12話 起死回生の一手
リーサはゆっくりと降りてくる。ざわめく風に髪の毛が無造作に後ろになびく。
その瞬間リーサの身体から魔力のようなものが溢れ出す。赤黒い色をしたものが段々と眩い山吹色に変わる時、勢いよく地面を蹴り、普通では捉えられない程のスピードでミリヨノの方へと拳を握りしめ飛び出した。
「正面から向かってくるか、、」
ミリヨノは愛剣を構える、サウスに放ったものと同じ構えをする。
「はぁあああ!!!」
「ハッッッ!!!」
同時にぶつかった。
お互い物理的な技であるが、リーサは素手。対するミリヨノはただの剣ではなく、神輿業物と剣・刀における最高位の値のもの。
そんなものを生徒たちに振るう理由は、簡単な話。
『振るうべき相手と判断をしたからである。』
リーサの拳は剣の刃に触れておらず、見えない力によって圧力をかけているような光景になっていた。力は拮抗して両者譲らない。何より驚くのはそのリーサの力。その身体のどこからそんな力が出てきているのか?果たして魔力が異常に高く、その力は魔力のみによって生み出されているのか?ミリヨノとそれを見ていたクロードは疑問に思っていた。
「あの攻撃を…止めた!?」
「リーサ!!」
「リーサちゃん!!」
見ていたクラスメイトらも驚愕しながらも応援をする。
サウスも複数人の回復魔法により復活していた。そこにふたりの戦いを見る隙も与えず地面が割れ、割れ目からとがった岩が生徒を襲う。
「オラァ!見ている暇なんてあるのか?」
クロードの容赦ない攻撃が飛び交う中、動いたのはカナリエだ。身体能力向上の結界は今も健在している。そこに上乗せするように自信にのみ結界の力を降り注ぐ。
元は結界内のカナリエが定めた味方のみに有効な身体強化を自信に絞ることでさらに向上させる。
真正面にはクロードが火の矢、氷の矢、さらに稲妻のように光る矢が飛び交うが、そこにド直球に魔法を打ち込む。
「コメット・ストリーカー!!」
彗星の様な長い光の尾を引いて突進するように、光を纏って超高速突撃すふ巨大な光弾がクロード目掛けて放たれるが、クロードは避けるどころか構え始め、手から放たれた黒炎で粉砕した。
「この程度なのか!!??」
だが、カナリエの思惑は当たっていた。あの魔法を普通の魔道士らに当てればだいぶ時間稼ぎになるが、クロードにそれを放ったところで精々10秒稼げれば良い方だろうと。つまり狙いは一瞬の目眩しなのである。
「ん?…」
魔法によって生じたケムリが払われるとたったの数秒でもう既にカナリエの姿がなく、生徒たちが正面から攻撃を仕掛ける。何を企んでいるかは知らんが、まだ俺の視野の範囲から戦ってなんとかなると思っているのか?と思いながら炎上級魔法を使い、一斉に倒そうとする。
「インフェリエンス!」
魔法陣が現れ、隕石のようなものが生徒たちを襲うその刹那、、、
クロードの背後に現れたのはカナリエ。
クロードを複数の魔法陣で囲むと、鋭利なこおりのつぶてが無数にクロードを襲った。クロードは咄嗟にバリアを張り、自身の防衛その時だった。サウスが上から確実で綺麗なタイミングで一撃の一振をかました。
「ヘキライ・テンショウザン!」
バリアは見事に砕け散りカナリエは透かさず連続で魔法を放つ。
「フロスト・フリーズ!」
クロードの足元にそれを放つと一気に氷が全体に広がり氷漬けになるクロード。小さな氷山のごとく下に落ちた。
「や、やった!」
「すげぇ…」
クラスメイトのあまりの戦いに驚きながらも喜び合う
「サウス!!」
「ああ!」
サウス、カナリエを軸としたこのクラス全体で戦ったこの功績を称えるように2人はハイタッチをした。
その直後、
ミシッ、、、
何かが砕けるような鈍い音がサウスは聞きとり構え直す。
「っ!?」
「ど、どうしたんだサウス?」
「まだ何かあるの?」
「いや、さすがにここまでやったならクロード先生も自力では…」
遠くで見ていた勇者パーティの仲間たちですら見事な連携と称えていたくらいの戦闘。そして決定打となったバリアの破壊をしたサウス、トドメとなる隙を見逃さなかったカナリエの氷結。
誰が、どんな化け物がそれを破れるのか?
