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人間と精霊、魔法と超能力  作者: キュリオ
第一章 始まりと覚醒
2/5

昼の事件

 今日は月曜日なのに駅は混雑していた。昼時だからか、今日が入学式だからか。

 海人はあの後、電車で自分の家がある江南区に帰り昼を食べて再度、真新潟駅に来ていた(新という字でないのは、新新となり見栄えが悪いため)。

 無論、由里、サモンと共に魔法体験場に行くためである。

 現在の時刻は一時二十分。ビックリ屋に行くのに三分もかからないので少し余裕がある。

 少し時間があったから他の店いってたら遅れた、というのはとても惨めなのでどこにも寄らずビックリ屋の前で海人は待つことにした。

 現代にファミレスはそう多くない。家庭用料理ロボットの登場で家で食べる人が増えた所為だ。ちなみに海人は今日の昼をこのロボットが作ったもので済ませていた。

「あのー、すみません」

 ボケー、と空を見ていた海人に少女が話しかけてくる。

「なんですか」

 海人はその人を見て答える。

 少女の背丈は海人より少し低い。年は同じだろうか。服装は紺色を主体とした近くにある新潟駅前高校の制服だった。髪型は短髪で、背中に道具を入れてあるであろうリュックを背負っていた。

「見ての通り駅前高校の生徒なのですが、駅前高校の場所が良くわからなくて。知っていたら案内してくれると助かるのですが」

 海人は近くにあった電光掲示板の時計を見る。一時二十四分だった。駅前高校までは片道五分はかかるが、人案内ならやつらも許してくれるだろうと思い、海人はこの少女を案内することにした。

「いいですよ。案内します」

「ありがとうございます!」

 少女が勢いよく頭を下げた。海人は少し照れくさかったが、早く案内しようと歩き出した。

 少し歩いて海人が話しかける。

「場所がわからないということは、あなたは入学生ですか?」

「はい、そうなんです」

「入学のパンフレットとかに書いてなかったんですか?」

 ここでのパンフレットとは電子パンフレットのことを指す。いまどき紙のパンフレットは存在しない。

「書いてあったんですけどバス乗り場と駅から徒歩五分としか書いていなくて。バスに乗ろうとしたら遅れてしまったので電車で着たんですけど、どこに行けばいいかわからなくて」

 ずさんなパンフレットだ、と海人は思った。

 しばらく沈黙が続く。

 少し話題を変えようと、海人は自分のことについて話すことにした。

「実は俺も入学生で今日の午前中に入学式があったんです」

「ほんとですか! どこの学校ですか!」

 少女が話題に乗ってきた。

 海人は少しホッとして少女の質問に答える。

「精霊人間高校です」

 少女は目を見開く。精霊人間高校は県内屈指の人気校だ。倍率は毎年三倍を上回る。そこに合格することはそれなりに頭が良いということをあらわしている。

 だか少女の関心はそこではなかった。

「え・・・・・・精霊人間って、あの広崎達也さんが生徒会長を勤めている学校じゃ・・・・・・!」

 なんと。海人の兄である達也の噂は他校にまで広がっているようだ。

 海人は他人の振りをして少女に話しかける。

「そう、達也さんの学校。俺は新入生だからまだ話をしたこと無いけど、いつかは何か話してみたいなと思ってる」

 海人は全力で他人の振りをした。本当は毎日、家で話をしているとは絶対に言ってはならない、と海人は思った。


 しばらくして駅前高校が見えてきた。受付をしているのだろう、生徒の列が見えた。

「案内してくれてありがとうございました」

 少女が頭を下げる。

「いえいえ、礼には及びません」

 海人は少し大人の対応をしてみる。

 少女が顔を上げてぷっ、と吹き出す。

「らしくないですよ」

「自分でもそう思う」

 小さな笑い声がする。

「高校も近いですし、またどこかで会うかも知れませんね」

 少女が言う。

「そうですね。じゃあ、またどこかで!」

 と言って、海人は来た道を戻り始める。

 少女はもう一度頭を下げて、高校の方に歩き出す。

 両者は名前を聞くことなく、別々の道を進んでいった。


 一時四十分。

 少女の道案内を終えてビックリ屋の前に戻ってきた海人が見たものは、由里が不良らしき二人組みに絡まれていた光景だった。近くの通行人も三人を避けるように通行していた。サモンが見当たらない。まだ着てないと海人は思うことにした。

