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非リアの俺が学年一の美少女と付き合っちゃった話  作者: プリンアラモード
6章 大学受験
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115話 大進展

 「産業化するは?」

「industlize!」

「industrializeよ。industryは『産業』、rializeは『実現する』でしょ?『実現する』は『現実化する』とも言える。『産業化』は『産業の現実化』でindustrializeって覚えなさい。井上くんも知ってると思うけど、以外とこういう単語は多いのよ?例えば、『再び使う』でreuseとかね。」

「なるほど...。」

さて、単語の総取りは既に始まっている。「acknowledge」を「aknowledge」と言ったり、「fascinate」「fassionate」と言ったりもした。その都度、鈴本さんからはアドバイス、いや正確にはエドヴァッイスが近いか。アクセント問題は基礎問題として必ずあるので結構マスターしている。

 その後も「acquaintance」とか「enthusiasm」とか聞き覚えのない長い単語が出てきたが、それも鈴本さんのお陰で何とか頭には入る。もちろん、「evolve」や「cure」などゲームとかでよく聞く単語などについてフィーリングでスラスラ言うことが出来た。


 「見通しは...えっと...あ、prospectだ!」

「正解。じゃ、そろそろ寝よっか...。」

それからも鈴本さんとの勉強は続き、俺が「見通し」の英訳を言ったところで、彼女は参考書を閉じる。今回で分かったことは対義語はセットで覚えろだの、派生語も覚えろだの言われて、意識しながら覚えていて、それでもやはり結構な取りこぼしがあるということであった。

 「ね?自分が分かってない所が分かれば、どこを重点的にやるべきか分かったでしょ?まぁ、この段階は夏休みまで終わらせとかなきゃならなかったんだけど。」

「しゅ、宿題終わったことに満足して、後半遊びまくってたわ...。」

「ダメじゃない。あの海はただの息抜きだったはずよ。」

「すみません。」

俺は男らしくもなくただ横目の女の鈴本さんに説教され、謝ってしまう。

 「まぁ、こうなったらわからなかったものからこれだけは絶対覚えるって単語に絞ってやるしかないわね。他の単語は捨てるしかない。」

「一夜漬けは...。」

「それもありだけど、体調崩して受験に集中できないなんて言わないでよね。」

「は、はい。」

しかも、こんな感じで取り付く島もない。「一夜漬け」を完全否定するわけではない譲歩は見せてくれたが結局は一夜漬けはあまり良くないという主張らしい。そう言えば、こういう譲歩構文は評論文あるあるだと現代文の先生に聞いた気がする。


 と、そんなことを考えていると突如変わる寝床の雰囲気。鈴本さんは少し頬を火照らせこっちに近付いてきた。

 「ねぇ、井上くん...。私たちもう付き合って1年半でしょ?」

「うん。」

「だ、たからね...そろそろ下の名前で呼びあいたいの...。いい、かな?しょ、正一...くん...?」

「うん。」

(え、何これ!?めっちゃ嬉しい!めっちゃ可愛い!鈴本さんが俺を下の名前で...!)

流石にこれは誰でも興奮する。なぜなら、学年一の美少女が恥じらいながらもファーストネームで呼んでくれるのだから。

 この流れは俺が「沙耶香」と言ってやるのが道理だが、なんか照れくさくて勇気が出ない。優柔不断な男は嫌われると言うが、元かなりの陰キャ現ただの陰キャにこれはキツい。彼女がいるだけで陰キャを卒業できるほど世の中は甘くないのだ。せいぜい、卒業できるのは童貞ぐらい。俺ができるとは言っていない。

 「じゃ、じゃあ俺も...沙耶、香...。」

だが、それでも俺は言った。ぎこちなくではあるが勇気を出していった。

「やっぱり私と1年半付き合っても、陰キャは抜けきれないのね正一くん。」

そのぎこちなさがからかいの源となってしまった。

(も、もう下の名前で呼ぶことになれちゃったし...鈴本様の適応力恐るべし...!)

俺はそう思ったが、それよりも陰キャとからかわれたことになんかイラッと来た。

 「ひ、酷い!俺、勇気だして鈴本さ、じゃなくて沙耶、香?っのこと『沙耶香』って...!」

「フフ...呼びにくいなら正一くんは私のこと下の名前で呼ばなくても良いわよ?」

「いや、呼べるし?沙耶香、沙耶香、沙耶香...!」

反発しても、からかい続き。もうヤケクソになって「沙耶香」を連呼してやった。それで、心の中の何かが吹っ切れた。と言うか、十分恥をかいてからこれ以上恥をかいても大丈夫だと派生割り切れた。

 「沙耶香...。」

この時ばかりは俺の声がイケボに一歩近付いた気がした。鈴本さん改め、沙耶香は

「正一くん...。」

と言って、目をつぶる。

(え、これって俺からキスしなきゃいけない状況...?ちょ、ちょっと待ってくれ!彼女との長い付き合いの中で俺からしたスキンシップってハグ1回だぞ!?)

なんて思いながらも、目前の誘いに応じずにはいられなかった。俺も目をつぶって、ワナワナしながらゆっくり唇をあてると、彼女は強めに唇を押し付けてくる。

 「ん...。」

そして、沙耶香は舌まで入れてくる。

(ま、待て待て待て...!鈴本さん、じゃなかった...。沙耶香ってこんなにビッチだったっけ!?いや、違う...こ、これはまさか...噂の深夜テンションて奴か!?そう言えば、「清楚系ビッチ」って言葉を浩平たちから聞いたことがある気がするぞ!)

そんなことを考えている内に唇と舌が離れてしまう。

 「ご、ごめんなさい...!何か一緒のベッドで寝てると変な気分になっちゃって...それと、正一くんと下の名前で呼び合えるのが嬉しくって...なによりも、『沙耶香』って言ってくれたのが嬉しくって...!」

沙耶香は離れた後上気した顔で忙しく吐息をもらし、さらにその後ジタバタしながら赤い顔で言い訳を連呼し始める。

(エ、エロい...。それと、可愛い...!)

普段は見せない彼女の姿にはいつも以上の色気を感じ、いつも以上の癒しも感じていた。

 やがて、恥じらい疲れて眠りにつく沙耶香。その微かな寝息はとても可愛く、寝顔もまさに美少女で、たまに打つ寝返りでその顔が目の前に来てドキドキするし、あのことも思い出してしまう。

 とまぁ、それはともかく、これは付き合ってから1年半にして最初で最大の大進展である。


 そして、この日は結局、あの舌の柔らかさと絡まる音や感覚が頭から離れず、あまり眠ることはできなかった。

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