101話 今更、恋敵現る
シリアスな描写が含まれます。予めご理解のうえ、お読みください。
案の定、俺の予期した嫌な予感は当たっていた。
彼は笑顔で、
「鈴本ちゃんとどういう関係だい?」
と聞いてくる。
「付き合ってる...けど...?」
「そうか、やっぱり。」
「それがどうしたって...。」
「それじゃぁ、別れてくれないかな?僕はもう1回彼女とやり直したいんだ。今更だけど。」
どうやら笑顔なのは、少しでも愛想を表さんとしているらしい。
「ごめん、無理だ。」
「そこを何とか...!相談だけでもしてくれ。」
彼は言うが、何度言われても無理だ。そう言われて、はいはいわかりましたと別れ話を持ちかけるのはクズのすることである。
「じゃあな、また明日。」
俺はそう言って浩平、圭吾、学を呼びにいった。鈴本さんとは帰れないので、せめて彼らとという思惑である。
「鈴本、逃げちゃったのか?」
「あのクソイケメンめちゃ腹立つと何かあったのか?」
「ちゃんと、名前で呼んでやれよ。」
「僕は幼女に興味がないなら恋敵になったりはしないかなぁ。」
俺たちは校舎を出ると、そんな会話をしながら校門を出、久しぶりに4人で帰ることとなった。
その姿を嫌そうな顔をしながら見る影が1つ。
「ちっ...。」
と言う舌打ちも聞こえた。
事件があったのは次の日のことであった。朝、教室に入るとクラスの皆からの、特に女子からの視線が痛い。例外といえば浩平ら3人のみ。だが、呆れたような顔はしていた。
「えっと...皆さんどうしました?」
と聞くと、1人の女子が
「どうしたの...じゃないわよ、とぼけないで。何でこんなことになってるかわかってんでしょ?」
とガチのトーンで聞いてくる。だが、そんなこと言われたって心当たりなどない。
「有馬くんが言ってたのよ。沙耶香を無理矢理犯そうとしているのを見たって...。例え、相手が恋人でもそんなことしちゃダメってわからないの?」
そう言われるが、やはり心当たりはない。第一、昨日はあれ以来鈴本さんに会っていないのだ。
「ちょっと待ってくれ、捏造だっ!俺はそんなことしていないっ!本当なんだっ!」
本当に覚えがないので、俺は必死で弁解する。
「じゃあ、どうして今日沙耶香が来てないのかしら?」
「それとも何?有馬くんが嘘をついたって言うの?本当のことよね?」
そう言う女子を背に俺は有馬の方を向く。
「ああ、見た。」
彼はきっぱりと嘘をついていなさそうな目で言った。
「ほら。」
女子が言う。俺はしの場にただ立ち止まった。こいつら、有馬がイケメンだからってあることないこと信じやがって。ふと彼を見てみると銀に輝く歯が見える。明らかにニヤリと笑ってやがる。
(こ、こいつ...!)
俺は歯軋りをして悔しがる。絶対、この男を摘発してやると決意する。こんなヤバい恋敵は始めてだ。もうこれは悪戯では済まされない。
この土宮有馬は必ず懲らしめてやらねばならない。さもないと、俺の評判も鈴本さんとの関係も鈴本さんの気持ちも悪くなる一方である。
そして、その日から変態さんの伊能と何かの間違いだとわかってくれる栞、浩平たち3人以外には避けられたり、悪口を言われたりなどするようになった。人の噂も七十五日ともいうが、悪事千里を走るとも言うのである。別に悪事を犯した訳でもないのだが。