 海人は自分がどうにかしなければならないと思い、行動を起こした。

 不良を無視する方向で。

「悪い由里、遅くなった」

 この声に反応したのは由里よりも不良のほうが早かった。

「アぁ~! 誰だテメェ!」

「じゃますんなよ!」

 案の上、不良が突っかかってきた。

 海人は決めたとおり無視する。

「なんかおごるから許して!」

 無論、不良に向けたものではない。由里は顔を下げている。海人に由里の表情はわからなかった。

 一方、無視された不良のほうはさらに怒りが増す。

「無視してんじゃねェーぞテメェ!」

(たま)とったろか!」

 そろそろ不良を無視することに疲れた海人は由里の腕を掴んで、この場を離れようとした。サモンを置いていくのではなく、この状況を抜けるために。

 しかし、それを不良が許すわけもなく、

「まてよ!」

 不良が海人の肩に手を置く。

 手を置いた瞬間、海人がその不良を一本背負いの要領で投げる。投げなれた不良は受身を取れずに背中から、畳ではなくコンクリート道路の地面に落ちる。不良はそのまま気を失った。

「てめぇ!」

 もう一人の不良がナイフを取り出す。通行人の誰かが悲鳴を上げる。

 不良はナイフを突き出しながら近づいてくる。

 海人は恐怖こそしたものの冷静さを失わなかった。由里の存在が大きかったかもしれない。

 不良が殴りつけるようにナイフを振ってきた。

 海人は由里を後ろに押し、横に跳んだ。不良は海人に向き直り再度、ナイフを振ってきた。

 海人は体勢を低くして不良に突っ込んだ。そのまま不良にタックルをかます。不意を付いた一撃だったようで、不良は後ろに倒れ後頭部を打って気絶した。

 海人はズキズキ痛む右手を見た。ナイフの刃がかすったようで服に血が滲んでいた。

 通行人も誰も動けなかった。

 悲鳴を聞いて駆けつけた警備員が来るまで誰も動かなかった。


「君、過剰防衛罪で訴えられるところだったよ。後頭部を強く打って死ななかったのは運が良かったか、石頭だったからだよ? 防衛行動でも相手を殺したらいけないからね」

 海人は警備員が呼んだ警察の人に説教されていた。

 今は二時ちょうど。由里は軽く事情を聞かれた後、周りの人ごみの中に消えていた。サモンを探してくると言っていた。海人もそうしたいところだが、海人は当事者なだけになかなか離してくれなかった。特にこの警察の人は捜査(といっても周りの人から事情を聞くだけで大体わかる)にも協力せず海人に説教や、防衛行動とは何かなどを語っている。過剰防衛罪については初耳だったが、大半の話は聞き流していた。心境的には「早く終われよ・・・・・・」である。

 気絶した不良は警察病院に搬送された。検査をしてから事情聴取するらしい。ナイフを持っていた不良は危険物取り扱い法違反、および殺人未遂容疑で逮捕されるそうだ。現代に少年法は無いので、刑事裁判になるだろう。

 もう一人は強制ナンパ罪として厳重注意処分されるようだ。厳重注意を二度受けると二十万ユルン以下の罰金、もしくは四ヶ月以下の懲役になる。

 海人は防衛行動をしてだけという扱いになった。特に罪は無い。

「君、これからは気を付けるんだよ」

 警察の人が海人から離れていく。解放されたと海人は思うことにした。

 警察が張った電磁ネットを部分的に解除してもらい、海人は人ごみの中に入った。近くにいた人からは注目を浴びたが、海人は無視して人ごみを突っ切った。

 人ごみの外に出ると、サモンと由里がいた。人ごみから出てきた海人にサモンが話しかける。

「由里から大体聞いた」

「そうか・・・・・・」

 気まずい沈黙。

 どうしようか、と考えていた海人にサモンが近づいてきた。

 やけに大股で。

 サモンは海人の前で止まった。そして・・・・・・

 ヘッドロックを海人に決めた。

(!?)

