No.30、繝ェ繝ウ繝阪→繝ェ繝ウ繝
ノスタルジーを感じる作品を目指していたはずのに…
やけにうるさい。
私は、今どこにいるんだ?
たしか…そうだ。風雅との戦いに勝って、
アイシスさんが現れて、そして為すすべもなくやられた。
棘さんは、恐らく手を貸してくれない。
この窮地を脱するには、手負い(正確には脚負い)のノートさんか、夢幻さんの助けを待つ他ない。
やっぱり、私は無力だ。
もう…諦めてしまおうか。
『ホンマに、自分は手のかかる子やなぁ。』
ふと脳内に聞いたことのあるエセ京都弁が響いた。
『確かに凛は春間輪回によって処刑された。でも、だからといって鈴音ちゃんもそうとは限らないんよ。そもそも、輪回は自分に近づけへんやろなぁ。』
待って下さい、一体どういう…
『あ、つい名前で呼んでもぉた。あかんなぁ、初めて名前を呼ぶ時はロマンチックにって決めてたんになぁ。』
そうやって、無則真名の声は途絶え、私の意識は覚醒した。
目を覚ますと、予想以上に周囲の声は大きく、鼓膜よりも身体全体のほうが揺れているのを感じた。
手には何か手錠のような物がついている。
これは、魔封じの腕輪だ。
対象の魔力回路の流れを封じる腕輪。
魔力回路拡張手術をした違反者を取り締まるために、これの前身版もあるらしいが、残念ながら凛は両腕と指先までしか拡張しておらず、私の身体ではもう魔力をろくに練られなかった。
よく見ると、私の隣に未だ気絶しているノートさんが居る。
夢幻さんが居ないということは、まだ希望は有ると考えて良いらしい。
こちらが一方的に反骨精神を滾らせる中、淡々と騎士の格好をした男が何か高らかに叫んでいる。
「よって我々は!我ら人間の敵として鈴音に死刑を!それの闘争の補助をしたとして、ノート・キーパーに国王春間輪回との永続的な奴隷契約!同じく灰神楽夢幻に、同様の内容の求刑と共に指名手配に処す!!!!」
何処かで見た光景。
凛と同じく、私も春間輪回によって処刑されてしまう。
なんとか…どうにかして夢幻さんが来るまで時間を稼がなければ…
ノートさんは耳を澄ませると寝息をたてている事から、気絶しているのではなく寝ている事がわかった。
ノートさんには魔封じの腕輪がついていない。
何か理由が有るのだろうか。
いや、今はそんな事を考えている場合ではない。
周囲を見回すと、綾命やアイシスさん、棘さんに遥夏さんの姿を確認できた。
文殊の人たちが居ない。やはり、私一人でどうにかしないと。棘さんの方に視線を送っても、彼女は首を横に振る以外の行動をとろうとしない。
何もするな。という事だ。
棘さんは、突然明後日の方向を見ると、再びこちらに向き直り、歯を食いしばった。
白く整った並びの歯が輝いている。
それが、歯を食いしばれ。というサインだと気づいた瞬間、私の身体は腹部を何者かに引っ掛けられながら移動したことで、水平に移動していた。
「着地をきちんと取れ。」
そう言い残し、灰神楽夢幻は鈴音の身体を、その細い腕で遥か彼方へと放り投げた。
そのまま夢幻はその場の全員に向けて叫ぶ。
「文句がある奴から申し出でろ!この国が実力主義であるということを再認識させてやる!!!」
アイシスを含め、誰もその宣戦布告に乗ろうとはしない。
「無理矢理にも程が有るんじゃないか?夢幻。」
音もなく、春間輪回は夢幻の目の前に現れた。
「そうか、文句が有るのはお前だけらしいな。」
刀に手を伸ばす夢幻を制止して、輪回は魔術の応用であるテレパシーで鈴音へと語りかける。
『聞こえているかい?鈴音。君への判決を変更するよ、恐ろしい過保護者に感謝すると良い。君に、五年間の国外追放と他の四季国への調査を命ずる。』
「うあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
なんでこうなった!?
なんでこうなった!?
明らかに今までに無かった展開。
国外追放?他国の調査?私の目的はそれとは関係ないはず。
その目的すらも変化したのか?
とにかく、高度が二桁に到達している。上手く着地しないと、いくら私の身体が魔族それも原初魔族のものだとしても、無理がある。
何故なら
「あの人!腕輪外すの忘れたな!!!」
私の腕には、魔力の発生を抑制する腕輪がついたままだった。
なんなら刀も財布も回収されている。
これでは、五年間どころか1週間でこの世から追放されてしまう。
「アァァァァァァ!!!」
せめて背中からと思い地面を見ることを諦めると、
その地面はやけに柔らかかった。
「アァァ…あれ?」
ぷるぷると振動するその柔らかい物体は
通常よりもサイズの大きいスライムだった。
「ごめん。大丈夫?でもお陰で助かったよ、ありがとう。」
言葉が通じないとしても、スライムに感謝を伝えその場をさろうとしていると、
「待って!…下…さい。」
振り返ってもその場にはスライムしか居ない。
気の所為?
「待って下さい!恩を感じて頂いているなら、助けて頂けませんか!?」
信じがたいことに、そのスライムが喋っていた。
当然、オーク等言葉を操る魔獣もいる。
魔族と魔獣を区分する差の一つが、言語に対する理解度とすら言われている。
人に近い程、その存在が確かであり、力を持つ証拠とされていた。
人型とは、実体のない概念そのものである、神すらも象るからだ。
「最近魔王軍の幹部が、私の住処付近に現れて、仲間は皆そいつに連れて行かれてしまいました。逃げ切れたのは私だけなんです。」
スライムに性別があるのか分からないが、女性…なのだろうか。
「そいつのせいで気温が異常なまで下がったり、兎に角迷惑なんです!」
どうやら、私が夢幻さんに投げ飛ばされたのには、意味があったらしい。
つまり、その魔王軍の幹部が延々雪林の異常気象の元凶という事だ。凜が達成できなかったツケを払う時が来たらしい。
「わかった、宜しく頼むよ。私は鈴音。」
「私は流蓮です。スライムと人間のハーフやってます。」
何処かで風鈴がなった気がした。
恒例にしたいね!ちこっと小話のコーナー。
私個人的に叫び声は文字に起こしたく無いんですよね。
なんか文の見た目が幼稚になるというか、なんというか
パソコンで見てる人が多いので、あんまり関係ないんじゃ?と思うんですが、改行もゴチャつかないようにしていたり。
見易さを大事にしているんですよね。
だから今回の鈴音の叫び声は個人的に気に入ってい無い。
あと有るとか無いとか、只も漢字で記しがちなんですが、
これは平仮名が並ぶと見にくく成る事への対策です。
平仮名が多く有ると、見やすく成ら無いんですよね。
可能なら3文字の平仮名を漢字で挟むようにしています。
これをしないと
平仮名が多くあると、見やすくならないんですよね。
になって『ならな』が見にくく成るんですよ。
句読点が多めに有るのも、それが原因ですね。
どっちかと言うと、声にした時に区切る場所なんですが。




