコイツらだぁー!! 荒ぶる獣スパルタクス! 美獣レティアリウス! 牙を抜かれた三下トラキア!」

「何かオレ様だけ酷くね!?」

「この服、僕が戦ったら破れそうだ……」


 トラキアとスパルタクスはバシッと紳士用のスーツで決められている。

 ネクタイまでキッチリと締められていて、筋肉質のスパルタクスは窮屈そうだ。

 逆にトラキアはすぐにネクタイを緩めて着崩し始めてしまった。


「ほら、二人とも。もっと服に似合う自分にならなきゃ」


 レティアリウスはその二人のダンスパートナーのように可憐な黒のパーティードレスを着こなしている。

 大人っぽい宝石のアクセや、脚に深いセクシーなスリットが入っているのだが、背の高いレティアリウスにピッタリだ。


「おーっと!! 三者三様!! これはケモナーにはたまらないぞー!!」

「ケモナー?」


 スパルタクスが疑問符を浮かべる。

 たぶん、観客席で発狂している一部の層のことだろう。


「うおー!! もふもふー!!」

「普段は布が多い服を着てくれないワイルドな獣人が、スーツとかドレスとかでビシッと決めるギャップがたまらない……!!」

「はぁはぁ……モフらせろ……」

「下のモフモフで、ちょっと服がモコッとしている部分がそそるぜぇ」


 トラキアとレティアリウスは、そういう人がいるというのを少しだけ理解してしまっているのか、苦笑いをしている。

 スパルタクスは無邪気に、リクエストされたポーズなどを取っていて、スーツがビリッと筋肉で破れてしまってションボリしてしまった。

 そのまま三人は舞台袖へと帰っていく。


「さて、ラストはこの二人だぁー!! 海上都市に咲く金の薔薇ローズ・アルケインと、我が君主ノアクル・ズィーガ・アルケインだぁー!! ……なぜここだけマジメな紹介なのかって? それはローズ様から言われ――」

「そこ。余計なことは言わないことですわ」

「……はい」


 颯爽と登場したローズは、いつもの綺麗な薔薇があしらわれた衣装ではなく、かなりシンプルな白のワンピースを着ていた。

 頭には麦わら帽子だ。


「ファッションは自分を表現するもの。別に肩肘張らず、したいようにすればいいんですわ。ちなみにこれは、今はオフなので自然体の姿を表現できる服を――」

「あ、あの普段は厳しい宰相ローズ様が、まるで少女のようなお姿を……!!」

「最初からふつーに少女ですわ!!」


 そのリアクションはミキチだけでなく、観客たちも同じようなものだった。


「普段は凜々しい感じなのに、今日は可愛いなぁ」

「そういえばまだ11歳でしたっけ、ローズ様って」

「気負わずシンプルに素の自分の良さを表現している。さすが外交に長けている御方だ」


 なかなかの高評価のようだ。

 奇抜さはないが、ファッションというモノの概念を体現している。


「さぁ、ラストはノアクル様だぁー! どうぞ!」

「うーん、俺は別に何でもよかったんだがなぁ……でも――」


 舞台に出てきたノアクルが着ていたのは普通の服ではなかった。

 今までも珍しい服は多かったのだが、今回の珍しさはその服の作り方だ。

 パッチワーク――色々な古着を集めて、継ぎ接ぎにして完成させる手法の服だ。

 青、緑、チェック柄など、普段なら同時に一面には集まらない、材質すら違う布たち。


「こういうのがいいってローズに言われて、スキル【リサイクル】で作ってみたんだ。色んな奴らが集まっているこの海上国家ノアみたいな感じで、着てみたら好きになってしまってな。パッチワークの服、気に入ったよ」

「の、ノアクル様……!」

「オレたちのことを想って……」

「ノアクル様バンザーイ!!」


 ノアクルのパッチワークが住人たちの心に響き、観客席は大盛り上がりだ。

 ノアクルはリサイクルするのは普通のことなので、さすがに困惑してしまう。


「お、おい。別にそんな大げさな……」

「ふふ、殿下。たまには別の服もお似合いですわ」

「ローズ……お前まで……。まぁ、気分転換には良いかもな。お前の服も結構可愛いと思うぞ」

「かっ、可愛い!?」

「な、なんだよ。褒めただけだろ、そんなに驚くことか……?」

「い、いえ……ありがとうございます……」


 ローズは表情を見せたくないのか、両手で顔を覆って下を向いてしまっている。

 それを見た観客席もさらに盛り上がっていた。


「おーっと、集計結果が出たようです!! 優勝はローズ&ノアクルコンビだぁー!!」

「ま、まぁわたくしたちが勝つのは当然ですわ!」

「俺としてはジーニャスが何か怖いくらい気合い入ってたから、向こうに一票入れたいところだ」

「では、お二方。優勝賞品の衣装を授与するので更衣室の方へ」

「あら? そういえば、優勝賞品の衣装はミキチが事前に決めていたわね。どんな服なのかしら?」

「古代文明に伝わる逸品です!! それはもうすごいですよ!!」


 鼻息を荒くして語るミキチに対して、ノアクルは嫌な予感を覚えていた。


「ミキチ……何か今日、テンションがおかしくないか……?」

「ククク……ついに古代文明の漫画で出てきた〝アレ〟を合法的に着せることが……!!」




 ***




 数分後、小学生用のスク水姿のローズが釘バット片手に激怒しながら出てきた。


「ミキチはどこへ行ったぁー!!」

「取材旅行へ旅立つとか言ってましたね……」


 ちなみにノアクルは、謎の黒いテープが全裸に巻かれたようなホットでリミットな衣装を着させられていた。

 というわけで本編時空だと入れにくい幕間特有のお話でした!

 なお、謎の漫画家ミキチさんはたぶんフィクションです!


 コミカライズを担当してくださっている漫画家のフミキチさんがこんな言動をするはずがない!! いつもギリギリの太ももアングルとかは、モヒカンの拳王軍……じゃなくてゼノン編集部さんに脅されて描いているに違いないんだ!!!!! フミキチさんを穢すなぁぁぁああああああ!!!!!


 ただ最後のスク水は、サマー○イムレンダの澪が好きと言っていたのでこれかなと思い――……書いたあとに気が付いたけど、ずっとスク水だったのは澪じゃなくて姉の潮やん!!

 訂正してお詫び申し上げます。正しくはセーラー服……!!


 そんなセーラー服の黒髪ショートカット褐色ヤンデレ包丁異形負けヒロイン毛深い貧乳妹少女が好きなフミキチさんが描く、コミカライズもウェブ漫画サイト『ゼノン編集部』で連載中!

 単行本一巻も絶賛発売中なのでよろしくお願いします!(自然な宣伝の流れ)


(なお、フミキチさんとゼノン編集部さんにこれをチェックしてもらったところ一発で通ってしまいました。マジかよ。懐の広さに感謝……!! あと癖の広さ)



さて、作家というのは書き続けなければ死んでしまう生き物です!

新連載を投稿しました!!

今回は主役が最弱のヒーラーですが、とある条件的に無双してしまうというお話です!

こちらもよろしくお願いします!


『奴はヒーラーの中で最弱にて ~俺だけしかヒーラーがいない異世界ってマジですか!? でも、ここはアンデッドだらけなので最強!!~』

https://ncode.syosetu.com/n5381ls/

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漫画:フミキチ先生
原作:タック


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