 突然のことで海人にはわけがわからなかった。由里も驚いているようだった。

 ヘッドロックを決めているサモンが上機嫌な声で言う。

「お前スゲェな! 俺には真似できないぜ!」

 海人を称賛しているが当の海人は意識が飛びかけていた。なかなか強く閉めているからだ。

 海人は飛びそうな意識をなんとか保ちながら、言葉を出す。

「まずは・・・これ・・・を・・・やめ・・・て・・・くれ・・・・・・」

 サモンの腕を今出せる最大の力で叩きながらいう。

 サモンは「おっと、力入れすぎたか」といって力を弱めた。しかし解放はしてくれなかった。

「由里、悪いが飲み物は無いか?」

 今とにかく何かを飲みたい。海人はそんな気分だった。

「ううん、もってない・・・・・・ごめんね」

「別に悪くないさ。それよりサモン、いい加減解放してくれないか?」

「英雄様の頼みとあらば仕方ありませんな」

 何が英雄だ、と言いながら海人は深く息を吸う。

 ともあれ、気まずい空気は払拭された。

 海人は気持ちを入れ替えてサモンに質問をする。

「お前は何で集合時間に遅れたんだ?」

「遅れたとは失敬な。店の中で昼を食べてたんだぜ。一時十分にはいたぞ」

 サモンは遅いわけではなかった。誰も見つけることができなかっただけだった。

「私も驚いたよ。人ごみを抜けた後、ギックリ屋の裏口から行こうとして店内に入ったら、座ってジュースを飲んでるサモンがいたんだから」

「由里、ここはギックリじゃなくてビックリ」

「海人、体験場に行くにはどうすればいいの?」

 サモンの指摘を何事も無かったかのようにスルーした由里は話を元の目的に戻す。

 サモンは「そりゃないぜ・・・・・・」と言っていたが海人も無視した。

「そうだな、まずはそこのバスに乗って県庁前行く。そこから徒歩三分だ」

 海人に由里とサモンが付いていく。ちょうど県庁行きのバスが停車していた。そのバスに乗り込んだ。

一番奥の席に座ると同時にバスは動き出した。

 今の自動車はほとんどが電気自動車であるため音が静かだ。昔からバスの中は静かだったが、エンジン音がほとんど無くなったため現代バスの中は静寂に近い。

 海人たちもその静寂に逆らおうとせず、静かにしていた。

 海人は左手にある窓から外を見る。

 都心なだけあって交通量が半端ではない。休日や通勤ラッシュではないので渋滞と言うほどの交通量は無いが、それでも海人の住む江南区よりは自動車の数は多い。

 その中に今では珍しい自動車があった。ハイブリットカーである。

 今はガソリンスタンドと呼ばれたものはそのすべてが充電スタンドに変わった。そのため、ガソリンを手に入れるには自分の資金で手に入れる必要がある。ガソリンの相場はそこまで高くないが、手に入れるのが面倒なので車好きの中でもごく一部しかガソリン車を使わない。

 そんな事情で今時珍しいハイブリットカーを見ることができたのは、運がいいからだろう。

(今日はついてる)

 海人はこのときそう思った。

初めまして。    お久しぶりです。

今岡です。

今回は見たとおり事件が起きました。これに関係して新たな事件が起きるかは決めていません。

今回はそれなりに早い更新ですが今後は事情により更新が遅くなるかも知れません。どちらかと言えば今回の更新は早いほうです。

今後も読んでいただけたら幸いです。

それでは。

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