NOWLoading…‥
NOFriends,NOlover.
夏の国から遠く離れ、冬の国との境目である延々雪林を越えた場所。
少し歩けば極寒の地が、少し戻れば高温多湿の猛暑が
そんなアンバランスな場所に
二人の魔族が対面し、話をしていた。
「えっと…つまりどういう事ですか?」
水色の髪の、到底一人でこんな場所に居るはずのない小さな少女。
流蓮という一匹のスライムで、一人の人間は頭上に『?』を浮かべながら、焚き火を挟んで体面に座る白髪の女性体の話を聞いていた。
「もう一度説明しようか。先ず…」
「何回やっても無駄やで。」
ふと火の揺らめきも、流蓮の瞬きも、木々のさざめきも途絶え、聞いたことのある女性の声がした。
突如そこに現れたのは、無則真名。
小さな背丈で、市松人形のように見える。
そんな女性だった。
「無駄…というのは?」
以前までなら慌てふためく所だが、ここ最近この人が突然出てきても驚かなくなってきていた。
「字の通りやね。超越者じゃない人間が別世界の話を聞いても、理解することは出来ひんよ。」
「それなら、私も完全な超越者ではありませんが…」
そも超越者とは、当に目の前の無則姉妹や、神の眼を持ち、全てを知ることができる半田棘等のどの世界でも同一人物で、記憶を持ち越す人の事だ。
確かに凛から凜。
そして今の鈴音へとこぎつけ、私は二つの世界の記憶を持ち越している。
「前に言わんかった?凜の時は確かに完璧では無かった。でも今回の自分はそうや無い。自分は、今の自分がどういう状態か、ちゃんと理解出来とるんか?」
今の私は、凛が死んで、別世界で復活した凜が、
古の魔人戦争で死亡した魔族、馨鬼の身体に入り込んだ状態。
何故かは知らないが、私はそれを知っているし、そう認識している。
「分かっとるみたいやな。少し安心、と言った所やね。」
こちらの考えを覗き込んでいるらしく、無則真名は独りでに納得した。
「自分に、選択肢をあげたる。」
真名は指を三本立て、こちらに突き出した。
「自分は、六恩を二つ持ってる。種類で言うならばあと四つ。それを集めて一度世界を無に帰すか。
もしくは超越者を全員集め、その全員を殺し、世界の歪みの観測者を無くすか。
諦めて何度も消えゆく世界と、自分は覚えてるのに自分の事は同じ超越者しか覚えてへん、悲しき世界を生きるか。」
確かに、私は自ら超越者になったわけではない。
そもそも、棘さんに無理矢理させられてるだけだし、何をすれば良いのかも良く分からない。
「その言い方だと、私が知らない超越者が他に居るって事ですか?」
無則真名は眉も動かさず、能面のような面持ちで冷たく吐き捨てる。
「いや、自分は超越者と全員会ってるよ。何人それっぽい人が居るか思い出してみたら?」
それっぽい人…
先ず半田棘と修羅小路遥夏と無則姉妹は超越者で確定している。
あとは、春間輪回くらいだろうか。
となると
「私を含めて六人。」
「不正解やね。」
そうなると、大方これより多いと考えるべきだ。
私は夏の国にしか居なかったため、いかにも夏の国に超越者が集まっているかがわかる。
「なんかの指標になるとすれば…そうやなぁ、うちがこの焚き火を見て、バナナって言うたら、自分どう思う?」
「遂に世界が壊れたのかと。」
無則真名は嬉しそうに笑いながら人差し指でこちらを指す。
「でも一般人がそう言うたら、多分自分はその人がおかしくなっと思うんちゃうかな?」
まぁ図星だった。
「もしくは、うちと自分以外全員が、この焚き火をバナナと呼んで、うちらだけが焚き火と呼ぶ。これなら自分はどっちがおかしく成ったと思ふ?」
「一般人の方…でしょうか。」
「そういう事や。」
いや、そういう事や。じゃなくて。
「分からんかったか?偉い楽しそうな表情して。」
誰が愉快な表情だ。
「分かり易く言うとな。これは信頼度の話なんよ。
例え世界中の9割がAと言っても、うちや棘のような奴が一人でも1割の方に居たら、おかしいのは9割になる。
何か感じんかったか?凛と凜の世界を通じて。」
そんな事が、何か有っただろうか。
思考している内に、無則真名は勝手に話し始め、
「例えば、特別紛らわしくも無いのに、性別を間違えられた。とか。」
そう言い残して無則真名を認識出来なくなった。
ここまで読むそこそこ変態な人が居ることを願って記します
この作品、一周目で理解できるように作ってません。
逆にもし最終話まで追ってくれ、尚且つ一周目でこの話の全てを理解出来た。なんて人が居たら教えてください。
多分そこまで読み取る力があるなら、あなたが書いた方がより面白い作品が出来ます。
※もし自力で読み解きたい人が居ましたらこれ以降は読まない事を強く推奨します。
でも何も分からずに進むのもあれですし、
なんなら前回から相当期間が空いたので
特例あらすじのコーナー。を開始します。
ネタバレをしないように今出てる情報だけを使って説明すると、
一章の主人公凜は、二章の主人公凛の別世界の存在で、
凜はどの世界においても記憶を保持する超越者の半田棘、修羅小路遥夏の二人に、凛の世界で発生したイレギュラーと、現世と別世界は可能な限り同じ結果が起きるように出来る。という性質のもと発生する世界の歪み(前に説明したナイトやバーンライトの年齢もその内の一つ)を修正するために、半田棘によって無理矢理超越者にさせられました。
不完全に記憶を持ち出そうとした所、凛の記憶の殆どを失い、身体はあの時凛と入れ替わっていた姿のまま凜というあやふやな存在が生まれ、記憶がうっすらとしかないため、
殆ど自我がないまま時間が進み、最終的に夢幻との衝突で凛の記憶を完全に取り戻し、三章の鈴音になる。
今度は完璧記憶を持ち出し、処刑されるという凛の世界での出来事を修正した事で完全な超越者になった鈴音に、
世界を故意にリセットするか、誰も気付けない世界の消失を繰り返すか、逃げるかを選択することになる。
ここまでがざっくりとしたあらすじです。
そうです。そこそこにややこしいです。
まぁこれからもっと複雑怪奇になるんですが…
これを言うと混乱するので追求してないんですが、
今の鈴音は
凛の記憶を持った馨鬼の身体の別世界の姿が凛の記憶を思い出した。いわば記憶は凛と凜、人格は凛の記憶に引っ張られた凜、身体は馨鬼の別世界の姿という状態です。
凜は前述した通り、凛の記憶の大部分を無くした人格が馨鬼の別世界の身体を持った状態です。




