6,死に損ない
儀式の時間を迎え、ついに「惑星X」に転送されてしまった3人
3人の想像していた「惑星X」の姿は、少しずつ違えど、どれも残酷なものであることに変わりはなかった。
しかし、転送された場所で目を覚ますと、そこには「予想とは少し違う世界」が広がっていた。
3人たちは上級魔術のすさまじい力によって、「惑星X」に無事に転送された。
いや、死ぬ運命にありながら、無事というべきなのだろうか…、
メイは目を覚ました。息ができる、温度もちょうどよい…
ひとまず安心だ。
目を覚まして最初に見た色は「青色」だった。
彼女は、それが青空であることを認識するのに少し時間がかかった。
どうやら3人は暖かい草の上で仰向けになり、少し寝てしまっていたようだ。
起きているのはメイだけだった。
「うわ、眩しい!」
雲に隠れていた光が顔を出した。
「太陽…? いや、もう太陽じゃないのか…」
青すぎる空も、明るすぎる光も、目覚めにはちょうど良かった…
やがて、寝ていた2人も目を覚ました。
3人は徐に体を起こす。空も、雲も、光も、何もかもが地球と同じようで少し不思議なような、少し安心したような。
まだここが地球なのではないかと思ってしまうほどに。
とりあえず3人は立ち上がって、辺りを歩いてみることにした。
「なあ、俺たち、本当にここで死ぬんだよな?」
アレンが不思議そうに問いかける。
それもそのはず、3人の前に広がっている景色は、3人が想像していた『惑星X』の姿とはあまりにもかけ離れていたから。
澄み切った空、どこまでも続いていそうな平原、ここは理想郷か何かか?
しかし、そんなはずがない。
その時、辺りを見渡しているアレンが、平原の先に何かを見つけた。
「建物だ…、建物がある!」
アレンがその方向を指さすと、その先には確かに建物があった。
「もしかしたら、私たち以外に誰かいるのかもしれない、行ってみましょう」
メイがそう提案すると、3人は小走りで建物を目指した。
しばらく進むと、3人はようやく建物にたどり着いた。
近づいてやっと、3人はその建物が廃墟であることに気がついた。
3人はとても驚いた、言葉を失うほどに。なぜならその建物は、地球にあった建物とあまりにもそっくりだったからだ。
予想外の出来事の連続で驚く3人の中、静寂を破ったのはメイだった
「私、てっきり書物やら遺跡やらに、地球の未来のことが綴られているのだと思っていたけれど、この『惑星X』自体が、地球の未来を体現している、っていうことなのかな…?」
「だとしたら、流石に酷すぎないか?地球の未来…」
アレンがそういうと、ルイも口を開いた
「確かに俺もそう思う。建物は似ているけれど、ほとんど廃墟になってるし、もしこれが地球の未来だとしても、相当先の未来の話じゃないか?」
「まあそれを今考えても仕方ないわ、とりあえず今の状況をまとめましょう。」
メイがその場を仕切る。
「私たちは『惑星X』に転送された。転送された場所は、広い平原のど真ん中で、少し歩いたところに、私たちが今いる「廃墟の町」がある、そして一番の疑問が…、」
「俺たちがまだ死んでないってとこだよな、」
ルイが割って入った。
「僕もてっきり転送からの即死だと思っていたけど、まだ死んでないからなあ」
アレンもその点が気になっていたようだ。
そうして2人が話していると、先ほどまで隣にいたメイがいなくなっていた。
しばらく2人で探し歩いていると、アレンがメイを見つけた。しかし、あろうことかメイは街角のスイーツショップでケーキをほおばっていた!
すぐさま2人も店の中に入る。
「メイ、それ消費期限大丈夫なやつか?」
「わかんなーい、でもおいしいよ! ちょっと変な味がするけど…」
「ていうかこんなところで何してるんだよ、人がいたらどうするんだ、」
アレンがそういった次の瞬間だった。
耳が張り裂けるような衝撃音とともに、店の壁が一瞬にして吹き飛んだのだ!
そこには自分たちよりはるかに大きい、まるでクモのような見た目をした、灰色のうごめく何かがいた。
3人はこの星に来て、初めて「死」を感じた。