ミシミシッ!
バキバキバキバキ!!!!!
この音とともに生徒たちも不穏な空気を悟って構え出す。
そして、
バコーンッッッッ!!!!
砕け散って砕け散った氷の破片が飛んでくる。
「はぁー、なかなか冷てぇな氷ってのは…」
「はあぁぁ…?」
「嘘でしょ…」
思わぬことに、いや、何故か心做しか最悪の事態として思っていた低確率なイベントが起きてしまったかのような反応をするクラス全員。クロードは腕のところに自分で誤って切ってしまった傷1つのみの身体でゆっくり歩いてくる。あそこまでやって、一度は止めることに成功したというのにまだまだ有り触れる魔力量に絶望を抱く。
「まぁなんだ、、、俺の負けにしといてやる。」
「はっ?」
「はァァああああああ!!!!!?????」
まさの発言に全員が驚く。
昨日からこれで何回目の驚きなのだろうか?
「サウス、カナリエ。お前たちを起点とした臨機応変な行動。クラス全体がまとまっていた。
どんな強大な敵も数には不利だ。よくやったな」
とクロードは2人の頭に手を置き、珍しく笑っていた。
あのクロード先生があんなふうに褒めるなんて、、、
と生徒たちはまたもや驚きが隠せない。
そして、
「先生!!」
カナリエは口を開きこういった。
「ロリコン…」
「は?」
サウスも欠かさず、
「変態教師」
などと罵倒を浴びせる。
「お前らに恨まれるようなことをしたか?あぁん?!?」
その瞬間生徒ら全員
「変態教師!!!!!!!!」
お前らには仕置ということで全員俺に殺されろと言いながら生徒達を追って魔法を放ち始める。
ミリヨノVSリーサ
このふたりの一撃は拮抗し合い、魔力を拳に最大まで纏い始めた。その瞬間ミリヨノは足の構えを変えて下がる姿勢に。その刹那、目元が変わり、それが勇者の称号を持つ者の個のスキルである。
通称
『勇者覇気』
それにより、リーサは後ろに2、3歩辺り吹き飛ぶ。
そこにミリヨノは左手でリーサの腹部を目掛けて魔法を放ち吹き飛ばす。
「ウィザード・ベクトル!」
吹き飛ばしたことで中を浮き、足がつかない為踏ん張りも聞かない。だが、リーサはその習性を瞬時に理解し、魔法により魔法陣を発動。
吹き飛ばされる方向に縦に展開し、コンクリートのような足場を形成する。
後ろに働くこの力を2回、10回…30回…50回と身体をバク宙後ろ回転し、力を弱める。
足場が近づくともう既に吹き飛ばす威力の力は消えてリーサの足がつく。重力によって落ちる前に蹴り出した。
そしてさっきのように向かってくるかと思いきや、寸前でまた足場を目の前に形成し上に、前に左に弧を描くように曲がりそこからは空中浮遊も使用していた。
どんどん速度が上がる。
「どこから来る…」
ミリヨノは集中し、剣魔力を貯めていた。そして、、、
「インフェルノ・レグナス!!」
加速し続けるリーサの止まらない動き。その状態でリーサは炎最上級魔法『インフェルノ・レグナス』をミリヨノに放つ。
「なっ!?」
さすがのミリヨノもあのスピードであの力で攻撃を食らって防げたとしてもそれでもダメージは入る。そのため、警戒はリーサ本人に言っていた。それがまさかの真上から最上級グレード魔法を打ってくるとは思いもよろない。
「これが狙いかっ!!!?」
リーサはまたしても眩い山吹色のオーラを放つ。
この正体は単なる魔力を纏っているだけなのか?そんなことまで疑問に思えてくる。
このままでは、確実に攻撃を食らう。
どうする?
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