117話 DT聴取
2人にそれぞれガッシリと両腕を掴まれ、動けない俺。
「だ、誰かぁぁぁっっっ!助けてくれぇっ!」
と叫んで助け船が渡されるも、
「じゃれてるだけだ、気にするな。」
と浩平がお引き取りを願いやがる。男同士、しかも全員変態ということで、これを聞いた瞬間に皆青ざめて何処かへ消えていってしまった。
「いいのか、浩平...。ホモ扱いされてるみたいだが。」
早々に武力抵抗を諦めた俺は、言葉で彼を落とさんとした。が、俺は奴の肝とクズを嘗めていた。なんと、
「俺の悪評が広まっても、それに人を巻き込めるなら本望さ。」
と返してくる。
(な、何と言う自己犠牲の精神っ...!?...って、思ったけど冷静に考えたらやっぱクズだわ。)
正直な所、その言葉に俺はそう思うのであった。
「では、単刀直入に聞こう。貴様は鈴本沙耶香(18)と相姦に至ったな?」
そして、突然本題に入る。俺は
「黙秘する!あと、相姦ってのは社会通念に反しているのが条件だったはずだ。例えば、近親相姦とかな。」
と抗議する。
「え...。何でそんなこと知ってんの?」
「気持ち悪いよ、正一くん。」
これにイチャモン付ける圭吾と学。
「学がそれを言うかっ...!?」
俺は思わずそんなツッコミが口から出てしまった。
「近親相姦は社会通念に反していない!むしろ、DT同盟でありながら女と共寝することの方が社会通念に反している!!!法律違反までは言わんが、マナーってもんがあるだろ、マナーってもんが!」
その一方で浩平はこう。色々ツッコミどころはあるが、こいつはまさに近親と付き合っていて、その内行為にもって可能性を持っているのである。これ以上はよそうと思って俺は普通に黙秘した。
が、ここでドラマでありがちの強制された自白作戦に浩平は出る。
「お前が鈴本さんとヤッたんだろ!正直に答えろっ!!!」
と。普通に考えて、不当な取り調べだがこうなると黙秘もしづらくなってくる。
「全部話す...話すから食堂のカツ丼をおごってくれ。そしたら、その時話す。」
俺は初めてこの件についてしっかり話す気になりそう言った。
「昭和の刑事ドラマかっ...!とツッコミを入れたい所だが、話を聞くためなら仕方ない...。ただし、保険と同じ七割負担だ!わかったな?」
これに渋々応じる浩平。
さて、それから時は流れてお昼時。俺たちは税込650円のカツ丼(大)の食券を浩平が450円、俺が200円の大体7:3の割勘で購入し、それだけでは物足りないと思って250円のうどん(小)も自腹で購入した。
これで、カツ丼とうどんが揃って俺は奥の席へ。ちなみに、浩平は唐揚げと白米(大)を頼んでいた。圭吾と学は教室にに残って2人で弁当を食べている。
「じゃぁ、話を聞こうじゃないか。」
浩平は言いつつ、唐揚げを白米に乗せて、付属のマヨネーズ小袋を開け掛けて、唐揚げ丼にする。俺はカツを一枚、出汁の染みたご飯を一塊、あとうどんを一啜りして、
「まず初めに言っとくが、童貞は卒業していないぞ。」
と言って、話を始める。
「また言い訳をするのか。」
「言い訳じゃねぇよ。本当に童貞は卒業してない。やったのは、ディープな方のキスだけだ。」
「ほほぅ、その先は?」
「何もねぇよ。お前は五十嵐さんとしたことないのか?」
「あ、ある...。しかも、あいつめっちゃ上手かった。も、もちろん、卒業まではいってないぞ...?」
「じゃぁ、お互い様だな?」
「だな!お前とは長い付き合いになりそうだ!これからも、同じDT同盟として頼むぞ!」
「急に掌返されるとかなり胡散臭い!」
俺は話し合いの末の浩平の言葉にそうツッコミを入れる。
こうして、DT聴取は両者の妥協によって折り合いが付いて、事は穏便に終わる。食事も終わると、俺たちは何のいざこざもなく教室へ戻っていくのであった。




